対人コンテンツの闇
メイプルストーリーに対人は無かったと過去の話で述べてはいるが、嘘だ。本当は対人があった。
恐らくは既存のプレイヤーであっても気づいていない事実かも知れないが……確かに対人はあったのだ。
『モンスターカーニバル』
この言葉を聞いて懐かしむプレイヤーは数知れず。僕と同じ時代を生きたユーザーであれば誰もが遊んだと言っても過言では無い対人ゲームだ。
しかしこのコンテンツを対人だと認識している人は恐らく皆無。あるいはシャレで実際に対戦してみたプレイヤーもいるかもしれないけれど、ごっこ遊びの範疇だろう。
プレイヤーみんなが挙って遊びに来る良コンテンツなのに、誰も対人ゲームだと認識していない謎の遊び『モンスターカーニバル』。
人気すぎて『モンスターカーニバル2』なんて派生も用意されてるレベルだけど、なぜか誰も対人だと思っていない。意味がわからない。
このゲームは『1』も『2』もルール的にはほぼ同じ。ポイントを召喚して相手の陣地にモンスターのスポーンゾーンを形成させる。相手はそのモンスターに負けないように頑張って戦い、逆にこちらの陣地にモンスターを召喚したりデバフをぶち込んだりする。
モンスターを倒すとポイントが貰えるのでより強いモンスターを相手にぶつける。
強いモンスターの方がポイントが大きいので頑張って倒してポイントを稼ぎ仕返しする。
このコンテンツに登場するモンスターは経験値が多く、強いモンスターは時間あたりの経験値取得効率がより高い。
このような条件で相手と切磋琢磨しながら競い合い、勝利を目指すゲームなのである。
この説明を聞いた賢明な諸君であれば即座に気づくだろう。このコンテンツの必勝法に。
そう、このコンテンツは対人の面を被った八百長試合なのだ。
相手に強いモンスターを召喚してあげると、相手は効率よく経験値が稼げる。お返しに向こうも強いモンスターを出してくれるので頑張って倒す。確かに勝利した方がボーナスは多く貰えるけど、だからといって妨害し合うくらいなら協力した方が効率が良い。
この前提を知らない新規プレイヤーが初めて『モンスターカーニバル』に来たら混乱するに違いない。パーティを組んで意気揚々と対戦しよう!と思ったら、対戦相手からこう持ちかけられるのだ。
「イリyr」
『イリオス』。『モンスターカーニバル』で召喚できるモンスターの1体だ。
確かにこのゲームは強い敵を倒したほうが経験値効率は良いが、だからといってあまりにも強い倒せないモンスターと戦っても意味がない。
だから相手は自分の実力を鑑みた上で、最高率のモンスターを呼び出すように指定してくる。
『イリオス』を指定してくるような雑魚なら『ロムバード』を召喚すれば間違いなく余裕で粉砕できる。
でもそんな事をしてはいけない。なぜなら相手はモンスターを倒せないとポイントが稼げない。
つまり、こちらに強いモンスターを召喚してくれなくなるのだ。
このようにあらゆる意味で破綻しきっている謎のコンテンツだが、同時に当時のメイプルストーリーにおける最大派閥とも言えるおもしろコンテンツだった。
頑張って遊べば『シュピゲルマンの指輪』とかいうレアなアイテムが貰えるのも良い。このアイテムはかつての廃人御用達のアイテムで、端的に言って無い奴は雑魚。
さらに『モンスターカーニバル』のプレイにはレベルの制限が存在するので『シュピゲルマンの指輪』はこのタイミングでしか入手できない。他人とも例外を除き交換することができないので、そもそもプレイしない選択肢が存在しない。
運営の設計自体が破綻している筈なのに、謎の奇跡によって神コンテンツと化してしまった『モンスターカーニバル』。こんな神コンテンツをテコ入れで排除したNEXONは間違いなく無能である。
ちなみに僕はこのコンテンツで対人をした事は一度も無い。けれど、おそらくあの時代を生きてきた懐古厨であればこうも思うはずだ。1回対戦してみたかったな。
ただし僕がこのゲームをエアプの身で考察するとするならば、強いモンスターを召喚すると相手にポイントを与えてしまう以上、妨害連発の渋い戦いになってしまいかねないと愚行するのだけどどうなのだろう。実際対人としても成立してるのだろうか。詳しい方、ご存知ですか?