表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~  作者: 風遊ひばり
第六章 ~我、陽陰相見えて調和を望む~
261/300

対PKクラン戦 15

評価・ブックマークありがとうございます!


「一時凌ぎにしかならないが……再び眠りにつかせるしかない」



 今目の前で襲い掛かってくるコカパク・トラリは、ダークエルフが知っている『古の獣』とは大きく異なる姿をしているらしい。


 が、その性質はコカパク・トラリのもので、遥か昔からこの地に住んでいるダークエルフですら知らない何かが起こっているようだった。



 ダークエルフ曰く、『古の獣』———コカパク・トラリは、ダークエルフが住むこの地を守って来た神のような存在で、コカパク・トラリを倒すことはすなわち、この地が死ぬことになるらしい。


 しかし、何らかの影響で姿が変わっているコカパク・トラリを何とかしなければ、このまま全滅を待つのみ。


 だからこそ、再び封印・・するというのだ。



「眠りにつかせる……つまり封印ね。私達はどうすればいいかしら?」


「時間が欲しい! 上手くいくかは分からないが、祭壇儀式魔法・・・・・・を使う!」



 『祭壇儀式魔法』とは、文字通り祭壇を用いて発動する大規模魔法である。祭壇・・という構造物と、複数人による長い詠唱が必要となるため取り回しは悪いが、セレスの【極魔の滅却エーテリアル・デストラクション】すら凌駕する魔法を発動できるのだとか。


 その祭壇を用いて、コカパク・トラリを封印するのだという。


 そこまでしないと封印できない相手だということか……。



「オッケー、何分要るのかしら?」


「10分で何とかする。皆の者、集まれ!」



 彼女の号令が響くと、戦っていたダークエルフ達が集合し、集落の中央へと向かっていく。その先には、切り出された岩のブロックが積み上げられてできた構造物があった。


 あれが祭壇ってわけね。



Mr.Q(クウ)、聞いてた!?」


「把握した! みんな、10分間ダークエルフを守りきるぞ!」



        ♢♢♢♢



 祭壇に集まったダークエルフは、祈りを捧げるように膝をつき、初めて聞く言葉で詠唱を開始する。すると、彼女達の身体を淡い光が包み、それが祭壇へと集まって徐々に大きくなっていくのが見えた。


 全員ではないとはいえ、大勢のダークエルフが祭壇へと集まったのだ。生み出された大量の土偶とコカパク・トラリの本体は、そちらに狙いを定めて動き出す。



「はっ……!」



 そんな土偶たちの前に立ちはだかった私は、アンフィスバエナを振るって土偶を弾き飛ばす。


 すでに何度も攻撃を受けてきた土偶は限界だったようで、アンフィスバエナの一撃を受けたことで粉々となり、そのまま砂となって崩れていった。



(一定量のダメージを与えれば倒せるわけね……確かにタフだけど、動きが遅くて遠距離攻撃も使ってこないだけマシか……)



 けど問題は……


 『ゴールデンアヴィス』シリーズに目を向けると、チャージは残り100%を切っている。つまり、鎧に搭載されている『オリハルダイン・オラトリア』の魔石3つの内、2つのチャージを使い切ってしまったということだ。


 二回の【ドゥルガースマッシュ】で大盤振る舞いしたとはいえ、ちょっと心もとない数字だ。



「だから防衛戦って苦手なのよね……」


「何だったら、カローナちゃんは攻めてもいいよ?」


「攻めてって……相手は向こうは攻撃が効かないのよ?」


「翻弄させるだけでもいいさ。少しでも注意を逸らせれば、攻撃が緩くなるかもしれないし」


「そういうことなら……!」



 『ドレッシング・エフェクター』の『黒と金』を弾き、全身装備を『冥蟲皇姫インゼクトレーヌ』シリーズに変更。


 【変転コンバージョン———ポイズン・グロー】によってステータスをぶち上げる! 薙刀を握っていない左手を地面につき、前傾姿勢で……よーい、ドンッ!



「ふっ……!」



 目に宿した【メタバース・ビジョン】の残光を宙に描き、【サードギア】と【スリップストリーム】によって残像が残るほどのスピードで私は駆け抜ける。


 目指すは、コカパク・トラリ本体だ!



 コカパク・トラリの大木のような足を足場にしてジャンプ、下から斬り上げるように『魔皇蜂之薙刀』がその顎へと叩き込まれる。


 ガキィンッ! と岩を叩いたような音と共に、コカパク・トラリの頭部が僅かに揺れる。もちろんダメージは無いけど……気を逸らせれば充分!



 未だ効果中の【次元的機動ディメンジョン・マニューバ】で宙を滑るように移動し、コカパク・トラリの頭部へ着地。その一瞬で『ゴールデンアヴィス』シリーズへと変更した私は、コカパク・トラリの頭部を踏みしめ———



「【ドゥルガースマッシュ】!」



 一撃で12ヒットする攻撃アビリティが、花火のようなエフェクトを咲かせて衝撃波を齎す。ダメージは無くても、強力なノックバックと【変転コンバージョン】による衝撃波は通るのだ。


 ズンッ———という鈍い音と共に、再びコカパク・トラリの頭部が上下に揺れる。



 まだまだぁ!


 再び『ドレッシング・エフェクター』を弾いて『冥蟲皇姫インゼクトレーヌ』シリーズに変更! 薙刀でガリガリと頭部を引っかきながら私が移動する先は、コカパク・トラリの目の前だ!



「ギュロロロッ!?」


「【バニシング・ステップ】!」



 目の前に現れたことで無理やり稼いだヘイト値を全て消費し、無数のデコイを目の前に生み出す。


 20体のデコイでコカパク・トラリの視界を塞ぎ、わずかでもダークエルフから視線を逸らす……だけじゃないわよ!



「【穿旋蜂壊せんせんほうかい】!」



 生み出したデコイの一体を自ら貫き、コカパク・トラリの眉間へと【穿旋蜂壊せんせんほうかい】を叩き込む。


 『防御貫通』に『装甲破壊』も備えた一撃だ! これでちょっとは———



「ギュロロロロッ!」


「わわっ!」



 まるで目の前に飛んできた虫を払うかのように、腕を振るって私を払いのけるコカパク・トラリ。


 あぁそうですか、無傷ですか……分かってたけどさぁ、クソボス過ぎない? まぁだけど、私を振り払おうとしたってことは、ダークエルフじゃなくて私を狙ったてことよね?


 ならこのまま攻めまくってあげるわよ、注目を集めるのは得意なんだから!


お読みくださってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ