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アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~  作者: 風遊ひばり
第七章 ~天地貫く太古の慟哭~
293/300

100万人記念特別コラボ配信! 6

評価・ブックマークありがとうございます!


「「「「「ぶっ倒すっ!」」」」」


 ・草ww

 ・カローナ様が皆に移ってない?

 ・カローナ様はウイルスだった……?

 ・全員脳筋だった

 ・レリーシャちゃん……空気読んだな……

 ・あれ……? ラビリちゃんも脳筋ムーブ似合うぞ……?



 5人の心からの叫びが見事にハモる。

 仕方ないよね……だって親が居ない間に子供を狙って襲い掛かるなんて、姑息すぎて……ティラノサウルスにあるまじき暴挙だ。


 小学生男子の憧れの超有名恐竜なんだから、正々堂々戦いなさい!



「ギュォォォォォォォォッ!!」


「【デモンズチェーン】!」



 ティラノサウルスが私達に気づき咆哮を上げ───セレスさんが発動した【デモンズチェーン】が猿轡のようにその口を縛り上げ、得意の噛みつきを封じる。



「“流雲拳”───」


「“妖仙流剛術”───」



 数瞬の隙を晒したティラノサウルスの懐へと踏み込んだのは、『酒呑童子』を起動し雷を纏う私と、青白い雲を纏う憂炎ユーエンさんだ。


 互いに全く同じタイミングで寸分の狂いもなく、ティラノサウルスの顎へと拳を叩き込む……!



「【天津星砕あまつほしくだき】!」


「【御雷槌みかづち】!」


「ッ!?」



 ズドンッ! と鈍い音と共に地面が揺れ、ティラノサウルスの頭が跳ね上がる。さしものティラノサウルスも驚愕したようで、声すら上げられずに明らかな隙を見せていた。


 そこに飛び込んだのは、空中機動で一気に間合いを詰めたラビリちゃんだった。目から漏れるエフェクトで空中に軌跡を描きながら、巨大な大鎌を振り上げ───狙うのはその首だ。



「その首、頂戴するぴょん! 【クレッセントリッパー】!」


「ギュオォァァァァァァッ!!」



 大鎌を振り下ろすと同時に澄んだ金属音が響き渡り、三日月のようなエフェクトがティラノサウルスの首を薙ぐ。


 『グリムリッパー』の固有アビリティ【クレッセントリッパー】は、相手の首に攻撃を与える場合のみ高倍率の威力上昇が得られるアビリティだ。


 首はどんな生物であっても弱点なわけで、クリティカルも相まって普通であれば一撃で勝負が決まってしまう程の威力となる。



 しかし、どうやらティラノサウルスは普通の相手ではなかったようだ。



「ギュァァァァァァァァッ!!」


「っ!? めっちゃ硬いぴょん!」


「岩でも殴ってる手応えアルなっ!」


「あの鱗をはがさないとダメかしら!?」


「ならば私が───」



 両手にエフェクトを纏う拳聖・・レリーシャさんが前に出ようとしたその瞬間、大きく息を吸い込んだティラノサウルスが天を仰ぐ。


 これは……!



「オォォォォォォォォッ!!」


「っ……! ただの咆哮ではありませんわ! 気を付けてくださいまし!」



 ビリビリと空気が震えるほどの咆哮が樹海を駆け抜け、鳥が一斉に飛び立つ音が遠くから聞こえてくる。何が起こるのかと身構えた直後、セレスさんが警戒した通りのそれ(・・)は、樹海の奥からやって来た。



「「「「「ギュルァァァァァァァッ!!」」」」」


「あーあー、そういうタイプね!」



 樹海から飛び出してきたのは、5匹のヴェロキラプトルだった。ティラノサウルスの咆哮にはスタン効果はもちろんのこと、同じ肉食恐竜を呼び寄せる効果も持っていたようだ。



 まぁ、ヴェロキラプトルはそれほど強くないから、5匹増えたところで私達にとっては取るに足らない相手だ。


 問題は……



「真っ先に狙われるのは私なのよね!」


「「「「「ギュルァァァッ!!」」」」」


 ・あーらら

 ・一斉に迫ってくる恐竜の群れってキモいな

 ・あぁ、カローナちゃんのヘイト高いから……



 視聴者さんが言う通り、私の職業ジョブ影面舞踏姫シャドウ・マスカレード』は、ヘイトの最大値が200%のうえ、バトルが始まった瞬間にヘイトを100%上昇する効果を持っている。


 だからこそ新しくやって来たヴェロキラプトルは全て私を狙うことになり……困ったなぁ……。貫通&装甲破壊のアビリティを持ってるのは私だから、さっさとティラノサウルスの鱗をぶち抜きたいところなんだけど。


 いや……レリーシャさんは拳聖だし、ワンチャン拳で砕けるか。



「ラビリちゃん! 私がヘイトを受け持つからこの小さいやつを狩ってちょうだい! 他の皆はティラノサウルスの方をお願い!」


「わ、分かったぴょん!」


「お任せあれ!」



 さぁて、せっかくだから見せてあげますかね。



「銃士スタイルでも近接戦闘ができるってところをね!」



 殺到するヴェロキラプトルを前に、私は再び『ドレッシング・エフェクター』の茶色を弾き、『魔弾の射手(デア・フライシュッツ)』シリーズに変更し、マックスとカスパールを構えて迎え撃つ!



「ふっ……!」



 ジャンプして爪を振り下ろして来た一匹目に対し、左手のカスパールをぶつけて爪を逸らす。着地したヴェロキラプトルの側頭部を右手のマックスの銃底で叩き据え、それを支えとして引き金を引く。


 突っ込んできていた二匹目の胸に弾丸を撃ち込んでノックバックで弾き返し───瞬時に脚を引いて三匹目の嚙みつきを回避。



「“妖仙流剛術”───【紫電】!」


「グギャッ!」



 噛みつきを避け、閉じた顎に蹴りでの【妖仙流剛術】を叩き込み弾き返す。直後、左右から迫った四匹目と五匹目の噛みつきを、マックスとカスパールで受け止める。


 ヴェロキラプトルはギリギリと力を籠めるも、金剛蟹の甲殻をジャガーノートΩの金属でコーティングした剛性特化の銃に傷がつくはずもない。



「むしろ悪手よ! “妖仙流柔術”───【荒旋あらつむじ】!」


「「ギャウッ!?」」



 銃に噛みついていた二匹のヴェロキラプトルを、両手で円を描くようにして合気の要領で投げる。かつて私が桔梗さんから受けた【荒旋あらつむじ】は、最小限の力で相手を浮かせ、自由を奪う妖仙流アビリティだ。


 困惑の声と共に宙を舞ったヴェロキラプトルは当然回避行動に移ることはできず……【荒旋あらつむじ】を使った後、両腕をクロスさせた状態で構える二丁の銃口は、迷いなくヴェロキラプトルへと向けられている。



 ドパァンッ!


 激しい炸裂音を響かせ、二体のヴェロキラプトルの首を撃ち抜く。赤いエフェクトが弾け、二体のヴェロキラプトルはそのまま地面へと落下した。



「ふふふ……これぞ私が考案した近接銃士戦闘スタイル、名付けて『Guns&Danceガンズ・アンド・ダンス』! ダンスの新しい扉を開くわよ!」


お読みくださってありがとうございます。

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