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アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~  作者: 風遊ひばり
第四章 ~親愛なるーーーーへ~
160/299

”恋人”は、花の香りに誘われて 2

評価・ブックマークありがとうございます!

 

 何回ゾンビアタックしても、倒すどころかダメージを受けた様子もないボスってな~~んだ?













 クソボスだよ、クソボスっ!

 なんだこれ、本当に私の攻撃効いてる!?


 すでに5回のリスポーンを経た私は、再び"恋人ザ・ラバーズ"へと吶喊しながら悪態をつきかけ……あわてて息を止める。


 カルラが臭気を飛ばしてくれてるとはいえ、接近したら吸ってしまう危険性も高い。



 それに、今は配信中だしね。

 配信で悪口流したら炎上しちゃう。


 相手は植物だからか、"恋人ザ・ラバーズ"本体からの攻撃は激しくない。周囲のモンスターにさえ気を付ければ、私はほとんどダメージを受けなくなった。


 私自身かなりの数間引きしたし、"恋人ザ・ラバーズ"が自己再生のために捕食してるし。



 それにしても……回復速度が速すぎるのよ!

 せっかく蔦を切ったのに、目の前で新しく生えてくるんじゃないわよ!


 ニョキッ♪︎ じゃないわよ! 喧嘩売ってんのか!?



 まぁいいや……『魔皇蜂之薙刀』ならスパスパ斬れるし。単純にDPSが足りてないだけ……って、致命傷じゃん。


 それにまだ問題はある。それは───



「ゴァァァァァァッ!」



 ───こいつだ。上空から襲ってくる、『デウス・ゴアトルス』。


 カルラが臭気を飛ばしてくれてるお陰で、周囲には広がっていないけど……たまたま上空に来た『デウス・ゴアトルス』が臭気を吸って、私に襲いかかってくるのだ。


 意外と強いんだよねこいつ。



「ふっ……!」


「ゴアァァッ!」



 私に向けて急降下してくるゴアトルスの嘴の先に、『魔皇蜂之薙刀』の突きを合わせて【木ノ葉舞】を発動。


 宙返りの要領でゴアトルスの頭の上へと回った私は、急降下する勢いのままゴアトルスを地面に叩きつける!


 ゴシャァッ! っと激しい音とダメージエフェクトが弾け、ゴアトルスの嘴から鈍い音が漏れる。


 ラッキー!

 その嘴、貰うわね! 【旋舞打擲】!



 分裂して見えるほどの速度で『魔皇蜂之薙刀』をゴアトルスの嘴へと叩き込む。

 頭から激突したゴアトルスは、脳震盪で動けない様子。

 その数秒があれば十分!


 バキンッ!

 音を立てた嘴が砕け、宙を舞う。

 素材となった嘴を一旦放置、薙刀を引き絞り、狙うは嘴が砕けた後の傷口だ。



「【グラン・ペネトレイション】!」


「ッ———!」


・ひえっ

・カローナ様それはエグイ

・傷口に刃物を突っ込むのはやめたげてぇっ!



 赤黒いエフェクトを纏う刺突がゴアトルスの頭部に吸い込まれ、軽々と貫いて後方へと突き抜ける。断末魔すら上げることなくその命を散らしたゴアトルスが、力なく地面に崩れ落ち———



「ちょっ……!?」



 そのゴアトルスに殺到した“恋人ザ・ラバーズ”の無数の蔦がその身体を絡めとり、本体の元へと引きずり込む。


 これだ。

 私がモンスターを倒すと、その度に捕食を繰り返して“恋人ザ・ラバーズ”はリソースを回復していく。


 モンスターを捕食することによる驚異的な回復速度と、そのモンスターを用意するための催眠能力。最強モンスター談義で『ネペンテス・アグロー』の名が挙がるのも頷ける。



 ただ、“恋人ザ・ラバーズ”本体の性能は低い。

 斬撃は特に効くから、『魔皇蜂之薙刀』で攻め立てればいずれ討伐はできそうだ。


 それまでに私が生きてたらね!



 ゴアトルスの嘴を回収しつつ、息を思い切り吸い込み……そして止める。

 【サードギア】! からの、【グリッサード・プレシピテ】!


 地面を砕くほどの踏み込みと同時、私の身体は“恋人ザ・ラバーズ”と交差してその後方へと駆け抜ける。一秒にも満たないその間で複数回の斬撃を受けた“恋人ザ・ラバーズ”の茎は大きく斬れ———



「ゴァァッ!?」

「ブモォォォッ!」


「またこれだよ……」


 ・全く削れてる気がしない

 ・進んでる気がしない分キッツいなこれ

 ・相手強くない?



 瞬時に二体のモンスターを取り込んで、切断されかかっていた茎が繋がっていく。手ごたえがない分、逆に不毛な戦いだと思ってしまう。


 【グラン・カブリオール】と【無重力機動アグラビティマニューバ】を使用して、宙返りしながら“恋人ザ・ラバーズ”へと最接近。狙いは、最も特徴的な花弁の部分だ。


 幾重ものエフェクトを纏い、凄まじい勢いで空中を翔ける私は薙刀を振るい———



「っ!」



 私の軌道を塞ぐように殺到した蔦に邪魔され、【グラン・ジュテ】を使って空中でバックステップを踏む。私の速さと『魔皇蜂之薙刀』の切れ味なら、捕まったとしても割と簡単に抜けられると思うけど……息が続かない。


 蔦の対処に手間取って、呼吸が限界になったら終わりだからね。安全マージン、これすっごく大事。



 しかし……花弁を狙った途端、予想以上に反応してきたわね……。ということは……弱点、そこなのね?



お読みくださってありがとうございます。

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