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楽屋裏

あらすじ

勇仲が操から任された仕事、それは

とある名門進学校『蜂須賀学園』に潜入し

いじめの実態調査をすることだった。

 月曜日の午後四時半。

 蜂須賀学園ではこの時間、教職員達は職員室に集まり会議をしていて、居残りで勉強をする生徒のために教室は開放されている。

 職員の目を盗んで何かをするには絶好のタイミングだ、――残念ながら。


 蜂学から近所にある公園。

 滑り台やブランコといった、ほんの少しの遊具があって、芝生の上で追いかけっこをする幼児と、それを見守る母親が数人がちらほら。勇仲達は人気ひとけのないベンチで潜入前の最終チェックをしていた。

 操はインカムと蜂学のブレザーを手に取り、

「そこらへんの茂みとかで着替えちゃってぇ」

「公園のど真ん中で着替えんのか。お巡りさんが見てねえだろうなあ? 近所に警察署があるはずだが」

「男子の着替えを好きこのんで覗く人なんていないわよぉ」

 周囲を見渡しつつ勇仲はそそくさと玖成学園の灰色のブレザーから、手渡された蜂学の白のブレザーに着替え、それからインカムを左耳につけた。

「はーい、カツラを取りつけるわよぉ」

 操はベンチに座る勇仲に顔全体が納まる大きさの手鏡を持たせると後ろに立ち、それを見ながら櫛で勇仲の前髪を上げオールバックに。

 次に伸縮性のある筒状のネットを被せ一端を後頭部で縛ると、その上からカツラを被せて櫛で形を整えてヘアピンで固定する。

 そしてカツラで耳のインカムを上手に隠す。黒の短髪から、アッシュブラウンのミディアムヘアに早変わり。

 そしてブレザーの胸ポケットにボールペン型の小型カメラを取りつけられる。

 このカメラは伎巳の用意したタブレット端末と無線で繋がっていて、勇仲の正面にあるものがそのまま映し出される。

 同時にインカムから周囲の音声も拾える仕組みだ。


(こんなことのために、これだけの小道具や設備を用意しているのか?)

 困惑する勇仲をよそに、操は作業を進めながら、

「それでぇ、今日の調子はどうかしらぁ?」

「調子が悪かったら中止になるのか?」

「フフフ、元気のよろしいこと。それでは調査の流れについて確認するわよぉ」

 勇仲の皮肉交じりの受け答えをそよ風のように受け流し、操は爽やかな笑顔で話し出した。

「まずあなたにはぁ、蜂学の委員会からの要請と称して生徒達からアンケートを取ってきてもらうわぁ。アンケートにはありがちな質問の中に、いじめの有無を問う質問を仕込んでおくからねぇ。

 それから気をつけてほしいのがぁ、人の多い場所に長時間留まらないこと。教室一つ毎に七、八分ぐらいでアンケートを回収して次の教室に移るようにしてねぇ」

 勇仲の前をうろつきながら、操はたんたんと説明する。

「それとぉ、ここからが重要。察しの通り、これがバレれば大人達に怒られるどころじゃすまないわぁ。そうなる可能性を少しでも下げるためにはぁ、あなた自身が()()()()()()()()ことが必要になるわぁ」

「存在感を制御?」

「勇仲ちゃんにはこれからぁ、――――――――蜂学という舞台を彩るエキストラになってもらうわ!」

「エキストラ……意味がわからねえんだが?」

「まあ聞いてちょうだい、まずはぁ――」



 ――――説明を受けること、二分弱。

「準備できたッスよ!」

「……」

 通信機器の動作確認を終えた伎巳が話しかけるが、

「どうかしたんスか?」

 勇仲と操の間では沈黙が行き来していた。一体何があったのだろうか。

「どう、勇仲ちゃん。できないかしらぁ?」

「やってみねえとわからねえ、けど……そんな上手くいくか?」

「だったらぁ、作戦の早いうちに試してみましょう、ね?」

 操からの問いかけに、言葉を濁していた勇仲だった。


 しかし、本当は確信をもって言えた――できる、と。


 操もまた、そう確信していたんだろう。

 全て見透かされているような気がした勇仲は腕を組みながら、じんわりとした悔しさを味わうのだった。


「操は何を言っているんだ?」と

思った人もいるでしょう。

次回明らかになるので、

けどそれでもわけがわからない場合は

言ってくださいできる限り直しますのでm(_ _"m)


9月23日水曜日、初の平日の更新。

予約掲載頼みなのでバイトから帰ったら

更新されている……初めての感覚。




2021年7月24日土曜日にて修正

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