孤独
あらすじ
勇仲は同期の友達のみんなと最悪の形での別れを遂げてしまう。
自分が頑張った結果、みんなの活躍の場を
奪ってしまった事を悔やむのだった。
みんなが辞めてから数カ月が経過。放っておけばいずれ薄れていくと思っていたが、寂しさからまだ立ち直れない勇仲。
皮肉なことに、そんな時でも仕事は止めどなくやって来る。
それでも投げやりになることなく全うしてきたのは、世間から期待されていることへの責任感ゆえだったようだ。
どんなに寂しくても、苦しくても、やる気が出なくても、人前では弱さを見せてはならないのがプロだから。
たまにその胸の内を大人達に相談しても、
『それは悩んだって仕方ないよ』
『君は結果を残してきたんだ、堂々としてなさい』
『いちいち気にしていたら、ここではやってはいけないぞ』
『それは役者として覚悟しないといけないことだよ』
『あなたは何も悪くないのよ』
『そんなことより今やるべきことがあるだろう』
『もうあの子達のことは忘れなさい』
『いつまで引きずっているんだ!』
誰も彼もが『大した悩みじゃない』と言いくるめようとするだけで、勇仲の気持ちをわかってくれる人はいなかった。
(どうして大人は、こんなにも簡単に割り切れるんだ……?)
勇仲にはとても、そんな風には考えられなかった。
無理もない。当時十一才の子供にそんな大人の世界の理を理解させるなど、とてつもなく残酷な話だ。
みんなは今頃、どこで何をしているのだろうか?
今でも勇仲のことを恨んでいるのだろうか?
今、会ったら何ていうのだろう?
役者は人に夢を与える仕事なのに、同じ夢を持つ者の芽を摘み取らなければ前に進むことができない。そんな大いなる矛盾の中で勇仲の心は摩耗していった。
孤独に打ちひしがれながら、止むことのない大雨の中を、砂嵐の中を、吹雪の中を、あてもなく彷徨い続けている。
そうしてポツリと呟く。
「俺、――――何で役者やってるんだっけ?」
人前では気丈に振る舞えても、もう自分の心までは騙せなかった。
この日、片頭痛が起きて更新が遅れました(´;ω;`)
予兆が出た瞬間ロキソニンを飲んだので
程度は軽くて済んだのですが、
前もって新規小説を保存して保険かけといてよかった。
2021年9月4日土曜日にて修正




