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01話 ~出会い~
短いイントロダクション。
……
埃と煙と血の匂いの中、立ち上がる。
束の間、気絶しているうちに町は壊滅した。
祭りの熱気が最高潮に達した時にそれは現れた。
山のように大きな「魔剣」。
それが城壁を切り裂いて乱入して、それから……。
人はおろか建物さえまともなモノは無い。
いや、例外があった。
瓦礫の上の白煙の中に人影ひとつ。
煙に巻かれ傷に苦しみながらも、それに声をかけて近づく。
たった一人でも助ける事が出来るなら。
そう切望しながら力を振り絞り、ゆっくり歩んでいく。
重い装甲を一つ一つと、取り外していく。
人影まであと数歩。
生暖かい風が、ボロボロの裂けた袖口や髪をなでていく。
その空気の流れは意識でもあるかのように旋風を起し、綺麗な弧を描いて煙を吹き飛ばした。
そこに居たのは。
腹部を刺し貫き、地に突き刺さった槍に否応なく立たされた少女だった。
……