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アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~  作者: 風遊ひばり
プロローグ ~V配信者、かの地に降り立つ~
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夏休み。勉強、スポーツ、そしてゲーム。

今までハイファンタジーばかり書いていましたが、VRゲームものにも挑戦していきます!

読んでくださるとありがたいです(_ _)


「表彰状、高等学校ダンス選手権大会関東地区予選優勝、ダンス部代表、2年1組、四条 加奈子」


「はいっ」



7月下旬の終業式、名前を呼ばれた私———四条しじょう 加奈子かなこは壇上へ向かった。


この時期の体育館の暑さと湿気はすさまじい。

この場にいる生徒の多くがダルそうにしているが、私が壇上に上がるこの瞬間はなんとなく視線が集まった気がする。


そして、校長先生に促されるままに全校生徒へ向けて全国大会出場に向けての意気込みを語ると、体育館内には割れんばかりの拍手が響いた。



「また四条さんか……」


「四条さんがダンス部入ってホント変わったよな……去年から2回連続全国大会出場?」


「しかも四条さんって全国模試もトップレベルじゃなかったっけ?」


「モデルのスカウトとかもしょっちゅうだって、チョー羨ましい……」



「スタイルもルックスも完璧で、学力もダンスも全国レベル……完璧超人って漫画の中だけじゃなかったのな」


「四条先輩……いいよな……」


「お前には無理だ。諦めろ」


「夢ぐらい見させてくれよ……」



ふぅ、ようやく終業式も終わり……明日から夏休み。全国控えてるけどね。

帰りのホームルームも終わり、私は一息ついた。



「四条さん! 夏休みに俺ら海に行く予定なんだけど、一緒にどう?」


「いやいや、俺と一緒にバーベキューを……」


「プール……」


「夏コミ……」


「えっと……部活とか色々忙しいからごめんね……?」



私はどうも、人気があるらしい。

いや、自意識過剰ってのは分かるけど、客観的に見てそう判断してもいいだろう。



学力は全国トップ、所属するダンス部では、他の強豪私立校を抑えて全国へ導くほどの実力があり、街を歩けばナンパやスカウトは後を絶たない。それでもなおお高く留まるようなことは無く、校内外問わず人気は留まるところを知らない。


『高嶺の花』、『文武両道の極み』……周囲の私への評価はそんなところだ。


そんな私には、内緒にしている秘密があった。誰にも明かしていない秘密が——



        ♢♢♢♢



「皆さんこんにちはー! 『カローナチャンネル』にようこそ! 早速今日も配信やってくよー!」



画面に映るアバターが、私の動きをトレースして動き出す。ピンクと紫のゆるふわウェーブヘアに大きなリボン、強めのアイシャドウにフリフリのロリータファッション……到底現実の私とは結び付かない姿のアバターだ。


簡単に言うと、私はバーチャル配信者ライバーである。

勉強に部活に実家からの色々なプレッシャー……配信をしている間は、そういった抑圧から解放されて、本来の自分を出せている……ような気がする。


ちなみに『カローナ』の由来は、私の名前の『加奈子』から取って、加奈子→カロ奈→カローナ、といった具合だ。


私はわりと気に入っている。



●オルゾ・イツモ:[¥5,000] 毎晩19:00の女神降臨

・待ってました!

・お待ちしてましたわ!


「あ、オルゾ・イツモさん、スパチャありがとうございます!」



・どうせウルスマやるんだろうなっていう安心感がある

・今日は何やるの?

・俺ぁもうこいつがなけりゃ生きていけねぇ体になっちまった



「ンッふ、唐突に笑わせてくるのやめてもらって。残念ながら今日はまずお勉強のお時間です」



・カローナママとお勉強!

・いや正直言って勉強の時間ありがたい

・高校、大学と英語が赤点ギリギリのまま卒業したワイがカローナママとお勉強を1年続けた結果、TOEICが800点を超える

・カローナママとお勉強と聞いて。いやマジで全国の高校生はこの配信見た方がいい

・これはマジ。俺も高校生だけどテストの点数上がりまくって親に不正を疑われてる



「TOEIC800点ってすごいですね……でも私のお蔭じゃなくて、あなたが頑張ったからよね。よく頑張りました」



・ママぁ!

・ぁっ……これはママ

・我が生涯に一片の悔い無しっ……!

・こういう一言がコアなファンを増やすんだよなぁ



「それじゃあ、まずは数学から……」



          ♢♢♢♢



説明しよう!

ウルスマとは、『ウルティマ・スマッシュSP』のことである!


『家庭用ゲーム機』というものが普及し始めた黎明期から、時代とともに形を変え、愛され続けて百余年。フルダイブ型VRゲームが普及し、ディスプレイ型ゲームはレトロだとまで言われる昨今において、古き良き『吹っ飛ばしアクション』スタイルを守り続ける『ウルティマ・スマッシュSP』は、格闘ゲームの金字塔とも呼ばれるほどの大人気だ。


要するに、『一度始めると止まらない』ということである。



「ジャスガから掴んで……あ、それ確定で入るのよ。はい、私の勝ちー」



・カローナ様強すぎぃ……

・何回見ても勝ち方が綺麗だよなぁ

・カローナさんや、ちょっとだけって言いながらもう20戦やってるんですがそれは

・勉強1時間やってからだから誰も文句言えないけどね。格ゲー以外やんないの?



「もうちょっとだけ! もうちょっとだけだから! 今流れ来てるから!」



・言ってることがパチンカスのそれなのよ

・あー、確かにカローナ様が格ゲー以外やってるの見たことないな

・格ゲーに拘ってそう



「別に拘ってるつもりはないんだけど……ほら、私って控えめに言って格ゲー強いじゃん? はい、21連勝」



・控えめじゃなくて草

・自己肯定感くっそ高いの好き

・でも実際そうだよねって説得力ある



「格ゲー得意だからやりたくなるし、それで満足しちゃうからなぁ。やりたくないわけじゃないけど、食指が動かないみたいな? あっ、じゃあさ、逆に皆さんのおすすめのゲームとかありますか?」



・アネファン一択

・アネファン

・アネファン

・ぜひ! アネックス・ファンタジアを始めてくださいまし!

・転生したら○○だったんだが? ってやつ



「ごめん、最後のめっちゃ気になるけど……ほとんどアネファン押しなのね。私タイトルは知ってるけど詳しく知らないのよね。結構新しいゲームだよね?」



確かにたまには格ゲー以外も何かやろうかなって思ってたし、いい機会かも。

せっかく視聴者さんからのリクエストがあったわけだし、見てくれるかな。



「んー、よしっ! じゃあリクエストの多かった『アネックス・ファンタジア』をやってみようかと思います! 配信日はSNSをチェックしてくださいね~」



・そう言ってくれると信じてた

・カローナ様のアネファンプレイは激熱

・キタ――――(°∀° 三 °∀°)――――

・ま つ り が は じ ま る


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