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アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~  作者: 風遊ひばり
第七章 ~天地貫く太古の慟哭~
285/301

これ、ヘルメスさんへのご褒美になるかな?

評価・ブックマークありがとうございます!


「ぷはっ……! ナイスカルラ!」



 一瞬の暗転の後、私が【空間転移テレポート】してきたのはリュミエール領の屋敷の中だった。


 上手く逃げ切れたようで、私もカルラも傷は無い。



「ムボウニツッコムノハヤメヨウ?」


「うっ……今回は反省してます……」



 後悔はしてないけどね。



 ・カローナ様が逃げるとか珍しい

 ・カルラちゃんの表情ww

 ・キングランディアにアナザーまじ?

 ・確かにあれはヤバそうだったな

 ・やっぱり脳筋じゃないですかー



 コメント欄に目を通しながら、私はさっき見たモンスターのことを思い返す。


 『レオニダス・キングランディア───“皇帝ジ・エンペラー”』……アナザーユニーク(・・・・・・・・)モンスター(・・・・・)だなんて言ってたし、対面しただけで怖かったのは久しぶりだ。


 しかしアナザーとはね……確かにあんな奴が居たんじゃ、私と戦っていたキングランディアがあそこまで追いつめられるのも納得だ。



 何の対策もしていない状態では絶対に勝てないと思ったし、即座に撤退したのは良い判断だったと思う。


 ……まぁでも、女王蜂ほどではなさそうだったけど……。“恋人ザ・ラバーズ”の時みたいに準備して挑んでもいいんだけど、問題は私が“皇帝ジ・エンペラー”を倒して意味があるのか(・・・・・・・)と言うこと───



 ・カローナ様喋って

 ・相変わらず考え出すと黙るという

 ・物憂げな表情で考え込むカローナ様ハァハァ……

 ・キャラデザがイケメンよりだから黙ってても絵になるんだよなぁ



「あっ、ごめんなさい。ちょっと気になることがあって……“皇帝ジ・エンペラー”の出現アナウンスが出た時、アナザーストーリーが始まらなかったなぁって」



 “女帝ジ・エンプレス”であれば『女帝の矜持プライド・オブ・ジ・エンプレス』。

 “恋人ザ・ラバーズ”であれば『恋人の誘惑ファシネイション・オブ・ザ・ラバーズ』。


 アナザーモンスターと対峙した時、その名を冠する『アナザーストーリー』が開始するはずなのだ。



 しかし、“皇帝ジ・エンペラー”と出会ったときはそのアナザーストーリーが始まらなかった。Mr.Q(クウ)の話では、『女王蜂に無視されてクエストが発生しなかった』というエピソードもあるみたいだけど……



「私、“皇帝ジ・エンペラー”に攻撃を仕掛けられたし……敵として認識されてたよね? なのにアナザーストーリー開始しなかったのはなんでかなって……」


 ・あっ、確かに

 ・そんなことある?



「ってことで私の予想としては……多分私があいつを倒しても、アナザーアビリティを得られない可能性があるのよね」


 理由は単純。

 私が女性だから(・・・・・)だ。


 “皇帝”とは、男性の職業だ。私がなろうとしても“女帝”になっちゃうしね。職業ジョブの中にも性別によって就けるかどうかが変わるのもあるらしいし……。


 アビリティにもあるのかもね。



「ってことで、私が無理して倒しに行くほどじゃないって思って……配信を見ているどなたかに譲りますね!」


 ・アナザー討伐祭り再び

 ・アナザーの存在を公開して討伐は譲る聖人

 ・プレイヤー殺到しそうww

 ・カロ畜「倒せるんだったらな」



「そんなこと言ってません! とりあえずジャガーノートΩとキングランディアは討伐できたので満足です!」



 さぁて……素材も揃ったことだし、いよいよ新しい武器を発注する頃合いかな。来週末には大型コラボがあるし、そこに間に合うといいなぁ。



        ♢♢♢♢



 キリが良いところで配信を終えた私は、そのままの足でヘルメスさんの元を訪れる。待ち合わせ場所は相変わらず『閑古鳥』だ。



「ヘルメスさんヤッホーッ!♪」


「カローナか……随分早いな?」


「そりゃもう、注文通りのモンスターを狩ってきましたもん」



 そう言ってジャガーノートΩとキングランディアの素材を取り出す。なかなかの激闘だったから、オリハルダイン・オラトリアほど綺麗な状態ではないけど……まぁ大丈夫でしょ。多分!



「……その内伝説の秘宝とか注文しても持ってきそうだな……」


「あはは、有るんだったらすぐに持ってくるわよ」


「冗談に聞こえないのがなぁ……とにかくこれで素材は揃った。作るのはミューロンから渡されたあれ(・・)でいいんだな?」


「えぇ、それでお願い! どれぐらいでできそう? できれば次の土曜日に間に合うとありがたいんだけど……」


「六日か……まぁできなくはないと思うが」


「お願い! 完成すればめちゃくちゃバエると思うの!」


「まぁ何とかしてやる。任せておけ」


「トゥンク……」


「効果音を口に出しても何も伝わらんぞ」



 ヘルメスさんの朴念仁め!

 女の子がトゥンク(物理)してるのに何も感じないなんて……さては二次元に生きてるな!?



「あっ、ところでヘルメスさん。そろそろ私達のクランの拠点を持ちたいと思わない?」


「拠点? 土地でも買うつもりか?」


「ううん。私の屋敷が結構広いからクラン拠点としては使えるかなって」


「屋敷?」


「あれ? 私貴族になったってヘルメスさんに言ってなかったっけ?」


「いや、聞いてないぞそんなこと。はっ? 貴族?」


「えぇ、ティターニアちゃんに『貴族にしてやる』って言われて」


「 」



 絶句するヘルメスさん。

 そりゃそうか、以前から一緒にプレイしていた私が、いつの間にか貴族になっていたなんて驚きだろう。


 けど実際に私の屋敷に来たらヘルメスさんは、即答でクラン拠点の件は承諾するでしょ。何せ、超可愛い妖精メイドがお世話してくれるのだから!


 ふふふ……メイドスキーのヘルメスさんよ、ガチのメイドに溺れるが良い!


お読みくださってありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
275話の弟よ、あんたもしっかり男の子ね?後半(ヘルメスさんからの素材依頼時あたり)でヘルメスさんから貴族になった噂を聞いてるとの発言があったかと思うのですが今回後半のエピソードと矛盾してませんか?
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