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恋なんて知らなかった 【前編】  作者: 湯川 柴葉
第一章 ある日突然
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第2話 私の本音

毎日2話投稿予定(午前3時と午後3時に1話ずつ)

 昨日、近藤さんと言う教授から、さらりと告白された。どさくさ紛れじゃないかも知れないけれど、不意を突くようなタイミングで。


 近藤先生は、私と同じ学部学科の男性教授だ。――3つくらい年上だったかな?

 基本的には私の担当する管理栄養士に関する分野とは違うのだけど、まあ同じ学科だから、打ち合わせすることも、たま~にある。

 でも、私的には、あまり用事はないけどねぇ。


 それはさておき、まず、私は彼のことをどう思っているのだろう?


 別に男前なわけじゃないし――ま、普通よ、普通――、背も高くはないし――普通よ、普通――、若くもないし――私も若くないから、ここは普通にしてあげるわ――、声も話し方も別に普通だし、そもそも妻帯者だから対象として考えたこともない。つまり、論外だったのよね、普通だから。


 嫌いだったわけでもなく、好きだったわけでもなく、空気でもなく、置物でもなく、壁でもなく、石ころでもなく、う~ん、説明できないや、……そんな感じ。あれ? ちょっと(ひど)い書き方になったかも知れないけど、要するに、何でもない路傍(ろぼう)の人。


 その普通さんである路傍の人が、美人の私に色目を使うの?

「顔洗って出直してこい!」

 つて、言ってやりたい。でも、上品で知性溢れる私は、そんな品性のない言動はしません!

 

 見た目は、真面目そうではあるけれど、真面目な男性が妻子ある身で妻以外の女性を口説く? そんなことしたらダメでしょ? それって、真面目じゃないでしょ? 男って信用できない生き物? それを言ったら、女も信用できない生き物かも知れないから、性別問題は不問にしておこう。


 それに、40才を過ぎた私は、余程のことがなければ結婚なんてしたいとも思わない。第一、この歳前後で残ってる男なんて、まともなのがいるわけない。まあ、離婚したとか死別したとかの例外はあるかも知れないけれど、初婚のおじさんなんて敬遠したほうが安全だわ。こぶつきも要らないし。


 ――「おじさん」という表現をしているけれど、それなら私も「おばさん」と言われなければならないのは、もちろん分かっています。でも、敢えて言わせて貰いたいのは、結婚している人と未婚の人とは違うのだということです。特に、「未婚の女性」というのは、子供も産んでないし生活疲れもしてないし、お洒落にも気配りしている人が多い。だから、一般的には「型崩れ」してないので、「おばさん」とは呼んで欲しくないのです。学生のようにピカピカじゃないかも知れないけれど、まだ「お姉さん」と呼ばれたい。――願望です。


 ちょっと表現がおかしいのは承知の上で敢えて言うと、『なんで今更知らん男の世話をせにゃならんのか分からん』という感覚だ。知り合ったら知った男になるのだけど、そういう意味じゃないからね。あくまでも感覚の世界の話。


 もちろん素敵な王子様が現れて恋をしたら、『え? そんなこと言ってませんわよ、おほほ』となるのは、当たり前!


 ま、この歳で今さら子供が欲しいわけじゃないし、結婚という牢獄みたいなところに入る必要性もない。ここまできたら、死ぬまで自由を謳歌するのだ。とは言っても、素敵な男性が現れたら恋くらいはしてみてもいいかな? なんて結構勝手なことを考えることもある。女を捨てたわけじゃないからね。恋をするのも自由だもの。


 老後が寂しいなんて言う人多いけど、ご主人をなくされた未亡人方のほとんどが、「せいせいして、楽しい!」とニコニコしながら言っている。住む所と生活費さえあれば、人は生きていけるのだ。


 だったら、結婚なんてしないで、――そしたら子育てもしないで済むし――、若いときから楽しく暮らせばいいではないか? それこそ充実した人生を送ることができる。できの悪い子供が生まれたり主人が浮気したら悩まないといけないだろうし。――その点、独身は気楽だ。


 人口問題があるのは分かっているが、子供を産んで育てたくなる環境を作るのは政治家の仕事だ。何故、結婚や子育てに夢と希望を与えられる世界にしてくれないのだろうか? いや、男性も結婚や子育てに夢を持ってないかも知れない。それなのに、政治家さんたちは権力争いや忖度しあってる場合じゃないと思う。形だけ男女同権だと言っても、もはや女心は動かないのに。


 もちろん、恋して結婚して子育てする夢を否定しているわけではない、人生いろいろだから。でも、仕事に情熱とまではいかなくても、仕事が楽しかったら、それも充実した人生だと言うべきじゃない? 仕事が全てではないし、結婚が全てでもないし、中途半端であっても、それも人生。自分の人生は自分で決める。百人百様だ。他人の生き様を評価なんてして欲しくない。評論家なんて不要だ。


 少し話が逸れたけど、結婚願望が基本的に消滅しているのは、間違いない私。


 じゃ、昨日の妻子持ちの先生は、何の魅力があるというのかしら? 何か魅力が ある?


 結論は、考えるまでもなく魅力なし。もともと対象外だったんだもの。


 そもそも不倫なんて論外だし、それに、職場に知られたら、教授になる将来が断たれてしまうのは火を見るよりも明らか。私が得になることは何もない。寧ろ、有害でしかない。


 それなのに、なぜ考えているのだろう?

 答えは簡単に出ているのに、なぜかスッキリしない。

 多分、どう対応したらいいのか分からないのが不安なのだ。

 それに依って、何かリスキーな事件が発生するかも知れないと、女の直感が警鐘を鳴らしているのかも知れない。


 でも、大丈夫! そういうときのための超能力とも言える力を私は持っている。他人の知恵を拝借して、便利に賢く使うという能力。


 つまり、アドバイスをしてくれそうな人を探せばいいのよね、簡単なこと。独りで悩むより、他人の知恵を活用するのも能力の内だもの。能力と言うのは、環境や人脈など全ての力を総合して、自分の力として利用効果をどれだけ上げることができるか? という力なのよ。

 この事案に適すると思われる人物を、直ぐに一人思い付いた。この発見する力も、能力の内。




読んで頂きましてありがとうございます。


もし宜しければ、「いいね」「★マーク」をして頂けると、嬉しいです。

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