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アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~  作者: 風遊ひばり
第七章 ~天地貫く太古の慟哭~
294/300

100万人記念特別コラボ配信! 7

評価・ブックマークありがとうございます!


「"流雲拳"───【瀧雲】」



 ティラノサウルスの鞭のような尻尾が憂炎ユーエンに向かって振るわれるも、その尻尾を下から持ち上げるように、憂炎ユーエンは手の甲で逸らす。


 尻尾は彼の頭の上を通り抜け、その背後にある樹を薙ぎ倒すが、憂炎ユーエンはノーダメージだ。


 尻尾を振るった後の明らかな隙……これを逃すプレイヤーは、この場にはいない。



「フッ……【グラウンド・ゼロ】……!」


「ギュオォォッ!?」



 ほんの僅かにも臆すること無く、ティラノサウルスの懐へと踏み込んだシスター・レリーシャが気合い一発。


 鈴の鳴るような美しい声とは正反対の凄まじい衝撃がティラノサウルスの胸部へと突き刺さり、その巨体を仰け反らせた。



 が、ティラノサウルスはそれでも怯まない。【グラウンド・ゼロ】の威力を筋力と重量で押さえ込んだティラノサウルスは、目の前のレリーシャに向けて口を開き───



「お任せあれ! 【メテオ・ストライク】!」


「ガッ!?」


「おっと、まだこっちのターンは終わってないアル! "流雲拳"───【天津返あまつがえし】!」


「ッ───!」


 ・おおっ

 ・こいつら強っ

 ・憂炎ってなんだかんだ言われてるけど、物理タイプ相手にはマジで強いな

 ・憂炎が投げ技で隙をつくってレリーシャちゃんが火力叩き込んで、セレスちゃんがサポートは盤面強すぎてな……



 セレスの【メテオ・ストライク】が斜め上から突き刺さり、強制的に口を閉じさせられたティラノサウルス。


 その下がった頭に憂炎ユーエンが手を添え、体重移動を利用して投げ飛ばしたのだ。


 ダメージは無いものの、受け身に失敗すると強制ダウンさせる【天津返あまつがえし】。当然の如くティラノサウルスは受け身を失敗し、地面へと倒れ込んだ。



「あぁそれと、そこはのど真ん中アルよ」


「オォォォォォッ!」



 まるで憂炎ユーエンの言葉に応えるように、ティラノサウルスのものではない声が辺りに響く。


 さらにはバキバキと木々を薙ぎ倒す音が徐々に近づいてきて、姿を現したのはティラノサウルスと戦闘が始まる前まで追いかけっこをしていたトリケラトプスの親であった。



 トリケラトプスは正面にティラノサウルスの姿を認めると、スピードを一切緩めること無く───


 ドグシャァッ!!



「ギュァァァァァァッ!?」


 ・あっ!?

 ・なんか来たww

 ・ひぇっ……

 ・もはや交通事故

 ・ティラノサウルス吹っ飛んだww

 ・MvM怖すぎぃ……



 トリケラトプスからすれば、ティラノサウルスは打倒すべき敵である。ただ逃げ回るだけのプレイヤーよりも先に撃破すべきと、トリケラトプスの闘争本能に火をつけたようだ。



「……全力で逃げておいて良かったアルな」


「えぇ……跳ね飛ばされたらああなりますのね……」


「ですが、今のを受けても耐えるティラノサウルスの硬さもおかしいですわ」


「ギュルォォォォォォォォッ!!」



 トリケラトプスに跳ね飛ばされ轍を刻みながらも、体勢を立て直したティラノサウルスが咆哮を上げる。ダメージエフェクトは出ているものの、その鱗はまだ砕けていないようだ。



「貫通攻撃を当てていくしかありませんね」


「サポートしますわ、レリーシャ様!」



          ♢♢♢♢



 近接銃士戦闘スタイル、『Guns&Danceガンズ・アンド・ダンス』……要するに、ダンサー系職業(ジョブ)のステップによって避け、逸らし、躱しながら弾丸を撃ち込む超前傾スタイルだ。


 間近から弾丸を受けたヴェロキラプトルは鱗を砕かれながら吹っ飛ばされ、地面を転がる。その二体が起き上がるよりも早く、鳴り響く炸裂音。


 『マックス』と『カスパール』による追撃が、その二体の頭部を撃ち抜いて沈黙させる。



「【バニシング・ステップ】!」


「ギュアッ!?」



 目の前で分身した私に、ヴェロキラプトルは困惑した声を発する。私に集中していたヘイト値を全て消費し、作り出した20体のデコイに気を取られ───



「【クレッセント・リッパー】!」


「ギュアッ───」



 手応えの無いデコイに噛みつこうとしてたヴェロキラプトルへと、ラビリちゃんの大鎌が襲い掛かる。クリティカル発生で一撃でHPを消し飛ばし、一体のヴェロキラプトルが消えていった。



 私はと言うと、ヘイト値が0になったのを利用して【インビジブル・ステップ】を機動。ほんの3秒のみ、相手には認識できない私だけの時間だ。


 ヘイトが0になった私の代わりにヘイトが急上昇したラビリちゃんへ、ヴェロキラプトルの視線が向いた瞬間───



「単純すぎよ」



 ドパンッ! と炸裂音を響かせ、ヴェロキラプトルの頭部を撃ち抜く。脚を止めたヴェロキラプトルへと銃口を押し付け、引き金を引いたのだ。


 至近距離で放たれた弾丸を耐えられるわけもなく、4体目のヴェロキラプトルを撃破。



 次へ───と最後の一体へと視線を向けると、そこには大鎌でヴェロキラプトルの胸を貫くラビリちゃんの姿があった。


 ラビリちゃんが大鎌を引き抜くと、ヴェロキラプトルはポリゴンとなって消えていった。これで5体撃破だ。



「ラビリちゃん、結構強いわね?」


「カローナさんほどじゃないぴょん」


「私の場合、どっちかと言うと武器と装備の性能が良いしね……」



 ヘルメスさんがかなり強い装備を作ってくれるから強力な素材を手に入れられるし、それによってまた強力な装備が手に入る。


 この好循環が私の強さに繋がっていると思っている。



「こっちは片付いたけど、向こうは……」


「ティラノサウルスがめちゃくちゃ硬そうぴょん」


「トリケラトプスの頭突きを受けて耐えるんだ……」



 いや、まぁセレスさんも居るし倒せないことは絶対無いんだけど……ここで苦戦してても後が大変だ。



 『酒呑童子』起動中だし……ここで使うかな。

 見せてあげよう、ミューロンちゃんが設計した『マックス』と『カスパール』の、本当の威力を!

お読みくださってありがとうございます。

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