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アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~  作者: 風遊ひばり
第六章 ~我、陽陰相見えて調和を望む~
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作戦会議!(そして即脱線する人達)

評価・ブックマークありがとうございます!


 私が【ディア・キャロル】でこってり搾られた翌日、クラン『アーカイブ』の拠点内にある会議室。

 そこには、アネックス・ファンタジアをプレイするプレイヤーなら誰もが知っているであろう、錚々たるメンバーが集まっていた。



「お非~リアさん、集まったのなら始めようぜ?」


 総合ランキング7位───『マスクドヒーロー』オウガ。



「えぇ、そうですね……皆様、本日はお集まりいただき、ありがとうございます」


 総合ランキング6位───『重装聖騎士イージス・パラディン』お非~リア。



「カローナ様も関わっていますもの、いつでもどこでも駆け付けますわっ!」


 総合ランキング5位───『アークマギアス』ゴッドセレス。



「ここまでメンバーを集める必要があるのか?」


 総合ランキング4位───『魔導騎士メイガスナイト』ダイヤモンド。



「いや、実際油断できない相手だと思うよ?」


 総合ランキング3位───『曲芸師』カサブランカ。



「ま、強い相手と戦えれば何でも良いネ!」


 総合ランキング2位───『拳聖』スターストライプ。



「確かに髑髏會の人数は多いけど、これだけのメンバーが集まったんだ。負ける気はしないね」


 総合ランキング1位───《勇者》Mr.Q。



「助かる~! みんな集まってくれてありがとう!」


 総合ランキングなし──『酒天童子』カローナ。



 誰をとっても、ランキング最上位のメンバーばかりだ。

 ……私以外は。



「確かに、これだけのランカーが集まったのですから……確実にPKクランを潰しましょう」


「早速話の腰を折って悪いけど……Mr.Qの隣にいる美人は誰なんだ?」



 ダイヤモンドさんのその言葉に、Mr.Qが座るその隣へと視線が集まる。


 そこにいるのは、私でもセレスさんでもない。きっちりしたドレスを着こんだ物凄い美人な女性が座っていた。



 ゲーム内では珍しい、黒髪ロングな清楚系。緩やかにウェーブがかった髪を蝶の髪飾りが彩り、白いドレスと相まって幻想的な雰囲気だ。


 歳は私より上……セレスさんと同じぐらいに見える。



 Mr.Q(クウ)にあんな美人な知り合いがいた……だと?



「彼女はスピカ、楽団・・クラン『エトワール・フルーグ』のリーダーで、俺が知る中で最高のバッファーだよ」


「「『エトワール・フルーグ』!?」」



 反応を示したのは、私ともう一人。私の隣に座る、私と息ピッタリの彼は、プレイヤー名『ファルコン』……つまり、私の弟だ。


 そうなんだよね。

 負けられない戦いになるから、私も自前のバッファーを連れてきていたのだ。



 そんな私とファルコンが反応したのは、スピカさんというプレイヤーが所属するというクラン、『エトワール・フルーグ』という名を聞いたから。


 私の間違いじゃなければ……



「も、もしかしてスピカさん……現実でも『エトワール・フルーグ』っていう楽団をやってたりしませんか……?」


「あら、知っていたのね? えぇ、私は交響楽団『エトワール・フルーグ』のヴァイオリニスト、乙姫おとひめです」


「「っ!?」」



 『エトワール・フルーグの乙姫おとひめ』といえば、世界に名を轟かせる日本のプロヴァイオリニスト。それも並ぶ者すらいないほどの技巧の持ち主で、英国皇室の面々の前で演奏した経験すらある、ぶっちぎりのプロである。


 当然私も小さい頃から何度も演奏を見に行ったし、隼翔はやとなんか彼女に憧れてヴァイオリンを始めたというぐらいのファンである。



 まさかまさか……アネファンの中で会えるだなんて……!!



「あ、あのっ……! 私カローナって言います! ファンです、握手してください!」


「僕ファルコンです! お会いできて光栄です!」


「えぇ、喜んで」


「君ら……えぇ……」



 椅子を蹴飛ばしながらスピカさんに群がる私とファルコン。そんな私達を見ながら、メンバーの皆は呆気にとられた様子であった。


 人知れずムッとした表情を浮かべる、Mr.Q(クウ)とセレスさん……いやでもしょうがないじゃん、ファンだもん。



 まさか乙姫おとひめさんもアネファンをやっているとは……アネファン内での楽器の扱いはかなり難しいけど、乙姫おとひめさんなら全く心配なさそうだ。



「あー、その……えっと……」


「どうかしたかしら?」



 憧れの人を前に、何かを言おうとしながらもなかなか言い出せないファルコン。仕方ないなぁ……ここは私が一肌脱いであげよう!



「実はファルコンもヴァイオリンやってて……乙───スピカさんと合わせたいなって思ってるんですよ」


「ちょっ!? そこまで言わなくていいからっ!」


「あら、そうなの?」


「えぇ……あっ、でも心配しなくて良いですよ? ファルコンの演奏、余裕でプロレベルあるので」


「へぇ……それは興味あるわね……」


「お姉ちゃん、マジで止めて? そんなハードル上げまくって……しかもスピカさんに、恐れ多いっ……!」


「腕前は間違いないわよ? ファルコンってば、伊達に『妖精女王星楽団コンサートマスター』の座に着いてないからね」


「「「「「っ!?」」」」」



 私のその言葉を聞いた途端、ガタタッと音を立てて全員が立ち上がりファルコンへと注目する。


 ふふふ……計画通り、ファルコンの実力を明かすのには絶好のタイミングだったみたいね!



「コンサートマスター!? 妖精女王ってあの!? つーか『お姉ちゃん』って、カローナちゃんの弟!?」


「カローナちゃんって弟いたんだ?」


「あー、確かに言われれば似てるかも……」


「ゴッドセレスさんはあんまり驚かないですね? こういうのには一番テンション上がりそうなのに……」


わたくし堕龍おろち戦の時にお会いしたことがありますので♪︎」


「『妖精女王星楽団』は、ラ・ティターニア様直属の交響楽団……その中でもコンサートマスターにまで上り詰めたファルコンは、私の知る限りで最強のバッファーなのよ! ……それも、スピカさんに負けないほどの、ね」


「……うふふ、今のは私への挑戦状と受け取っておきますね」


「いやっ、あのっ───」


「当たり前じゃない! 行けっ、ファルコン! 君に決めたっ!」


「ちょっ、待っ───」



 お姉ちゃんのバカ野郎ぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!


お読みくださってありがとうございます。

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