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アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~  作者: 風遊ひばり
第七章 ~天地貫く太古の慟哭~
280/300

素材集め・ルナティック 5

評価・ブックマークありがとうございます!


 “妖仙”の名の元に顕現せし究極の【嵐】。

 全てを吹き飛ばす暴風に乗せ、超重量のアンフィスバエナを振り抜く!


 ボッ! と空気を切り裂いて振り回したアンフィスバエナは、目にも留まらぬスピードでヘビ型の尻尾に直撃した。



「キシャァァァァァッ!」


(かっ……たいわねっ!?)



 金剛蟹の甲殻でできた刃でさえ両断は叶わず、表面を削る程度に留まる……と言うか、表面はめちゃくちゃ硬いくせに、柔軟で形が簡単に変わってしまう。


 そのせいで衝撃を上手く伝えられず、普通に耐えられてしまったようだ。



「ふっ……!」


「ギュオォォァァァァッ!」



 悔やんでいる時間すらない。

 ジャガーノートΩは、すでに次の行動に移っているのだから。


 振り抜いたアンフィスバエナの片刃を地面に付き刺して止め、小さく息を吐いて瞬時に身体を沈める。



「っ……おぉぉっ!」



 私の背中を掠めるように通り過ぎるジャガーノートΩの爪を感じながら、身体を沈めた勢いのまま地面を蹴って反転───そのまま踵でアンフィスバエナを蹴り上げて追撃する!


 このステップは私の得意技の一つ、『バタフライツイスト』だ!



 『ゴールデンアヴィス』シリーズによる【変転コンバージョン】によって衝撃波を受けたアンフィスバエナは再び加速、爪を振り抜いたジャガーノートΩの腕の付け根に直撃する。



「グルルルルルッ!」


「生身の部分も硬いの……ねっ!」


 ・早い早い早い

 ・くるくる回るなこの人

 ・こんなクソでか武器良く扱えるなホントに

 ・その攻撃を受けて斬れないジャガーノートΩがおかしいんだよな……



 アンフィスバエナを手放し、それが落下するよりも速く───【次元的機動ディメンジョンマニューバ】の効果によって宙を滑り、そのままさらに半回転。


 『バタフライツイスト』で蹴り出した脚とは逆の足で、アンフィスバエナをシューーーーッ!



「グガッ!?」



 サッカーのボレーシュートのように空中で蹴り上げたアンフィスバエナは、急加速してジャガーノートΩの顔面を強襲。


 その頬を切り裂きながら、ジャガーノートΩ頭上へと通り抜けていった。



 まだまだぁっ!


 アンフィスバエナの蔦を括りつけていた私は、その重量と勢いを利用してジャガーノートΩの目の前から離脱。空中で体勢を整えながら、蔦でアンフィスバエナを引き戻す!



「“妖仙流柔術”───【黒旋颯こくせんはやて】!」



 ジャガーノートΩの頭上およそ10mほどで停止したアンフィスバエナは、妖仙の【嵐】を受けて再び加速する!


 一瞬の停止───直後、轟音。

 投げる直前と投げる瞬間のスピードの差が大きければ大きいほど威力が上がる【黒旋颯こくせんはやて】によって、投げを放った次の瞬間にはヘビ型の尻尾を襲って地面に突き刺さっていた。



「フーッ! なんかテンション上がって来た!」


 ・やっぱチートだよこれ!

 ・アナザーアビリティ中に別のアビリティを使えるのはともかく、蔦が腕扱いなのがね……

 ・その高さから投げ技打ったらそりゃ強いだろうよ

 ・さすがにこれで尻尾も斬れ……てない!?

 ・ジャガーノートΩも硬すぎんよ……



 まだ斬れない?

 よろしい、ならば斬れるまで斬るだけよ!



 『ドレッシング・エフェクター』の『黒と金』を弾き、装備を『冥蟲皇姫インゼクトレーヌ』シリーズに変更!


 蔦を縮めて空気の抵抗を減らし、身体に纏うは黒紫のバフエフェクト。私の元祖変転(コンバージョン)、【ポイズン・グロー】によって毒をバフに変換する!



 今回はそれだけじゃないわよ!


 私の頭に咲いているバラの花から放たれる臭気を、『冥蟲皇姫インゼクトレーヌ』に吸収させる。


 『冥蟲皇姫インゼクトレーヌ』シリーズがバフに変換できる毒は、何もディアボロヴェスパの毒に限らない。“恋人ザ・ラバーズ”なんていう、特別製の毒を吸収したら───!



 直後、鎧から滲み出たバラ色のエフェクトが黒紫を飲み込み、幻想的な光景を作り出す。バフの量は今までの比にならないほどのもので、『禍ツ風纏(まがつかぜまとい)』の効果と相まって私のステータスは爆上がりだ。


 ……装備に負荷がかかってそうだから速攻で行くわよ!



「【スリップストリーム】!」



 空気抵抗軽減のアビリティを使用し、『鴉天狗』に備わっている空中ジャンプでスタートを切る───



 刹那。



「【極量閃舞ごくりょうせんぶ】!」


 ・んぇ?

 ・何が起こったし

 ・カメラが見失ったぞww

 ・はっや!?

 ・ほぼ閃光やんけ……



 赤い閃光が宙を切り裂き、一瞬遅れて爆発のような打撃音が鳴り響く。


 【極量閃舞ごくりょうせんぶ】は、短時間で多段ヒットする棒術系アビリティだ。それを今の私の状態で放ったもんだから、一瞬で数十発叩き込まれた打撃音が連なって一つの破裂音となって聞こえてしまう程だった。



「カッ───」



 ミシミシと怪しい音を漏らしながら大きく弾かれるヘビ型の尻尾は、それでもなお斬れずに堪えている。


 マジか、これも耐えるんだ……。

 【妖仙流柔術】で叩きつけたアンフィスバエナを数発と【極量閃舞ごくりょうせんぶ】を受けてなお、反撃しようとしているなんて……。


 金剛蟹だったら何回か死んでるよ?



「けど、これで───」


「シャァァァァアッ!」



 ドギュッ!


 ガパッと開かれたヘビの口からレールガンが放たれる。すでに目の前まで来ていた私は、その至近距離で放たれた超音速の一撃を避けることはできず……胸を貫かれた私の身体は、ゆらりと揺らめいて消えていく。



「残念、それは【蜃気楼しんきろう】だ」


 ・死……んでない!?

 ・んんっ!?

 ・アビリティを発動していた☆

 ・何が起きたし



 簡単な話、ヘビがレールガンで貫いたのは、私が【蜃気楼しんきろう】で生み出した幻影だ。


 【木ノ葉舞】から進化したこのアビリティは、【バニシング・ステップ】と違って回避もアビリティ効果に含まれているから、こういう緊急回避に非常に便利である。



(超ギリギリで冷や汗ものだったけどね!)



 けど、レールガンを放ったこの瞬間、ヘビは硬直中。次の一撃は確定する……!



「“妖仙流剛術”───【禍震霆かしんてい】!」



 それは、“妖仙”の名の元に顕現せし究極の【雷】。

 妖気を雷に変換することで爆発的な破壊力を発揮する打撃は、文字通りの雷速でヘビ型の尻尾に突き刺さり───



「シャァァァ───」



 今度こそ、その尻尾を吹き飛ばしたのであった。


お読みくださってありがとうございます。

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