混沌の書はこの世から消えろ
『混沌の書』。以前のエッセイでも1度だけ名前を出したが、超強い強化アイテムの名前だ。
もちろんメイプルはアップデートによって日々強化の手段が増え続けている。かつては呪われた30%の書が最強だったのに、今では課金ガチャを引けば100%の確率で30%の書と同じ効果を発揮する書が出たりする。『混沌の書』についても現在は上位互換がいくつも登場している。
なので僕が言う超強い強化アイテムというのは当時の価値観における超強い強化アイテムであって、現代の価値観に当てはまっているとは言えない。この辺りは過去のエッセイの内容もそうで、実はINTに振ったからと言ってレベルアップ時のMPが増えたりはしなくなっている。
つまり実に都合のいいタイミングの面白い要素を紹介しているだけであってこの作品の話は話半分に聞いてほしい。この注意書き1話に書くべきじゃない?
さて、話を『混沌の書』に戻そう。このアイテムは一見するとクソみたいな効果にしか見えない。簡単に言うと『成功したら装備のステータスが一定の範囲でランダムに変動する』つまり上がりもするし下がりもする。強化されるとは限らない上に成功率も100%ではない。クソみたいなアイテムだ。
振れ幅が大きいならまだ救いもあるのだけど、±5。これは普通の30%強化書を使用すれば到達できる範囲なので控えめに言ってリスクに見合わない。こんなゴミみたいなアイテムをレアアイテムとして実装するとかNEXONはアホなのか??こんなアイテム持ってるだけ無駄だから手に入れても捨てた方がいいぞ。僕が代わりに処分しておくから。
なんて初心者を引っ掛ける常套句みたいなセリフで騙し取りたいくらい強くて価値があるアイテムだ。
確かに上記の説明を聞くとクソザコナメクジに見えるが実際はそんな事はない。なぜなら混沌の書の効果は当時としては唯一無二。本来ならば不可能なはずの強化に着手することができる。
『混沌の書』を装備に貼り付けて強化に成功すると、その装備に既に備わっている効果がランダムで変化するのだ。つまりその装備に項目が存在しないステータスは上がりも下がりもしないし、逆に1でも数値が存在するならば±5の範囲で変化する。
つまり、通常の強化アイテムでは増やすことが不可能なステータス項目を増やすことができる。
確かに帽子やら靴やらに攻撃力強化をぺたぺた貼り付けられたらおかしいだろう。そんな事ができるなら誰もが全身に攻撃力の書を付けまくるし、これまではそう言った装備種別の傾向と異なる強化を行う方法は存在しなかった。
しかし実際には武器以外の装備に攻撃力が付いている事がある。例えば『シュピゲルマンの指輪』。『モンスターカーニバル2』を沢山クリアすると入手できるアイテムで、過去には廃人御用達のアイテムだと軽く触れた。
『シュピゲルマンの指輪』の補正値は全ステータス+1。つまりSTRとDEXとINTとLUKと攻撃力と魔力を+1する。割と控えめな効果ではあるが、そもそも指輪という装備自体が当時はこいつくらいだったので装備部位を空っぽにしておくよりは絶対良い。複数個の装備が可能なので実際はこれを4つ付ければ全ステータス+4。まあそれなら着けておくべきだよね。
しかしこいつに1枚『混沌の書』を貼ると理論上攻撃力+6に達するとなれば話は変わる。
4つ指輪をつけられるのだから4つ全部が攻撃力+6なら合計24。恐らく攻撃力+24がどのくらいの物なのかわからないと思うので比較対象を挙げよう。かつて至高の強化アイテムとして崇め奉られたバフアイテム、『たこ焼き(ジャンボ)』の強化値が攻撃力+20。ボス戦では必須級のアイテムであり、使ってない奴は半殺しにされるレベルだ。机上の空論とは言えどこれほどの装備を着ける事が出来れば周囲から羨望の眼差しを向けられるに違いない。
さらに付け加えるなら、指輪の強化できる回数は1回ではない。もう1回貼り付ければ攻撃力+11!4つ全部この強化値にすれば+44。ここまで来ると並のプレイヤーとは比べ物にならないほどの数値だ。これほどの強化が施せれば周囲のプレイヤーは誰もがその火力差を見て絶望し、そして引退する。間違いない。ひれ伏せ雑魚。
実際には攻撃力+5になるとは限らないけれど、+4くらいされれば凄く嬉しいよね。やった、成功!これで攻撃力+5の指輪が出来たぞ!さてもう1枚貼ろっと。攻撃力+0。僕は引退した。




