堂々と直結を狙うセレスさん
評価・ブックマークありがとうございます!
「カローナ様ぁぁぁんっ!」
「んむっ……!?」
い、いったい何が起こったのよ!?
声の主であるセレスさんは、上空から一直線に私に飛び込んできて、その勢いを受け止めきれずに二人一緒になって地面に転がった。
私の顔はセレスさんの巨乳にガッツリと埋まり、呼吸ができずにセレスさんの背中をタップする。
「やっと見つけましたわカローナ様!」
「んむっ……苦しっ……!」
「突然すみません、カローナ様の姿を見つけたら我慢できなくて───」
「っ……~~!」
「あら、ごめんあそばせ!」
窒息判定が出かかったところで、ようやくセレスさんに解放され、私は息を吸うことができた。
ハァ、ハァ……ちょっと至福───じゃなくて。
「今配信中なんで……」
「あっ……お、お邪魔してしまいましたわ! ごめんなさい……また出直しますわ」
「あー……いや、別にセレスさんが映っても良ければ、私は構わないけど……」
確かに配信中に乱入はビックリしたけど、セレスさんにはいろいろとお世話になってるし……セレスさん、そろそろ登録者数1000万行きそうなぐらい増えてるのよね……。
コアなファンが多いし、セレスさんが出てると彼女目当てで私の配信の視聴者も増えるから、この乱入は正直私にとってもかなりプラスになるんだよね。
そんな打算があるから、私は別に怒ってない。
寧ろ歓迎よ!
「あら、そうなのです? カローナ様さえよければ、私のことはどれだけ映していただいても構いませんわ!」
「ただし! 私の配信に協力してね?」
「もちろんですわ!」
「じゃあさっそく、見てる皆さんに挨拶お願いします!」
私がカメラを手に取ってセレスさんに向けると、セレスさんは白銀のドレスの裾を正し、背筋を伸ばす。一瞬で配信モードになったようだ。
「皆さん、突然来てしまってすみません。カローナ様に許可を頂いたので改めて名乗らせてもらいますわ! 『パレードリア』クランリーダー、ゴッドセレスですわ!」
・ストーカー乱入ww
・セレスちゃん出てるぅぅぅぅっ!?
・胸に埋まるカローナ様
・デッッッッッッッ
・割と頻繁に乱入してくるなこの人
・セレスちゃんの突撃ってこれハラスメント判定にならんの
・美女美少女同士の百合配信ハァハァ……
あっ、同接数増え始めてる……さすがセレスさん効果……。
「それで、セレスさんはどうして私のところへ?」
「えぇ、それなのですが……カローナ様!」
「は、はいっ!」
「チャンネル登録者数100万人突破おめでとうございますわ!」
「えっ?」
「えっ?」
「100万人超えてました?」
「えっ」
・えっ
・えっ
・カローナ様知らなかったんかいww
・自分のチャンネルなのにww
・他の人から言われて登録者数に気づく配信者て
・おめでとう!
・鳩が豆鉄砲喰らったような顔で草
「つい昨日のことですが、カローナ様のチャンネルの登録者が100万超えたのですわ! どうしてもそれを祝福したくて、アネファンの中で探し回っていたのですわ!」
「それなら連絡くれれば良かったのに……」
「それではサプライズにならないんですもの」
「そういうもんかね……いや、でもありがとうございます! 100万人って、私も正直想像していなかった数字になってきましたねぇ」
●オルゾ・イツモ:[¥10,000] おめでとう!
●テングスタン:[¥10,000] おめでとうございます!
●プレーンかき氷:[¥5,000] いつの間にかこんなに立派になって……
・むしろやっとって感じじゃね
・確かに、まだ100万だったっけ? って感じ
・ゆうてプライマルとスペリオルから急激に伸びたしな
「オルゾ・イツモさん、テングスタンさん、プレーンかき氷さん、スパチャありがとうございます! 三人とも私の配信はいつも見てくれてますもんね」
「それで、ぜひ私からもお祝いがしたくて……」
「セレスさんも? 私は別にそんなこと気にしませんよ?」
「いえいえ! こういった節目のお祝いは大切ですし、私がしたいんですもの! ぜひプレゼントを受け取ってくださいませ!」
「そこまで言うなら……ありがとうございます、セレスさん!」
「どういたしましてですわ! ってことですので、後でカローナ様にDM送りますわね!」
「DM? あれ、プレゼントってゲーム内のアイテムとかじゃないんですか?」
「はい、私が用意したのはリアルの方で役に立つものですから、リアルの方でお渡ししたいのですわ!」
「ってことは……」
「はい! 私のスタジオにいらしてくださいませ!」
・キタァァァァァァッ!
・これは現実でも百合カップル誕生か?
・Mr.Qに引き続きセレスさんまでもカローナ様の中の人と……
やっぱりそう来たか!
セレスさんって、確か超高級タワーマンションの最上階とかで配信してなかったっけ? 昔の配信で部屋の中映してるときあったし……。
そんなセレブ配信者の招待って……期待しても良い? セレスさんは信用してるし、セキュリティ面でもかなりしっかりしてるだろうし……となれば。
「お邪魔します!」
「ふふ、嬉しいですわ! では私のスタジオの住所をDMで送りますので、すぐにでも来てくださいな!」
そんなわけで、急遽決まった、セレスさんのスタジオ訪問。
せっかくセレスさんが来てくれたんだし、今日のところはひとまずセレスさんに協力してもらってレベリングや素材集めをしつつ、私はその日の夜セレスさんからのDMを確認したのだった。
お読みくださってありがとうございます。




