『忍耐』を考えた奴はアホ
メイプルストーリーには『忍耐』というあまり他のMMOでは見られないコンテンツがある。公式用語ではなく、あくまでコンテンツを一言で説明できる俗語なのだけど、この単語を考えたやつは才能がある。同時にこんなクソみたいな名称が一般化するようなコンテンツを考えた奴は末代まで呪いたい。
さて、名称からクソゲーであることは読み取れると思うが、実際のゲーム内容については軽く説明が必要だろう。究極的に大雑把な説明をするとすれば、『マリオ』だ。
知っての通り昔の『マリオ』は2D横スクロール。メイプルストーリーも2D横スクロール。完全に一致している。つまり同じゲーム性のコンテンツが生まれてもなんらおかしくない。むしろ必然と行っても過言ではない。
空中に浮いている足場をぽんぽんと飛びながら駆け登っていって、ゴールを目指す!メイプルストーリーには『テレポート』のような移動スキルもあるが、もちろん使用禁止!純粋な操作力で足場を落ちないように頑張る!それが『忍耐』だ!
もちろん途中には足止めのモンスターもいる。大抵の場合は不死身なので単なる動く障害物なわけだが、触れた瞬間ノックバックで跳ね飛ばされてそのまま谷底に真っ逆さま。
幸いにして即死するようなトラップが仕掛けられた『忍耐』は少ないので死亡ペナルティは気にしなくていいのだけど、だからこそ落下しては登り続け、再び落下しては登るというまさに修行のような体験ができる。これをクリアしたプレイヤーは間違いなく『忍耐』力が成長しているに違いない。
ちなみに僕は『忍耐』力0なので3回くらい落ちた辺りで速攻辞める。所詮はゲームの中の1コンテンツであってプレイ必須ではないからね……と言いたい所だけど時折この『忍耐』が前提条件になっている重要なクエストがあったりする。
かつての『ジャクム』なんかはその最たるもの。『ジャクム』はメイプルストーリーで最初?に実装された大型ボスモンスターで、当然の如く強力な装備やアイテムを落としてくれる素晴らしいモンスター。経験値も美味しいのでパーティを組んで倒しに行ったり、強いプレイヤーが増えてきた頃にはソロで日課のように討伐しに行くのが当たり前。それほどの実力が無いプレイヤーも『腕もぎ』とか言って『ジャクムの腕』だけ倒しに行ったりする。(*1)
この『ジャクム』今はMMOの末期コンテンツにありがちな流れとして制限が緩和され条件無しで挑むことができるが、当時はいくつかのクエストを受けないと攻略できなかった。そのクエストの1つにあるのが『忍耐』。
正確には2つくらい『忍耐』があって、1つ目の『忍耐』は悪名高い詐欺アイテム『閉鉱帰還の書』が集められるクエストだ。ただしこちらはグループで攻略できるのでなんだかんだお友達がいればサボっててもクリアまではできる。『閉鉱帰還の書』を集めたければ頑張るしかないが、『忍耐』と言うよりは覚えゲーのようなモノなので攻略サイト片手に頑張れば特に問題ない。『テレポート』も使えるしね。
そして2つ目が問題で、そちらは正真正銘の『忍耐』レギュレーション。『テレポート』なんて使えないし移動速度も初期値の状態でマグマの上に浮く足場を渡る恐るべきクエストだ。
『テレポート』が使えないのは仕方ないし移動速度が初期値になるのも公平性を考えると理解できる。しかし『忍耐』の最も難しい要素はその落差にある。
移動速度というのはMMOにおいては重要だ。高ければ高いほど、ありとあらゆる全てのコンテンツで作業効率が向上する。もちろん特殊な移動スキルがあればそこまで重要視されないが、当時は移動スキルを持っているのが『魔法使い』と『盗賊』くらいだった時代。戦士が移動速度の上がる低レベル装備である『タオル』を付けているのは日常茶飯事。ついでにDEXを強化して命中率も改善するのが定番だった。
つまりそんなプレイヤーは日常を常に移動速度が高い状態で過ごしているので、僕らにとってはその速度がメイプルストーリーにおける基準となっている。
そこから急に『忍耐』の時だけ途轍もない鈍足になる。
これは『マリオ』をやってたと思ったら一部のステージだけ唐突に操作性が『スペランカー』になるという事。最初から『スペランカー』を遊んでいたなら慣れはするのだけど、そこだけ急に操作性が別物になるから全然適応できない。
こんな愚痴を吐きながらも1週間を掛けてクリアできたのでまあ練習すれば行けなくもないのだけど、センスが無ければ一生クリアできないし『忍耐』力が無ければ1週間も1つのステージに時間を掛けられない。
もう一度言う。『忍耐』考えた奴ばーか!!!!!
ちなみに1週間掛けてクリアした後は他の脱落者にマウント取って「なんであんな簡単な『忍耐』もクリアできないの??」「はやく挑みたいから練習しろよー」などと煽れたのが楽しかったのでなんだかんだ楽しかったよ。
*1 大型ボスモンスターは『デスタムーア』のように部位ごとにHPを備えていることがある。腕だけ倒してもドロップは貰えないが経験値は貰える。