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ファミリーシステムのメモランダム  作者: (・∀・)
2欧州(宗教が家族システムを活性化させた地域
15/18

平等主義核家族・フランス

フランスは平等主義核家族という家族型を取るが、同様の形態を取る地域は多い。

ポルトガルからスペイン中部やイタリア南部が同様の家族型を取る。


共通点はローマ帝国本領であったということと、カトリック地域な事である。

これまで見た家族型は、どれも自然発生的に生じるものだった。

平等主義核家族は、それらと違いイデオローグから創作された気配がある。


過去に見た通り、原初人類は未分化核家族から始まる。

平等主義核家族地域も、当初は未分化核家族であったと想定される。

そこに侵入したローマ帝国は当該地域に大規模農園を作りまくった。


この大規模農場は、ローマ人撤退後も各所に残り続け、核家族保存の主因となる。

というのは農奴はそのうち解消するが、核家族とは雇われ人が適するからだ。

ようは大規模農園が雇用主となりそこに多数の核家族がぶら下がっていた。

小作農の夫婦から生まれた子供は成長すると、農園主から土地を貰い自立するサイクルを繰り返す。


またこの農園はローマ人撤退後も生命の平等を尊重するキリスト者が運営した。

つまり農園の多くは教会農園で、農園主は地域の牧師である。

このため隷下の彼らは、生命の平等性を心象レベルに刷り込まれていく。

ローマ帝国が息子と娘への相続を平等にしたように、彼らも相続を平等にした。


この点から彼らは平等主義核家族と呼ばれるが、程度が上がるのは途中からだ。

16世紀、プロテスタントの進撃は、カトリックにもざわめきを与えた。

プロテスタントが直系家族を強化したようにカトリックの地でも強化が起こる。

それが相続の平等性の激化となる。


核家族の子供は大きくなった順で家から出されるが、流石に丸裸で追い出したりはしない。

僅かばかりではあるが財産を分与した上で家から出す。

両親が死亡した際、かれら兄弟姉妹は集合して遺産分与をするのが通例だった。


その際、家から出た時貰った財産を返却した上で等分する徹底的な平等性をみせるようになる。

平等主義と付くのは伊達ではなく、その情熱には狂気に似た信仰心が感じられる。

こうして平等主義家族たちはその身に営々と平等主義を染み込ませていく。


ところでプロテスタントが発症したのはカトリックの退屈さに辟易したからだ。

キリスト者は、、、生命の平等を何よりも尊重する意味で尊い。

だがその他の点ではモーセが何か唱えると海が割れると唱える人々である。

17世紀、多数の科学・人文方面の進歩がフランス人を動揺させる。

これはプロテスタント地域よりも時代遅れなカトリックへの信心が大きく揺らぐ。

さらに平等性を尊ぶフランス人は、特権を謳う教会・王権に耐えられなくなる。

この事情によりフランス人は信仰心を喪失してフランス革命を起こした。


過去スレで触れたが、フランス革命は世界最初の近代革命ではない。

その前進にイギリスの清教徒革命、アメリカの独立戦争がある。


だが英米は市民革命をする際、人類的な平等主義を唱えた訳ではない。

イギリスでは王権が継続したし、アメリカには奴隷制が残り続けた。


だがフランスは、本気で真面目に人間の平等性を錦の御旗にした。

人間の平等性を最初に掲げた勲は、ただフランス人のみにある。


たしかにフランス人は英米の後塵を拝した。

だがイギリス人もアメリカ人も、近代革命をしながらいまだ信仰心の虜だった。

権利の章典も独立宣言も神に誓われたものである。


フランス人はその平等嗜好から、もっとも早く信仰心を喪失した。

その証明は出生率の低下であり英米は1870、1880年台となる。

フランスの低下は他を圧倒し、なんと1780年台に始まる。

それはまさしくフランス革命前夜だった。


これをトッド先生は世俗化と名づけていた。

先回みたドイツは、信仰心の動揺からナチズムという差別主義を選んだが、フランス人は平等主義からフランス革命を選んだのだ。

ただフランス革命も、後代へのポジティブな影響とは別に、内容は十二分に血溜まりである。

世俗化=信仰心の喪失危機は差別・平等の旗色にかかわらず大惨事になる可能性がある。


この際、他の地域がなぜ立ち上がらなかったかという問題がある。

それは国家の単位で見ると、平等主義家族が他を圧倒できなかったからだ。

イタリアは北部を共同体家族が占め、スペインも直系家族が北部を占めている。

実のところフランスの平等主義家族も、マジョリティだが絶対的ではない。

フランス南部にも直系家族の紐帯があり、後日ここが王党派の根城になり王政への揺り戻しを三度もした。

平等は、欧州でさえ実は唱えるものが少数なのだ。


トッド先生は移民問題を調べるうちにある一つの公式に気づいた。

それは移民が新たな土地に入ると、移民元の家族型を捨て新たな土地に染まる。

つまり家族型とはマスが少数を圧倒してしまう。

この点の憂慮はEUである。

欧州は総体で見ると平等ではなく、父系を持つ差別的な家族が圧倒する。


本気で平等を追求するのは、実はフランス人以外にいないともいえる。

自由は、放っておくと途絶えてしまいかねない可能性が今もある。

なにしろ英米が仕切る現代社会において、中世よりも甚だしい富の偏在が生じている。

次回以降英米を見るが、かれらは自由という点には積極的だが、平等を利用しかしない。



またまた今回もメモ書きです!そのうち改訂します

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