PvPの街、ネプチューンへ
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翌日の夕方、『ディー・コンセンテス』初の5人での共闘が開始。
ハイライトその1。
『エリアボス: ダイハード・メガランチュラ に遭遇!』
「キュラ———』
「【アヴィス・アラーネア】! っし、捕縛成功!」
「【一閃蜂騎】! クリティカルで確定ダウンよっ、スターストライプさん!」
「【ドゥルガー・スマッシュ】! 【グラウンド・ゼロ】! アーンド、【コンチネンタル・インパクト】!」
「ッ———!」
『エリアボス: ダイハード・メガランチュラ の討伐に成功!』
『プレイヤー名: ミカツキ に称号 《樹海を踏破せし者》 が送られます』
『【ユピテル】への道が開かれた!』
「えぇ……」(ドン引き)
ハイライトその2。
『エリアボス: アーマード・ワイバーン に遭遇!』
「ギュオォォォッ!」
「くそっ、位置が高い!」
「任せて! ”黒く、闇く、深く、蒼窮覆う黒の迦楼羅天”———『鴉天狗』、起動! からのぉ……」
「ギュアッ!?」
「【妖仙流柔術———黒旋颯】!」
「墜ちたなっ! 囲め囲めっ!」
「Woooooooooohoooooooooooo!」
「ギュッ、ガッ———」
「みんな退いて~っ! 【妖仙流剛術———御雷槌】!」
「ッ!!」
『エリアボス: アーマード・ワイバーン の討伐に成功!』
『プレイヤー名: ミカツキ、カローナ に称号 《厳嶺を踏破せし者》 が送られます』
『【サトゥルノ】への道が開かれた!』
「えぇぇ……」(2回目)
ハイライトその3。
『エリアボス: ゴルゴーネ に遭遇!』
「シャァァァ———ッ!?」
「OK、目は潰した。石化の心配はない」
「さすがFPS最強! あとはこっちのもんだ!」
「ヘビの捌き方とか知らないけど、これであってる!?」
「殴れば大体なんでも倒せるネ!」
「ジャ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ッ!」
『エリアボス: ゴルゴーネ の討伐に成功!』
『プレイヤー名: ミカツキ、カローナ に称号 《冥底を踏破せし者》 が送られます』
『【ウーアノス】への道が開かれた!』
「えぇぇぇ……」(3回目)
ハイライトその4。
『エリアボス: アイスコフュン・プレート に遭遇!』
「ゴロロロロロ———」
「ラストだ、全力で行く! 【変転】起動! ”天の鍵よ、我が意に応え道標を示せ”! エクスカリバー!」
「“水鏡に凪げ、浮世現世嘆く月下の盃”———酒呑童子!」
「「せーのっ、【双舞鶴】!」」
「ゴロロロッ!?」
「オーライオーライ……The end! 【究極の神技———ティタノマキア】!」
「ゴッ———」
『エリアボス: アイスコフュン・プレート の討伐に成功!』
『プレイヤー名: ミカツキ、カローナ に称号 《氷獄を踏破せし者》 が送られます』
『【ネプチューン】への道が開かれた!』
「えぇぇぇぇ……」(4回目)
♢♢♢♢
「ふぅ……お疲れ、移動も含めて2時間かからないかぐらいか。超早かったな」
「お疲れ様! こんなに早く終わるなんて……というか、やっぱりスターストライプさんの火力がおかしいって。最後のやつ数十mぐらいの巨体だったのに一撃って!」
「セレスに抜かれるまで瞬間火力ランキング1位だったからな。そりゃ強いぜ」
「そうだったんだ、化け物じゃん」
「私から見たらお姉さんたち全員化け物なんだけど?」
「ちょっとミカツキちゃん! 私そんなこと言われたら泣いちゃう!」
あまり積極的に戦闘に参加していないにも関わらず、やけに疲れた様子のミカツキちゃんがそう呟いた。まぁ、私も最初にMr.Qの戦いを見た時もそう思ったし、仕方がないのかも。
そんな風に駄弁りながら辿り着いたのは、地上では最後の街である【ネプチューン】。【ユピテル】と違いレンガ造りの建物が多く、少し気温が低いけど、どことなく温かみがある長閑な雰囲気の街だ。
「雪山を超えてきた割に、ここは寒すぎなくてよかったわ……」
「あぁ……アイスコフュン・プレートのエリアまで行く途中のカローナちゃん、あれはちょっと可哀そうだったからね」
「酷いよね!? 『冥蟲皇姫』は背中がら空き、『ブリリアンドール』はミニスカ、『フルール』はぴっちりしてて生地が薄いし、『妖仙之姫』は腋巫女だし……そんな服装で雪山アタックは自殺行為だって! ね、ヘルメスさん?」
「うっ……なんかすまん……」
私の心からの叫びに、製作者さんは居たたまれない表情だ。まぁ、装備の性能に助けられてるからいいんだけど……。
でも寒さでHP減っていくのは初めての経験だったなぁ。
「でさ、長閑な街に似合わない、あの巨大な建物は何よ」
「あれね、PvP用のコロシアムだよ」
Mr.Qが言うには、【ネプチューン】にはPvPガチ勢が多く集まるらしい。
地上では最後の街であるため、堕龍を倒して浮島のマップが解放されるまでは、多くのボス級モンスターを乗り越えてきた猛者達が最終的に到達する街だったのだ。
モンスターとの戦いに飽きた彼らは、次第にプレイヤー同士で戦い始め……それが広まっていき、結局PvPの聖地的な街になったのだった。
あのコロシアムも、『建築士』の職業を持つプレイヤーが集まって建てたものなんだとか。
「すごいわね……」
「結構楽しいところだよ。カローナちゃんが飛び込んだらみんな喜んで相手してくれそうだしね」
「それって配信者の私と関わりたいだけなんじゃ……」
「いいじゃん。あれだけノリノリで視聴者を煽って人気集めてるんだからさ」
「あんた、私をなんだと思ってるのかしら!?」
「結構強気な振る舞いをしてるけど、内面はちゃんと乙女なお姫様」
「っ……!///」
「視聴者参加型のPvP配信とかしたら面白そうなんだけどなぁ……」
「じゃあさ、私にも戦い方教えてくれない?」
ふとそんな発言をしたミカツキちゃんに、私達の視線が集まる。
「えっ、何? 私変なこと言った?」
「いや、ミカツキちゃんってあんまりバトルとか進んでやらないと思ってたからさ、意外だなって」
「そうなんだけど……私弱くて、前のクエストでも苦労したから……」
前のクエストというのは、多分堕龍戦のことだろう。
……めっちゃ暴れ回ってた気がするんですが?
あのロリコンドラゴンに乗ってノリノリで……あれか、私と同じでテンションでパフォーマンスが上がる手合いか。
ほんの少しの間だけ目を伏せていたミカツキちゃんは、直後にハッとした表情を浮かべ、ニヤッと口を歪める。
「ってことで、お姉さんたちに教えてほしいなって。私みたいな可愛い子からのお願いだもんね? 断れないよねぇ?」
「ふへっ……もちろん教えてあげるわよ? その代わり……ちょ~~~っと私のお願いも聞いてくれるかなぁ?」
「ぇ……えっ?」
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