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アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~  作者: 風遊ひばり
第五章 ~猜疑に満ちた仮面舞踏会~
217/300

趣向を変えた配信も、たまにはいいかもね

評価・ブックマークありがとうございます!


 闘技場の中央で睨み合うのは、私でもミカツキちゃんでもなく、Mr.Q(クウ)とスターストライプさんだ。


 総合ランキング1位と2位の決闘に、注目の一戦だと観客がざわつき出す。


 こうなったのは、ほんの数分前に遡る———



        ♢♢♢♢



「ところでカローナよ、次の試合はせぬのか?」


「あー、ちょっと中断しちゃったからね……ミカツキちゃん、どうする?」


「うーん……」


「えっ、何その嫌そうな顔」


「だってお姉さん脳筋……まともに私に教えてくれないじゃん」


「うっ……」


「お姉さん、教えるの下手?」


「うぇぇぇぇぇんっ! ミカツキちゃんがいじめるよぉ!」


「カローナ、みっともないのじゃ」


「待って、追撃しないでティターニアちゃん」



 なんか最近、こうやって被弾すること多くない!?


 いや、別に教えるのが苦手なわけじゃないんだよ?

 でも、ダンスだったら私の動きがそのまま見本になるし、基本的に全員がほとんど同じ動きだから教えやすいってだけで……ミカツキちゃんのバトルスタイルの説明が難しいわけで———


 あれ?

 それって教えるのが下手ってことじゃ……



「よし、配信どうする?」


「なんでそんな清々しく切り替えられるの?」


「いやぁ、喋れば喋るほどドツボにはまる気がして……一応視聴者さんも待ってるし、早めに再開しないと———」



 ピロンッ! と通知音が響いたのはその時だった。



「んっ? メッセージ? えっと……あっ、Mr.Q(クウ)からだ」


「確認しといたほうがいいんじゃない?」


「いいの? うーん……まぁミカツキちゃんがいいって言うなら……」



『決闘お疲れ、カローナちゃん。今VIP席に居るっぽいけど、次の決闘はしないの?』


『今ちょうどミカツキちゃんと相談してたところよ』


『ってことは、予定が決まってないってことかな? それならちょうどよかった。スターと決闘することになってたから、その様子を配信してほしいなって』


『別にいいけど……いつ?』


『今から』



「今から!?」


「どうしたの?」


「あっ、えーっと……うちのクランのクウ……じゃなくてMr.Qと、スターストライプさんが決闘するから、それを配信してほしいって」


「へー……えっ、その二人ってプロゲーマーって……」


「うん、しかも総合ランキング1位と2位」


「最高峰の戦いってこと?」


「そういうこと」



 どうやらミカツキちゃんも興味津々な様子。

 まぁ、プロの戦いにもなると、見るだけでも勉強になるしなぁ……最初からMr.Q(クウ)に頼めばよかったんじゃ……?


 悲しくなるからやめよう。

 実際、Mr.Q(クウ)ってめちゃくちゃ強いし、戦い方綺麗だしね。


 ……別に見惚れてるわけじゃないからね!



 っと、そろそろ配信再開しないと……バイノーラル機能、スイッチオン!



「フ———ッ♡」



 ・ッッッッッッ!?

 ・んぁあっ!?

 ・ぇあ゛っ

 ・カローナ様に息がっ、耳にっ!?

 ・あっ(昇天)

 ・ビックリした!?

 ●カローナ様のブーツ:[¥5,000] 好きです

 ●チョロリスト:[¥3,000] 助かる^~



 再開早々、バイノーラルモードに変えたマイクに向かって優しくを息を吹きかけると、待っていた視聴者さんからのコメントが一気に加速した。


 狙いました、ごめんなさい。


 ノーマルモードに戻してと……



「皆さんお待たせしました! 配信の続きなんですけど、ちょっとMr.Q(クウ)から連絡がありまして」


 ・Mr.Qから?

 ・1位と普通に繋がってるカローナちゃん

 ・同じクランだから……だよな?

 ・カローナ様が普通に名前で呼んでるって……

 ・いや、そんなまさかな



「いや、何もないからね? んで、どんな内容かと言うと……Mr.Q(クウ)とスターストライプさんが決闘するから、私にそれを配信してほしいって。皆さんも見たいですか?」


 ・Mr.Qとスターストライプ!?

 ・1位と2位の決闘だと?

 ・それは確かに気になる

 ・それぞれ別の相手と決闘してるのはよく見るけど、その二人がぶつかるのって確かにあんまり見ないな

 ・カローナ様解説して



「私が解説? いいけど……やったことないし、多分下手よ? できる限りはやるけど……っと」



 そんなことを言っている間に、Mr.Q(クウ)とスターストライプさんの順番が回ってきたようだ。


 2人は一定の距離を空けて向かい合い、不敵な笑みを浮かべて対峙している。



「そろそろ始まるみたいね? じゃあ……2人とも世界トップレベルのプロだし、どっちに転んでもおかしくない一戦ね」



 ・カローナ様、解説下手か?



 うるせぇ。



『Mr.Q vs スターストライプ、決闘開始!』


お読みくださってありがとうございます。

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