粗暴なる助け船
勇仲は下校途中、学校の前で
恐喝に遭う男子生徒を発見する。
その生徒はなんと、生徒会に
蜂学の調査を依頼した、井原大樹だった。
井原大樹、高校三年生。
今日は火曜日。週に一度、ある場所を訪ねるのが恒例だった。
ところが校門を飛び出て五秒も経たないうちに、ガラの悪いチャラ男の足を踏んでしまったのが運の尽き。まさしく一寸先は闇。
(あああ、どうしてこんなことに……)
大樹は右腕を体の前に水平に構えて自分の前に壁を作る。一方的に怒鳴り散らされるだけで弁解もままならない。
先生か生徒が気づいて助けてくれないかと祈っても、そんなこともなく……。
あげくの果てにチャラ男はお金を要求してきた。
「テメェ、何で俺の怒りが収まらねえかわかるか? 誠意がねえんだよ。お前が悪いと思ってねえからだよ!」
「いやいや、思ってますよ!」
大樹は冷や汗をまとった両手をぶんぶん振りながら否定する。
「ああ、もういい! 時間の無駄だ。仕方ない……」
チャラ男は、おもむろにズボンのポケットからスマホを取り出して、大樹の顔にカメラを向ける。
「な、何をする気で?」
「お前の顔、SNSで晒しまーす」
「!?」
大樹は耳を疑った。
この情報化社会で、一度ネットで出回った画像はコピペし放題。炎上、拡散されたら最後、完全に回収しきることは不可能となる。
「やめてください! それシャレにならないですよ!」
「いやー、俺だってこの手だけは使いたくなかったよ。けどなあー、払うもん払わないんじゃあこっちも収まりがつかねえからなあ! ……どうすんだ? 金出すのか、出さないのか、どっちだ!」
チャラ男はガマガエルのような、にちゃあーっとした陰湿な笑みを浮かべながら、大樹をどこまでも言葉で追いかけ回す。
ここで大樹は折れてしまう……。
(十万はないけど、有り金全部で許してくれるかな?こんなことなら電子マネーカードに全額チャージしとけばよかった)
この場を収めるにはもうお金を出すしかない。
まな板の鯉のごとく屈服し、財布を取り出すために背負ったカバンを降ろそうと――
「お――い井原ぁ、何してんだ!」
「ん?」
その時だった。声のした方を振り向くと――、そこには夕日を背景に一人の男が大きく手を振っていた。
メタリックな光を映し出すサングラス、夕焼けより明るい金髪のオールバック、遠くからでも届くハスキーボイス、見た感じはガチガチのヤンキーだ。チャラ男をはるかに上回る、何ともガラの悪そうな出で立ちだ。
(だ、誰?)
次の話にまだがりますが
ヤンキーの怖さの描写はお気に入りです。
ツイッターでハッシュタグ#RTしてくれた人の小説を読みに行く
でツイートしてだんだんRTが増えてきている
ちょっとドキドキしてます。
少しずつでも読みに行きたいと思ってます。
消化しきれなくなったらごめんなさい(。-人-。)
2021年8月14日土曜日にて修正




