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リアル鬼ごっこ

あらすじ

勇仲は蜂須賀学園の生徒会長・蓮川あり奈と出くわす。

アンケートをお金で買い取ると持ちかけられる。

勇仲が断わると……取り巻きの大男達が襲い掛かってくる!

「あの野郎……、どこ行きやがった……」

 スキンヘッドの用心棒は全力疾走で頭頂部まで汗だくになり、息を切らす。

 侵入者を追いかけて蜂須賀学園を飛び出したものの……、完全に見失ってしまった。

 用心棒達は二手に別れて探すことにした。

 スキンヘッドの用心棒は歩いて五分ほどのところにある公園を、そこからさらに五分ほど先にある商店街方面は角刈りの用心棒が探すこととなった。

 公園では夕暮れの中、学校帰りと思われる子供達がランドセルを一か所にまとめて置き、一所懸命にブランコを漕いでいる。

 用心棒は血眼になってあたりを捜し回る。近くの茂みや、象を模したコンクリート製の滑り台の影、死角になるところをしらみ潰しに回る。

「なんてこった。もしも取り逃がしたりしたら……蓮川さんが…………、どこだ、どこに行きやがった……!」

 用心棒は背筋をゾクリッとさせる。せめてあの書類だけでも回収しなければ……()()()()()()()()()

 周りを見渡しているとすぐそこに黒い短髪の男子がいた。ベンチに座ってスマホをいじっている。見覚えのあるグレーのブレザーを着ている、隣町にある学校の制服だ。

「おい、そこのお前!」

「はい……、何ですか」

「ここに俺と同じ制服を着た、茶髪の男子が来なかったか?」

「ああ……、来ましたよ。商店街の方へ走っていきました」

 そういって短髪の男子は、用心棒が入って来たのとは逆方向の出入口を指差す。

 それを聞いた用心棒は、

「おい、そっちに向かったってよ! 俺もそっちと合流する!」

 内ポケットから取り出したトランシーバーに向かって伝えると。ドタドタと足音を立て、指さされた方向へと走っていった。


 彼は気づかなかった。たった今、――――追っていた侵入者を見逃したことを。


 蜂学から全力疾走で脱出し、公園へと逃げ込む勇仲。

 合流した操達から手渡されたのは玖成学園の制服。

 誰も見ていないことを確認しつつ、公園のど真ん中で脱衣。カッターシャツと黒のボクサーパンツだけになり、着替え終わるまでに十秒とかからなかった。

 かぶっていた茶髪のカツラとネットを脱ぎ捨てる。

 調査結果(アンケート)を封筒ごと伎巳に手渡す。操は持っていたハンカチで勇仲の顔の汗を軽く拭う。

 あとは呼吸、鼓動の乱れをできる限り整える。

 何食わぬ顔で、用心棒の追跡をやり過ごすことに成功したのだ。


「ぶはぁ! ゼェ……ゼェ……怖かっ……た」

 一分にも満たないわずかの合い間。冷静な対応をしていた裏で、勇仲はバクンバクンと跳ねまわる心臓の音が聞こえてしまうのではないかと冷や冷やしていた。

 パンパンに膨らんだ風船がしぼんでいくかのごとく、圧迫感からゆっくりと解放されていく。

 整えていた呼吸をようやく崩し、強張った筋肉をゆるませ、全身の汗腺が決壊しダラ――ッと滝のような冷や汗が流れる。

 ベンチから立ち上がるも、すぐに膝から崩れ落ちてしまう。

「行っちゃったッスね」

「ええ、一安心ねぇ」

 真後ろの茂みの中から、操と伎巳がガサッと顔を出した。

調査結果(アンケート)は無事ッス。あ、雄方君。お疲れさんッス」

「災難だったわねぇ。勇仲ちゃん」

 勇仲は芝生の上でへたり込み、虚ろな眼差しで二人を見上げ、

「……………………他人事か?」

 ほんの数秒だけ、この二人に殺意を抱いた。


十二話に比べてしばらく短めの話が続きます

殺意を抱いた……、ここ笑うところですよ!




2021年8月7日土曜日にて修正

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