表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~  作者: 風遊ひばり
第七章 ~天地貫く太古の慟哭~
296/300

100万人記念特別コラボ配信! 9

評価・ブックマークありがとうございます!


「ティラノサウルスの尻尾を丸々拾えるなんてラッキーじゃない?」


「カローナ様、素材を拾う前に説明を」



 ティラノサウルスが倒れたのを見届けた私が意気揚々と素材を拾っていると、セレスさんから真顔でツッコミが入った。


 なんて妥当なツッコミ……さすがこのパーティのツッコミ役のセレスさんだ。



「威力がおかしいアル!」

「雷を纏っていませんでしたか……?」

「樹海を割るとかやりすぎぴょん!」


「ちょっ、そんなに一気に聞かないで……!」



 セレスさんをきっかけに私に殺到してきた憂炎ユーエンさん達を窘めつつ、私は『マックス』と『カスパール』の性能について簡単に説明しておく。


 ハンドガンサイズの電磁加速銃レールガンというだけでかなりオーバーテクノロジーな気はするけど……引き金を引くだけでティラノサウルスの尻尾が根元から消し飛ぶ威力となれば、誰だって詳細を知りたくなってしまうだろう。



 と言うわけで武器の紹介も兼ねて説明をしておいたんだけど……



「残念だけどこれ、強力な雷を使えることと“スーパーアーマー”、“ノックバックカウンター”がある前提だから、現状私専用武器なのよ」


「使用条件をすべて満たすのが、カローナ様の『酒呑童子』の状態しかないということですのね」


「専用武器……いい響きだ……」


「しかも弾丸も特別製でね。ジャガーノートΩ一体から5発しか作れなかったらしいから、コストがめちゃくちゃ高いのよ。今回は紹介のために使ったけど、今後は控えるわよ?」


「ジャガーノートΩ一体から5発だけって、燃費悪いですわね……」


「でもこの威力は魅力的ぴょん」


「いやいや、男からすればそういうロマン砲が一番好きなんだって!」


 ・憂炎の力説草

 ・でも分かるわ、ロマン砲しゅき

 ・語尾の『アル』を忘れる辺り、憂炎もガチ

 ・連発できないのは当たり前だとしても、距離を取るとこれが飛んでくるって考えただけで立ち回りがキツイな

 ・これ一番キツイの、『打倒カローナ様』を掲げてるPvP勢だよな

 ●ウィッチクラフター:[¥2,500] 完全……敗北……!

 ・生産職にもダメージ入ってて草



 あー……コメント欄で生産職の人が項垂れてる。

 そんなに落ち込むことないと思うけどね? 作ったのはプレイヤー(ヘルメスさん)とはいえ、設計したのはAIのミューロンちゃんだ。


 設備も【ディア・キャロル】を使ったのだから、プレイヤーが使える既存の設備では到底不可能な生産を可能にしている。プレイヤーが追い付けないのは当たり前である。



「このままカローナ様の装備の詳細を聞いていたいところですが、そろそろ奥へと進みましょう?」



 視聴者だけでなく憂炎ユーエンさんやラビリちゃんからの質問が一旦落ち着いたところで、セレスさんからそう提案が上がった。


 確かにまだほとんど探索できてないし、浮島の浅瀬しか……



「あれ……? そう考えると、まだ浅瀬でしか探索してないのにティラノサウルスぐらい強いモンスターが出るって、ここの難易度ヤバくない?」


「このメンバーだから結構簡単に攻略出来てる風だけど、確かに強力なモンスターだったアル」


「怖がらせるようなこと言わないでほしいぴょん……!」


「よしよし……怖がらなくても良いですからね」



 ウサ耳をわさわさしながら声を上げるラビリちゃんと、そんな彼女を慰めるように頭を撫でるレリーシャさん。


 うーん、眼福眼福……。



 さて、配信はまだまだ始まったばかりだし……今回は『新マップの攻略』が目的だからね。モンスターの討伐だけじゃなくて探索もしていかないと!



        ♢♢♢♢



「って息巻いて来たのはいいけど、これはどうなのよ」


「時代がぐちゃぐちゃアルな」



 私が電磁加速銃レールガンでぶち抜いてできた道を歩くことしばらく。私達の目の前に現れたのは、岩を積み上げてできた巨大な遺跡であった。


 パッと見で『遺跡』だと分かったのは、それを形作っている岩が綺麗に削り出されていて、自然では到底不可能なほどにきっちりと並べられていたからだ。



「どう見ても人工物ですわね……」


「恐竜の時代に建造物があるってのが違和感すごいアルな」


「アネックス計画の時点で人類がここに来てるってのは考えられるけど……」



 人類がこの星に到達した時点では当然堕龍(おろち)も居なかったし、旧マップと新マップは隔てられていなかった。当時からこの星中を探索して各地に拠点を作ること自体は自然な流れだ。


 違和感があるのは、当時の技術を考えるとこの遺跡はどう見ても劣っている(・・・・・)のだ。



 その気になれば、【ディア・キャロル】のように非常に丈夫で軽く、いつまでも劣化しない金属を使って建築をすることだってできたはず。


 そうせずにわざわざ岩を積み上げて作るだなんて……何らかの理由があったのだろうか?



「カローナ様、もちろん探索しますわよね?」


「あったり前じゃない! こんなワクワクするフィールド、隅から隅まで探索するわよ!」


 ・ワイらと同じ考えしてて好き

 ・やっぱカローナ様は生粋のゲーマーなんやなって……

 ・買い物中の女子と一緒やん

 ・カローナ様は女子やぞ



「なんか私の事ディスってない?」



 何だか失礼なことを言い始めた視聴者さんにツッコミを入れつつ、私達は遺跡へと足を踏み入れることにしたのだった。




お読みくださってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ