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アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~  作者: 風遊ひばり
第七章 ~天地貫く太古の慟哭~
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素材集め・ルナティック 4

評価・ブックマークありがとうございます!


高火力、高耐久のジャガーノートΩと正面切って殴りあうよりも、【恋人ザ・ラバーズ】の毒を打ち込んで操った方が安全で確実だ。


 ただしそれを可能にするためには、状態異常の回復機能がある機械の尻尾を破壊する必要がある。



 制限時間は、【恋人ザ・ラバーズ】が解除されるまでの3分間。



「目的を『尻尾の破壊』だけに絞るんだったら、意外と不可能ではない……わねっ!」


「キュォォォォォッ!」



 距離を空けたことによって遠距離攻撃モードになったらしいジャガーノートΩのヘビの形をした尻尾から、私に向かってレールガンが放たれる。


 バチバチと電気を纏い始めた瞬間から予想していた私は、『ダイハード・バックラー』をすでに取り出していたのだ。



 身体を屈めつつ、下から押し上げるように弾丸を叩き、パリィ成功。


 ギィンッ! と激しい音を立てて私に逸らされたレールガンは、そのまま遥か彼方まで貫いていった。



「破壊するだけなら『ゴールデンアヴィス』がマストよね……検証のためとはいえ、【旋穿蜂壊せんせんほうかい】を使ったのはミスったかしら」


 ・今何か、レールガンパリィしなかった?

 ・涼しい顔をしてとんでもないことしてるの草

 ・人間の域を越えてない?



「まぁこれゲームだし」



 纏う電気と顔の向きから軌道とタイミングを読んで、その先に盾を置いておいただけだ。


 慣れれば意外と簡単なのよね。



「さぁて……」



 ここからは超急戦だ。

 視聴者さんに説明するために一旦離れたけど、このまま距離を空けていては一方的に遠距離攻撃をされるばかり。


 ……結局、『近づいて殴る』に帰結するんだよなぁ、私。



「”くろく、くろく、くろく、蒼窮覆う黒の迦楼羅天”───『鴉天狗』、起動!」



 スピード重視の妖怪化、『鴉天狗』を起動する。溜め込んだ妖気が黒い翼として出現し、私の肌は若干黒く変化する。


 続いて『ドレッシング・エフェクター』を弾き、全身の装備を『ゴールデンアヴィス』シリーズに変更しておく。



 さらには『禍ツ風纒(まがつかぜまとい)』を起動し、HPを犠牲に全ステータスを上昇していく!



「ついでに……これも使おうかしら」



 インベントリから取り出したのは、黒いバラとクリスタルで彩られた小さなイヤリング『アモル・ノワール』。


 少し前に『|猜疑に満ちた仮面舞踏会ラ・クンパルシータ』に行ったときに使っていたものだ。



 これは【変転コンバージョン】によって高濃度の【恋人ザ・ラバーズ】の毒を生成でき、経口摂取によって臭気の吸引よりも遥かに高い効果を与えることができるアクセサリである。



 5つのアクセサリ枠に、カメラとマイク、『禍ツ風纒(まがつかぜまとい)』、『ドレッシング・エフェクター』、『アモル・ノワール』。


 5つの装備枠は、全部位『ゴールデンアヴィス』シリーズ。


 いよいよ私の装備枠も埋まっちゃったわね。これ以上別のアクセサリを着けるなら、カメラかマイクを外すことに……



「ま、それはないわね!」


「グォォォォッ!」



 ジャガーノートΩが爪を振るい、放ってきた斬撃の波動を掻い潜る。その裏で放ってきていた広範囲の火炎放射をジャンプで避け、私はジャガーノートΩを捕らえんと蔦を伸ばす。



「ギュォオッ!」


「っ……!」



 音もなく振り抜かれた爪が、私の蔦を纏めて両断。ダメージは無いけど、身体の一部を切り落とされる感覚に顔をしかめる。


 が、



「蔦ばかりに対応してて良いのかしら?」



 【次元的機動ディメンジョン・マニューバ】起動!


 ジャガーノートΩが前足を上げて蔦を切り裂いたその一瞬の隙に、リキャストを終えていた【次元的機動ディメンジョン・マニューバ】で空中を滑り、一気に間合いを詰める。



 ジャガーノートΩは四足歩行故、脚を上げて爪攻撃で対応したら咄嗟に次の行動に移れないわよねぇ!



「グッ、オ───」


「させないわよ!」


 ・ひぇっ

 ・うわっ、痛そう

 ・タマがヒュンッてなった



 息を吸い込み、咆哮を放とうとしたライオンの頭のその口へ……『ゴールデンアヴィス』の衝撃波によって射出された超重量の双頭剣アンフィスバエナが深々と突き刺さり、咆哮を防ぐ。


 さすがに体内は硬くないのかな?

 ダメージエフェクトの量から察するに、ダメージは十分。



「ふっ……!」



 ジャガーノートΩの身体に絡めた蔦を某巨人のマンガの立○機動装置のように使って一気に肉薄!


 すれ違い様にライオンの頭からアンフィスバエナを回収し、頭上を通り抜けて背中側へ。


 狙うはヘビ型の尻尾だ。



「シャアァァァァァッ!」



 レールガンでは間に合わないと判断したのだろうか。牙を剥いたヘビ型の尻尾は、明らかに毒々しい液体を牙から滴しながら噛み付いてくる。



「その毒は食らいたくないわね……!」



 【次元的機動ディメンジョン・マニューバ】を利用した空中スライディングで牙を回避。


 私の顔の真上を通過するヘビ型の尻尾を目視しながらその付け根を通り抜ける。



 直後、スライディング状態から瞬時に身体を起こした私は、アンフィスバエナを両手で握り、ジャガーノートΩが振り向くよりも速く───


 背中の黒翼を散らしながら、遠心力を乗せて叩き込む!



「"妖仙流柔術"───【山嵐】!」



 ボッ! と空気を引き裂く音を響かせて加速したアンフィスバエナは、遠心力をたっぷりと乗せたままヘビ型の尻尾の付け根に直撃した。


お読みくださってありがとうございます。

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