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転生犬語 ~杖と剣の物語~  作者: 館主ひろぷぅ
2章 ゼイタ動乱 からラストへ
49/50

10話 一気にラストへ3

 ミサキについて。

 彼女はインゼル家の庶子、ミサキ=インゼルが本名。

 インゼル家当主 ヴィルヘルム=インゼル がメイドに産ませた子。


 母親はミサキを身ごもるとインゼル家を出たが10年後病死する。

 10歳のミサキはインゼル家に引き取られる。


 5回結婚して12人の子供を持つ ヴィルヘルム。

 ミサキより年上の兄や姉は彼女を兄弟だと認めなかった。

 なので台所番として召使の扱いをする。


 母親の形見はカバンしか残ってなかった。

 インゼル家ではカバンを抱きながら泣いて寝る日が続いた。


<ガランド国内>

 インゼル家当主 宰相ヴィルヘルム=インゼルを筆頭にインゼル一族が国を支配。

 しかし版図を広げ、国も豊かになっていくので皆が指示。


 ある日、ヴィルヘルムは急死。

 病死とも毒殺ともいわれるが真偽はわからない。

 何せ遺体はベッドにずっと放置されたままだから。


 父の死を伏せてガランド国の支配を進める息子たち。

 砦にいたイケメン貴族、長男 イオニアス。

 同じく砦にいた根暗貴族、次男 マーシュ。

 赤いドレスの好きな長女 ヴァーリア。

 砦の女たちの結婚相手だった三男 アクセル。


 そしてアクセルの嫁となった砦の毒婦カロン。


 イオニアスを中心にマーシュ、ヴァーリアが奸計をめぐらせて、荒事は腕っぷしのいいアクセルが片付ける。

 国外では魔剣ガラン・クオンを暴れさせて次々と城国を陥落させる。


 こうしてインゼル家の独裁政治が始まった。

 イオニアスは叫ぶ、


「無数の城国に別れて争う時代は終わったのだ!

 ガランドの旗の元に全てが一つになる。

 それこそ経済発展と文化ひいては文明発展に繋がるのだと!」


<コンテリーガ国内>

 城の代わりの館が出来た頃。


 マリースは何回かシルトを発動させて、少しぼんやりしているところはあるが、自発的に喋れるようになった。

 モーリエの考えでは、シルトでの成長は子供の成長に似ていると。

 それは子供の成長をなぞっているようだと言う。


 心の成長に比例して金の杖の体積は大きくなっていた。



 ひょんな事でミサキがインゼル家の者だとばれる。


 魔剣ガラン・クオンの凶行とガランドの支配が広がると、インゼル家を良く思わない者が出てきた。

 インゼル家の者が王の館に出入りしているのを快く思わない者もいた。


 命を狙われたり追放の話が出始めた頃にシャリオがミサキの前で言う。


 「結婚しませんか」


 初めは冗談だと取り合わなかったミサキも、その気になって結婚へ。


 「私はガーネット三姉妹の長女だから」


と言ってガーネット姓は捨てなかったので、公式名は 「ツイ=ミサキ=ガーネット」になる。


 軍師となったシャリオが後ろ盾となったことで三姉妹は忙しくなる。

 王城国から食料を運び周辺国に安く売る。

 ついでに各国の特産品を買っては別の国で売る。


 食料を安く売る代わりに同盟を結ぶ。

 シャリオの代わりに同盟国の王にご機嫌伺いで周ることもあった。


 そして「ガーネット商会」を設立。

 最初は小さな会社だったが、後にコンテリーガ周辺では商業・傭兵ギルドの総称になる程に成長する。


 コンテリーガ城国は周辺城国と積極的に同盟を結び、城国同士を広くて舗装された「商用道路」で繋いだ。

 これはガランドと反対の政策である。


「ガランドの言う統一国家は他国を隷属させる事だ。

 我々に必要なのは統一ではない。

 道を繋ぎ城門を開く事が大事」


 ガランドとコンテリーガの衝突は時間の問題だった。


 その前に三姉妹はミサキの父、ヴィルヘルム=インゼルの遺体奪還作戦を行う。

 父の遺体をコンテリーガで丁寧に葬り、それを内外に告知。

 世論を「ガランド国のインゼル家兄弟は不孝者」という風潮に変えた。


<第一次エリム河決戦>

 コンテリーガ同盟国とガランド国の版図は広がり、ついにコンテリーガ城国とガランド城国の中間に位置するエリム河を挟んで対峙することとなった。

(木の城国シラバはガランド側)

 ガランドはフラクシズ地方とソリドニア地方の南のほとんどを制圧。

 ただし王城国は激しく抵抗し落ちていない。


 各城国はこれまで兵農分離だったが、ガランド国は徴兵制を強いて市民を前線へと立たせ数で押していく。

 この戦い方に疑問を持った兵や武将がコンテリーガ側に付く。

 少数精鋭対大軍勢の戦いとなった。


 この戦いでコンテリーガで大将軍となったガクハの娘アロマが初陣。

 右将軍ジャムハ、左将軍バルバラも両脇から敵陣を崩していく。

 ミルミル、マリースは傭兵としてアロマと共に戦う。

 

 軍師リュウキの策と各将の働きによりコンテリーガ優勢と思われた。

 しかし最前線に魔剣ガラン・クオンの巨体が現れると一変。

 魔法で動くロボットのような鋼鉄の体で大剣を振るうとコンテリーガの兵は薙ぎ飛ばされる。


 ミルミルとマリースはガラン・クオンと対峙。

 しかしガラン・クオンの鋼の体は硬く、ミルミルの魔剣ヤン・クオンもマリースの金の杖も歯が立たなかった。

 ガクハ大将軍が捨て身で突っ込みガラン・クオンの進撃を止める。

 ガクハは娘の前で戦死。


 マリースも突撃するが吹き飛ばされて気絶。

 シルト発生。

 ガラン・クオンを多少後退させた。


 ガラン・クオンはその巨体ゆえに長時間は戦えず退却。


 引き分けとなり、エリム河での対峙は続く。


<第二次エリム河決戦>

 シルトから目覚めたマリースが話す。

 操金術師は魔剣を封印するために生まれたものだと。

 千年以上前に魔剣に親を殺された娘が、己の命と引き換えに生み出した武器。

 だから人は殺さない、魔剣を封印すると。


 過去千年以上、魔剣が復活するたびに操金術も復活して何度も魔剣を封印してきた。

 その記憶がマリースの中にあるが全ては思い出せていない。


 第一次決戦からひと月がたち再び両軍が河を挟んでにらみ合う。


 ひと月の間、ガクハの葬儀が行われた。

 最初、落ち込んでいた娘アロマは徐々に立ち直り決戦の場へと立つ。


 ミルミル、マリースも戦闘の準備をする。

 二人は傭兵だがコンテリーガ軍になくてはならない存在だった。

 マリースの杖が縦横に伸びて先頭の民兵を蹴散らす。

 その穴からミルミルとコンテリーガ軍がガランドの正規兵に向かって突っ込む。

 民を盾に使っている敵兵は弱かった。


 開戦直前にミルミルがマリースの背中を斬りつけた。


「千年の間、直接会うことはなかったがやはり封印の原因はお前か、操金術師。

 全ての魔剣を代表して死を贈ろうぞ。

 契約者 (ミルミル)は契約の後に一度死んだ。

 全てはこの時の為に我は従うフリをしていた」


 魔剣ヤン・クオンが告げるとミルミルは左手で短剣を抜き右腕を斬り落とした。

 斬り落とした右手を魔剣ごと抱えてどこかへ去る。


 この騒ぎでコンテリーガの前軍と中軍は大きく崩れ敗走する。


<コンテリーガ城内>


 エリム河決戦から一年が過ぎた。


 ガランド国は北上を進め、一つまた一つとコンテリーガの同盟城国が落とされていく。

 ついにはコンテリーガ・タトウズ・マオミエン城国がガランド兵に囲まれるまで追い詰められた。


 ミルミルに斬られたマリースは一命をとりとめ長く療養していた。

 今回はシルトが発生しなかった。


 ある日、城兵が不審者を捕らえたと報告があった。

 顔が狼になったいる珍しい獣人が「マリースを呼べ」と訴えていると。


 マリースとダルマが城壁の詰め所に行くと。


「ミルミルちゃん!

 おかえりなさい」


 と言ってマリースが不審者を抱きしめる。


 ミルミルは生きていた、顔を狼に変身させて。


 マリースを殺したと思ったミルミルは発狂したようになりながらも、自分の中に巣食う魔剣と戦う。

 その身体からは大量の魔力が放出されながら。

 限界以上の魔力を使ったミルミルは、召喚術師レナレナと同じように身体が変化した。

 ミルミルの場合は先祖返りが起こり、顔が狼のように変貌した。


 ボロボロになって背中に乗っていたヤン・クオンが呟く。


「もう岩に打ち付けられる生活がイヤになった。

 強情な女だ」


 マリースが生きていた事に喜ぶミルミル。


 斬り落とした右手には鎧の籠手が義手代わりについていたが、魔法により手として機能していた。


 皆はまた裏切るのでは?と危惧していたが、もう普通の女の子のように話せるようになったマリースが説得。

 身長は10歳のままだけど。

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