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アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~  作者: 風遊ひばり
第四章 ~親愛なるーーーーへ~
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親愛なる————へ 1

評価・ブックマークありがとうございます!


 突如として発生した強い風に、私達が今いる村長さんの家が揺れる。


 生物のものではない(・・・・・・・・・)、得も言われぬプレッシャーが襲いかかる。


 そのプレッシャー故か、はたまたトラウマ故か……村長さんは小さく悲鳴を上げながら、頭を抱えてその場に踞った。



「ひぃっ……! き、来た……あれじゃっ、方舟・・じゃ! 方舟が、また儂らを喰らいに来たのじゃ!」


「っ……!」



 村長さんのその言葉を聞いた私達は、即座に外へと駆け出す。


 暗闇の中に浮かび上がる巨大な影は、到底生物のものではない……というか、どう見ても飛行船(・・・)だ。


 ヘリコプターに次ぐ……いや、ヘリコプターを越える技術力を感じる、あまりにも場違いな物体。


 どこから現れたのか? とか、この飛行船はなんなのか? とか、様々な疑問が湧いてくるけど……


 まさかこの、明らかにオーバーテクノロジーなこれ(・・)を相手にしなければいけないの……?



 絶句する私達4人の様子など関係ないとばかりに、飛行船の一部が音を立てて開いていく。


 そして───



『プレイヤーの存在を確認しました。直ちに【ディア・キャロル】内へ送還を開始します』



 無機質な音声が響くと同時、私の意識はブラックアウトした。



        ♢♢♢♢



『送還完了』


記憶メモリーの回収を開始します———』


『……——Loading——……』


『【因子】の存在を確認しました』


記憶メモリーの回収を一時的に停止し、戦闘データの測定を開始します』



「んっ……」


「あっ……カローナ様、起きましたか?」


「ぉわっ……!」



 ふと目を覚ますと、目の前にセレスさんの顔があった。

 くぅぅ……なんというビジュアルの暴力……同性の私でもドキッとするわ……。


 ……あれ?

 セレスさんは、寝てる私の顔を覗き込んで、何をしようとしてたんだろう?



「さてカローナ様、ここは何処なのでしょうか」


「え? うーん……【ディア・キャロル】内に送還って言ってたから、あの飛行船の中なんだろうとは思うけど……」



 私とセレスさんがいるここは、縦も横も10mは優に超えていそうな、広くて何もない部屋だった。全面がガラス張りになっていて、その奥には何やら見慣れない機械が並んでいる。



「ジョセフさんとヘルメスさんは?」


わたくしが目覚めた時から姿が見えませんでしたわ。離れ離れになってしまったようですね……無事だと良いのですが……」



 確かに少し心配だ。

 ヘルメスさんが持つ魔道具が強力なのは、【霧隠れの霊廟】を攻略した際に知っている。けど、元々が非戦闘職だ。


 ジョセフさんもそうだから……私やセレスさんが合流するまで耐えてくれるといいのだけど……。


 ヘルメスさんもプロだから、簡単にやられたりしないとは思うけどね。





「セレスさん、アナウンスの内容って覚えてる?」


「えぇ、『戦闘データの測定』でしたわね。わたくしとカローナ様は、おそらくここで戦闘をさせられるのでしょう」


「十中八九そうよねぇ……」



 私とセレスさんは戦闘職がメインだから、『戦闘データの測定』をさせられるのだろう。となると、非戦闘職の二人は何をさせられるのだろうか……。



「ま、考えたって仕方がないわね。こっちはこっちで、目の前の問題を解決しないと」


「そうですわね……ジョセフ様とヘルメス様には申し訳ありませんが、わたくし達が到着するまで待っていていただきましょう」



 私とセレスさんが意思を共有したところで、ゴゴゴッ———と重々しい音を立てて、私達の前方にある床が開いていく。


 そして現れたのは———



「グォォォォォッ!!」


「ちょっ、まさかのティラノサウルス!?」


「それは想定外ですわぁっ!」



 10mは超えていそうな巨体。

 全身を覆う、鎧のような分厚い鱗。

 ナイフのような鋭い牙。


 それは紛れもない、超有名恐竜の『ティラノサウルス』であった。


 かつて大地を闊歩し頂点捕食者として君臨していたのだろうと、はっきりと分かるほどに強者の覇気を纏っている。


 とりあえず【鑑定】を行う。


————————————————————


Name:モデル《Strength》・プロトタイプ

Lv:99


————————————————————


「普通に強いわね!?」


「やるしかなさそうですわね、カローナ様は前衛をお願いしますわ!」


「もちろん、セレスさんには一切攻撃を向かわせないわよ!」


「突然イケメンになるカローナ様が好きですわ!」



 ……冗談を言える辺り、セレスさんも余裕がありそうだ。

 狂っ……熱狂的過ぎてちょっと言動に気になる部分はあるけど、セレスさんが後衛でサポートしてくれるという安心感はやっぱりすごい。



 尻尾による薙ぎ払いと噛み付き、突進……あとは咆哮に威圧効果もありそうだ。


 とりあえず【マキシーフォード】と【ドゥヴァン・デブーレ】でAGIにバフを盛り、【スーパー・ビジョン】で動体視力を、【変転コンバージョン】で基礎ステータスを上昇させる。



 さーて、『戦闘データの測定』だったっけ?

 どこの誰が見てるのかは知らないけど、この程度の相手ぐらいボッコボコにして度肝を抜いてあげるわ!



お読みくださってありがとうございます。

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