表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/25

ユーザーに有利なバグ

 ここまでの話においていくつか挙げてきたバグ。これらは基本的にやったもん勝ちのバグであり、他のユーザーは間接的に不利益を被るタイプのクソバグだ。


 まあ露店を被らせて出店するのはちょっとウザい程度で済むが、イベントアイテムを単独で独占したなんて話は控えめに言って処刑レベルの極悪行為でありこんな所で武勇伝として語る奴はクズだ。


 僕がクズであるという絶対普遍の事実はさて置くとして、バグの話はまだまだ続く。今までのバグがユーザーにとって不利益なバグであるとするならば、今回取り上げるのはユーザーにとって利益のあるバグ。


 その名も、『キノコラーメン(塩)最強伝説』(僕命名)。


 このゲームで一番基本的なアイテムは『赤い薬』。店での販売価格は50メル。HPを「50」回復させる効果を持つ。メルというのは単なる通貨単位なので無視してくれて構わない。その次のアイテムは『橙色の薬』で回復量は「150」。販売価格は150メルだ。


 この法則からわかる通り、低レベル帯のHP回復アイテムは回復量=価格となる。


 これの上位に位置するアイテムは『白い薬』と『キノコラーメン(塩)』。どちらも300メルだ。『白い薬』はここまでの法則に従い「300」回復する。


 しかし、『キノコラーメン(塩)』はなぜか「500」回復する。


 バグである。


 もしかしたら効率の良いアイテムを例外的に用意したのでは?と思うかもしれないが発端はバグである。表記の上では間違いなく「300」回復であると表記されていたのだから。


 『エレメンタルレジスタンス』の修正なんかよりも遥かに修正は遅れ、皆が当たり前に存在を受け入れていた頃にさらっと価格が引き上げられたけど、恐らくこれは運営が無能だったからではなく意図的に修正を遅らせた物だ。


 ユーザーに有益なバグと言えばもう1つ。


 『帰還の書』というアイテムがメイプルには存在していて、簡単に言うとキメラの翼。アイテムに応じた場所にひとっ飛びで戻れるアイテムなのだけど、大陸間の移動は出来ないという制限がある。


 大陸間の移動はリアルタイムで30分くらい待つ船による移動が前提とされているので、その制限を超えるようなアイテムは許されなかった。


 しかし、『帰還の書』と同様の効果を持つ『いちご牛乳』と『フルーツ牛乳』だけはなぜかその壁を打ち破ることができる。


 別大陸にいようが異次元の果てに居ようが1本飲むだけできのこ神社に帰還できる『いちご牛乳』。


 もちろん一方通行でありそこからさらに別大陸に戻ることはできないけれど、行きと帰りの2回分船旅が必要だった今までと比べれば格段に楽になった。


 課金アイテムに大陸間移動を可能とする『テレポストーン』が存在している以上、単純に考えるなら牛乳の存在は課金アイテムの売れ行きにも影響するレベルのバグ。それをNEXONは残す選択をした。


 もちろん本当にバグだったかというと、実は説明文には大陸間移動は出来ないと書かれていない以上は推測に過ぎないのだけど、これからNEXONに対して好意的な結論を出す為にこれをバグだったと定義する。


 はっきり言って牛乳が無い時代は僕には考えられない。ちょっとクエストをこなしに船に乗って時間を待って、クエストをこなしてまた船を待って帰る。拘束時間が長すぎる。


 ラーメンもそうだ。赤字でモンスターを倒してレベル上げをしていた僕にとってラーメンは救世主と言ってもいいほどの存在であり、これが無ければゲームを辞めていたと言っても過言では無い。


 もちろんこれら二つが存在していた世界線の存在である僕がIFを語ってもそれはあくまで仮定に過ぎないのだけど、塩ラーメンと牛乳が無いメイプルはクソゲーだ。断言する。


 塩ラーメンと牛乳が無ければこのゲームは人気にならなかった。間違いない。NEXONはバグがもたらす今後の利益を計算して、敢えてそれを残すという選択を行える有能運営なのだ。


 今はオワコン無能運営とも罵倒され続けているNEXONだけど、それでもメイプルストーリーを語る時は『牛乳』『塩ラーメン』。この2つは懐古厨にとっては語種となっていて、


 ある意味ではメイプルストーリーを象徴するとも言える存在だ。


 きっかけはバグとは言え、今はオワコンとは言え、くそきのこを罵倒し続けているとは言え、それでもかつてのプレイヤー達がこのゲームを愛しているのはこう言ったさりげない配慮こそがきっかけなのだと僕は思う。


 以下余談。


 『フルーツ牛乳』を飲むと飛ばされるマップは初心者からすると死ぬほど強い敵しかでてきません。 


 基本的に初心者にとって死ぬほど強い敵は大抵他の大陸にいるし、同じ大陸の中でも段階的に強いモンスターを倒してマップを進んでいかないと出会うことは早々ないのですが、『フルーツ牛乳』はあらゆる条件をすっ飛ばして誰でもそのマップに飛べます。


 初心者はなぜかよく物乞いをしていてなにかアイテムをくださいとか言ってきます。


 『フルーツ牛乳』を渡します。


「これはレアなアイテムで、使うと有益なアイテムを山ほど落とす敵が出てくるエリアに飛べるよ」とか適当な事をぶっこきます。


 初心者がアイテムを使います。


 ゲームを引退します。



 やっぱ『フルーツ牛乳』ってゴミだわ。

『初心者物語』の再開はまだかな?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▼ 他のオススメ作品 ▼
【VR】ブレイブファンタジー【神ゲー確実】
掲示板形式で進む謎のVRMMOモノ。
卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!
バグと仕様と環境のインフレを主題とした謎のVRMMOモノ。
結月ゆかりは画面を見つめる
VR全盛時代に古きを貫こうとする謎の二次創作モノ。
サキュバスさんがおうちにやってきた
平和な謎の日常コメディモノ。
― 新着の感想 ―
[一言] ゲームを始めた頃、スリーピーウッドに迷い込んで帰還の書でも帰れなくてフレンドから貰ったいちご牛乳で助かったのはいい思い出 ラーメン自分もお世話になってました! ちょうどドットハックもやって…
[一言] 懐かしい ショーワの温泉からオルビスに飛ぶバグとか使ってた
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ