素材集め・ルナティック 7
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「さて、じゃあさっそく次に行きましょうか!」
・元気だなぁカローナ様
・ジャガーノートΩ倒してすぐ『キングランディア行こう』って言えるバイタリティよ
・俺にも昔はこんなやる気に溢れた時期があったんだよなぁ……
・今ではもうパソコンばっかに向き合って……
・おい、悲しくなるからやめろ
「あはは……反応に困るからほどほどにね」
私のコメント欄で過ぎ去った青春を思い出すかのように話し出す視聴者さんを見て、私は苦笑いする。
高校生の私からすれば反応に困るし……私の視聴者さんって、結構平均年齢高め?
「っと、今はそんな場合じゃなくて……」
やってきたのは、【ユピテル】の次の街、【サトゥルノ】とその次の【ウーアノス】との間に広がる【グランサイト大草原】。背の低い植物が広がるだだっ広いここは、現実世界のサバンナと似たような生態系が構築されている。
そんな【グランサイト大草原】の頂点に立つモンスター、それが『レオニダス・キングランディア』だ。
一匹の“キング”に対して複数のメスの『レオニダス・ランディア』がハーレム……じゃないな、ライオンの群れは『プライド』って言うんだっけ?
まぁとにかく、私が目標としているキングランディアは無数の通常種に囲まれているということだ。
「【恋人】との戦闘で、モブを避けながら本体を狙う戦いは慣れてるつもりだけど……」
・あれな……顔がもうあと3つぐらいないと説明できない動きしてたよね……
・でもあれってゾンビ戦法があったからじゃね?
・ランディアの群れは統率が取れてるしなぁ
・ザ・ラバーズに群れてた雑踏とはわけが違う
「そうなんですよね……」
『恋人』に群れていたあのモンスターの群れは、あくまで毒で洗脳されて正気を失ったモンスター達だった。自分の意思で群れを成す最上位クラスのモンスターの強さとは───
なるほど、最強格とも言われるわけだ。
「ま、とにかくまずは群れを見つけないとどうしようもないし……カルラ!」
「カ———ッ!」
「悪いけど、上空からキングランディアを探してくれない?」
「ワカッタ」
私の頭の上に現れたカルラにそう頼むと、カルラは簡単に返事をして私の頭から飛び立つ。なんか雑用ばっかりさせてる気がして……たまには労ってあげないとダメかしら。
♢♢♢♢
「あっ、お帰りカルラ!」
カルラが飛び立ってからしばらく、早速発見してきたらしいカルラが戻って来た。【空間転移】でいきなり私の頭の上に現れるのはビックリするけど、可愛いからよし!
「どうだった? 見つかった?」
「ミツケタケド、オモッタノトチガッタ」
「思ったのと違ったってどういうこと?」
「ミレバワカルトオモウ」
「なるほど……オッケー! じゃあさっそく連れて行ってくれる?」
「ウン」
私の両肩を掴み大きく翼を広げたカルラは、そのまま【空間転移】を発動する。私の視界は一瞬暗転し、直後に目に映ったのは、自分の遥か下にある地面だった。
「っ……!?」
「アバレナイデ」
「いやっ、だっていきなり上空に現れるなんて普通ビビるじゃない!」
あー、ビックリした。
普通に落ちるかと思った……。
と言うか、大人しくしてないと本当に落とされかねない。カルラには逆らわないようにしておかないと……。
「で、『思ったのと違う』って言うのはあれね?」
「ウン」
広大な草原を上から眺めると、その中にポツンと一つの影が見える。広い草原を立った一匹で移動するその影は、よく見れば大きな体躯に褐色の立派な鬣……
「あれって、どう見てもキングランディアですよね?」
・遠くてあんまり見えないけど多分そう
・カローナ様、目良くない?
・キングランディアが一匹だけでいるってなんかおかしいよな
・リーダー争いで負けたとか?
「あー、リーダー争いね……」
アネファンに関しては、モンスターの生態系はかなりしっかり作り込まれている。同族同士の仲間意識はあるだろうけど、群れのリーダー争いの話は別だ。
群れのリーダーとなれば全てを手に入れられるし、逆に争いに負ければすべてを失う。その結果が、視線の先に居る個体なのだろう。
「キングランディアが一匹だけでいて、しかもリーダー争いで消耗した後ってめちゃくちゃチャンスなんだろうけど、そんな背景を考えちゃうとね……まぁ狩りに行くけど」
・草
・同情した雰囲気出しといて狩るのかよww
・この外道ぉっ!!
・鬼畜脳筋カローナ様
・これ配信しても大丈夫な奴?
「ええぃ! 狩りやすい獲物から狙うのは必然、この世は弱肉強食なのよ! さ、カルラ!」
「ッ……!」
カルラが私の両肩を離すと同時、私は『ドレッシング・エフェクター』を弾いて『ゴールデンアヴィス』シリーズに変更。そして【ホライズン・ゲイザー】、【メタバース・ビジョン】、【次元的機動】発動!
そしてぇっ!
「【アトモスブレイカー】!」
【次元的機動】で下に向かって加速した私は空気の壁を突破してさらに加速する。
【アトモスブレイカー】は、【スリップストリーム】から進化したアビリティだ。空気抵抗を避けるのではなく突破することで、私の速さはさらに一段階上がる!
両手に握ったアンフィスバエナを、肩に担ぐように振り上げる。
既にキングランディアは目前、アンフィスバエナは眩い黄緑色のエフェクトを纏い───
「グォッ───」
「【風烈砕撃】!」
アンフィスバエナを振り下ろすと同時、超局所的に起こったダウンバーストが、キングランディアへと襲い掛かった。
お読みくださってありがとうございます。




