表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~  作者: 風遊ひばり
第七章 ~天地貫く太古の慟哭~
291/300

100万人記念特別コラボ配信! 4

評価・ブックマークありがとうございます!


「ヘルメスさんの新作装備、『魔弾の射手(デア・フライシュッツ)』シリーズ! そして二丁リボルバー(・・・・・・・)、『マックス&カスパール』! 【ディアキャロル】産じゃない、プレイヤー作の銃でハチの巣にしてあげるわ!」



 私は『ドレッシング・エフェクター』を弾いて一瞬で全身の装備を替える。


 『魔弾の射手(デア・フライシュッツ)』シリーズは全部で5部位。

 つばの大きいテンガロンハット、『魔弾の射手(デア・フライシュッツ)──ザミエル・ツォルン』。


 ワイシャツっぽい灰色のシャツ、『魔弾の射手(デア・フライシュッツ)──ザミエル・フロイデ』


 そのシャツの上から羽織る丈の短い茶色のチョッキ、『魔弾の射手(デア・フライシュッツ)──ザミエル・ガイツ』


 スラっとした脚を強調する濃い藍色のジーンズ、『魔弾の射手(デア・フライシュッツ)──ザミエル・ヴォルスト』


 そして、踵に拍車が付いた膝下ぐらいの高さのヒール付きブーツ、『魔弾の射手(デア・フライシュッツ)──ザミエル・ファールハイト』



 私にしては珍しいパンツルック……胸と太腿がちょっときつくてミチッとしてるけど、まさに『カウガール』といった風貌だ。



 ・ッッッッッ!!

 ・カウガール!?

 ・カローナ様がスカートじゃない……だと?

 ・パンツルックもカッコいい……

 ・あれ? 結構脚太……

 ・ジーンズが悲鳴上げてる

 ・誰か銃にツッコめよ

 ・可愛いカウガールとデカいリボルバー……いいな

 ・プレイヤー作の銃とか言わなかった?

 ・ついに銃作れたんか!?



 【変転コンバージョン】付与剛性特化5段階強化単純加速式大型リボルバー『マックス』と『カスパール』。


 とにかく硬く強靭に作ってあるこの二丁のリボルバーは、オリハルダイン・オラトリア、レオニダス・キングランディア、ジャガーノートΩの素材を使って作られている。


 弾丸はひとまず金剛蟹の甲殻を削ったものを使っていて、熱を衝撃波に変える【変転コンバージョン】によって直接弾丸を撃ち出すため火薬が必要ないのだ。


 その代わり自分に返ってくる反動が強いけど、『魔弾の射手(デア・フライシュッツ)』シリーズによって反動を軽減してくれる効果を持つ。



 ちなみに、私も一応ガンナー系の職業ジョブ、『ガンスリンガー』を取得できた。カサブランカさんから色々と聞き出して頑張ったんだよね。


 けどメイン職業ジョブとサブ職業ジョブが『酒呑童子』と『影面舞踏姫シャドウ・マスカレード』だからガンスリンガーが使えなくて……。


 まぁつまり、私が銃を使う時は職業ジョブ補正無しの武器性能だよりの火力となる。



「けど、強いんだなこれが……!」



 ドパァンッ!


 オレンジ色のマルズフラッシュと炸裂音がフィールドを駆け抜け、私が握る二丁のリボルバーから一発ずつ弾丸が射出される。


 その二発は音速を優に超えて憂炎ユーエンさんを狙っていたヴェロキラプトルへと突き刺さり、体表を覆う鱗をいとも簡単に撃ち砕いた。



 次っ!


 左右のリボルバーを他2体のヴェロキラプトルへと向け、引き金を引く。


 超速で撃ち出された弾丸はそれぞれレリーシャさんとラビリちゃんの横を抜けて正確にヴェロキラプトルの頭部を捉え、鱗を砕いてダメージエフェクトを撒き散らす。


 憂炎ユーエンさん、レリーシャさん、ラビリちゃんが驚きを露にしてこちらを振り向く頃、私は容赦なく追撃を撃ち込んで2体のヴェロキラプトルを沈黙させる。



「ギュアァァァァァァァッ!」



 そんな私を脅威だと感じたのだろう。残った一匹が真っ直ぐに私目掛けて襲いかかる。私のところまで届くまで、約2秒ほど───



「余裕っ……!」



 『カスパール』をインベントリに放り込むと同時、空いた手で六発の弾丸を掴み出す。振り出した『マックス』のシリンダーにその弾丸を正確に押し込み、再びシリンダーを振り戻す。


 ここまで、1.5秒……!



「【バニシング・ステップ】!」


「ギュアッ!?」



 ヴェロキラプトルが爪を振り下ろすも、デコイにはダメージどころか手応えすらない。


 地面を斬り付けるだけに終わったヴェロキラプトルが困惑の声を上げる。必死に本体を探そうとするも、すでにその側頭部へと私は『マックス』の銃口を突き付けていた。



 ドパンッ!


 至近距離から放たれた一撃は軽々と鱗を撃ち抜き、内部を破壊して反対側から飛び出ていく。


 あらゆる生物の弱点である頭部へのクリティカル……当然耐えられるものではなく、HPが0になったヴェロキラプトルは声すら上げられずにその場に崩れ落ちた。



「ふっ……初めてにしてはなかなかの使い勝手じゃない」



 硝煙……は発生しないけど、雰囲気でフッと銃口を息で吹き払った私は、クルクルと手遊びに回して腰のホルスターへと収めた。


 沈黙が場を支配し、セレスさんを含めた4人の視線が私に集中する。



 ……そんなに見られたら照れるぜ。



 ・……えっ

 ・ちょっ、待っ

 ・強すぎんか!?

 ・知らない……そんな銃知らない……

 ・ディアキャロルにもそんなの無かったぞ!

 ・これをプレイヤーが作ったってマジ?

 ・おい銃が使えないって行ってた奴誰だ。クッソ強いじゃねぇか

 ・俺が持ってる奴の数倍の威力があるんだが?

 ・あぁぁ……にこやかに引き金を引くカローナ様とても良い……

 ・リボルバー握ってるカローナ様が終始笑顔でトリガーハッピー



「カローナ様! そんなものどこで手に入れたんですの!?」


「色々おかしいアル! 威力が高すぎるアル!」


「主も流石に困惑しておられます……」


「大鎌のインパクト、完全に消滅ぴょん……」


「すごいでしょこれ! ディアキャロルのミューロンちゃんから設計図貰って、キングランディアとかジャガーノートΩの素材を使ってヘルメスさんに作って貰ったやつで───」



 ペラペラと私の口から説明という名の自慢が溢れ出る。配信者という職業柄、他のプレイヤーと差別化された自分だけの武器って……すごく良いよね。



「一応ヘルメスさんが銃作成のノウハウを手に入れたから、皆さんも素材があればもしかしたら作ってくれるかもしれないわよ!」


 ・マジか……!

 ・祭りくる?

 ・ちゃんと宣伝するカローナ様偉い

 ・でも自慢しまくるカローナ様のどや顔よ……



「ヘルメス様、やはりすごいですわね……」


「ヘルメスさんって有名な生産職プレイヤーですよね? できたら紹介してほしいぴょん」


「浮島の攻略が終わったら紹介するわね!」


「ありがとうぴょん!」



 笑顔で跳び跳ねるラビリちゃん。

 感心した様子のセレスさん。

 銃に釘付けの憂炎ユーエンさん。

 戸惑ってる様子のレリーシャさん。



 うふふ……新作武器と装備のお披露目は大成功だ。といっても『マックス&カスパール』の真価はまだ発揮してないし、もっと強敵を狙っていかないとね!


お読みくださってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ