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【連載版】TS幼女は神様に都合良く使われる  作者: まい
1章 TS幼女はダンジョン運営を始める
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TS幼女は神様に全力で逆らう

TS幼女による記者会見。

 はい。 TS幼女こと俺です。


 言い直します。 アホ毛付き薄ピンク髪巨乳TS幼女こと俺です。


 異世界の女神に3年と言う長い月日を良いように使われ、ようやく元の世界に戻れたと思ったら、今度は地球の神(正確には管理者達の総責任者らしいが、便宜上神と呼ぶ)の尻拭いに使われる羽目になった俺です。


 俺の実家から自転車で20分位(俺のステータスなら小走り5分位で楽勝)離れた所にある、地元の役所に候補をしぼって、無駄に広い駐車場のスミにダンジョンコアの設置を決めた。


 3年御無沙汰してた親不孝を、放っといた友達甲斐のない親友に面会して許してもらって。


 役所を通して国と、神の思惑と俺の事情もコミコミで話し合い、ダンジョンの儲けの取り分とか戸籍とかも保証してもらって無事握手。


 設置したダンジョンのコアに自我があって、中級以上のダンジョンしか造らなかった馬鹿神の代わりに、初心者向けダンジョンを造る俺のサポートをしてくれる心強さも感じ。


 さあやるぞ!とダンジョンマスター(以降ダンマス)ルームで気合いを入れてたら、神からの届け物。 人前に出るなら神の代理として、コレを着なさいとかメモが添えてある。


 何だと中身を確かめたら、出るわ出るわ煩悩の塊みたいなコスプレ衣装の数々。


 コイツは(神の性癖が)ヤベェとドン引いた俺でした。




 それが前回のあらすじ。


 今は記者会見を翌日に控えている時節。


 会場は、国の偉い人たちが使うなかでも一番大きい会場を手配してもらった。 仕切りは経験豊富な人に。


 会見内容は、まず神の不手際を報告して謝罪。 そして今後、俺の初心者向けダンジョンを神が参考にして世界各国、最低ひとつは置いていく方針の打ち出し。


「読み間違えたりつっかえたら、恥ずかしいからな」


 一日中、用意した台本を何度も読み返して過ごした。




 そして会見当日。 会場は大音声のざわめきと共に始まった。


 出てきた主役は幼女なのだ。 幼女がキチッとしたレディーススーツを着てやって来たのだ。 ふふん、今日の俺はカッコいいスラッとした、パンツスタイルでキマってるぜ? 頭のアホ毛も得意気だ。


 ちなみにこのスーツは超優良品。 ゲーム時代に新社会人応援イベントとか言う誰得のイベントで手に入れた品。 汚れない、壊れない、サイズ自動調整が効く上で姿勢に補正が付くし、フレッシュさを見せ付ける為か体温調節機能までついて何時でも快適汗かかない。 女子キャラ用は更に、装備時にスカートかパンツスタイルかを選べる親切設計。


 俺の為に用意された(子供用の)席につこうとして「んしょ、んしょ」と声を出してしまったのは知った事ではない。



 そして始まった会見は粛々と進み、質問タイムも乗り切った。


 ……あ゛? なぜ幼女が会見開いたのかとか、何歳かとか、そもそもなんで幼女なのか訊かれただろって? うっせー、知らねーったら知らねー。


 やる事はキッチリやったし、さあ帰るか~と気を緩めたのが運の尽きだった。


 なんか頭上からヒラヒラと、柔らかそうなカードが舞い落ちてきて、文章が書いてあったから思わず読み上げた。 えー、なになに?


[最後になりますが、折角神が用意した、可愛らしい衣装を着てこなかった事を謝罪致します]


 コレに俺は驚いた。 このカードは変態(神)野郎からだと。


 そしてまたヒラヒラ。


[本来ならミニスカメード服、水着+セーラー服、改造巫女服、スリット入りシスーーー]


 バチーンとカードを机に叩きつける!


「うっせー! あんな恥ずかしい服で、誰が好きこのんで人前に出られるんだっつーの!!」


 俺は瞬間湯沸し器。 こんなの読まされちゃあ、黙っていられない! 会見場のどよめきも、ネット中継配信も、つられて一緒に限界突破のヒートアップ! 俺のアホ毛も荒ぶるぜ!


 ヒラヒラ。


[えー、君の姿にピッタリ合う可愛い物を見繕ったのに~]


「もはやただのセクハラじゃー! しかもパワハラ要素も追加!」


 懲りずにヒラヒラ。 読み終わって叩きつけたカードは、いつの間にか消えている。


[君だってそのキャラクターに、似てるのを着せてたでしょ?]


「操作キャラに着せるのと、自分で着るのを一緒にするなぁ!!」


 ひーらひら。


[可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い]


「んぎゃああああーーーーー!!! うっせーーー!! もういいっ! 帰る!!」

 ダンマスルームに戻った涙目幼女は、帰還してから契約しなおした携帯端末を手に持った瞬間、驚愕する。


 帰還の挨拶をした一同からメールが届き、会見についての感想が書かれていたからだ。



 大体が、


 大人ぶってスーツのコスプレで入場した幼女にときめいた。


 入場時の緊張してカクカク動く挙動不審幼女可愛い。つっかえつっかえ台本を読み上げながら、不安げにプルプル揺れるアホ毛の幼女可愛い。


 質問タイムで手が上がる度にビクンと伸びるアホ毛最高。カードが最初に落ちてきた時のアホ毛、本当に“?”の形になるんだねー。


 終わり際のプンスコ顔真っ赤恥じらい幼女可愛い。律儀にカードを読み上げてくれる生真面目幼女たまらん。とかそんなのばかり。



 親友なんざ、ネットで見ててネット民の荒ぶり方に爆笑したと、その辺のスクショ添付でからかってきやがった。


 トドメにヒラヒラ神のカード。


[最高に可愛かった。衣装を会見で着るのがイヤなら、君のダンジョンのオープニングイベントで着て下さい。衣装の種類も一杯考えて、増やしますから]


 この時点で幼女の今日のスケジュールは、ダンジョンマラソンに決定された。




 蛇足かもしれないが、翌日のゴシップ系情報媒体のほとんどがコスプレ幼女の百面相が可愛い。で埋め尽くされ、当の幼女はより酷く荒れる事になる。

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