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ヤンデレ妹?

 いつ見ても朱塗りの鳥居は圧巻だ

 遅れた海斗とも合流した俺たちは

 伏見稲荷大社の千本鳥居をくぐり抜け 境内に出ていた

 鳥居自体もだし境内の至るところにキツネが狛犬ならぬ狛キツネとして鎮座している事が和風ファンタジーだね


「コンコン 陽太。絵馬もキツネの顔になってるコン。願い事を書くコン」

「変な語尾でキャラ立ちしようとしてんじゃねーよ」


 あかりが絵馬を持ってきてくれたので受け取り願い事を書いていると


「見んじゃねーよ」


 覗いてくるあかりから絵馬を両手で隠した


「え~ 前に陽太もあかりに言ってくれたコンよ。別に良いじゃん、減るもんじゃないコンよぉ」

「余計に語尾おかしくなってっぞ! って、そういう問題じゃねーから。ひまりと海斗は? 」

「社殿の方に行ってるって」

「じゃあ 俺らもこれ飾ったら行くか」


 絵馬を飾っていると裾を引っ張られた


「どうした? 」

「あかり。社殿より、お山巡りしたいぃ」

「お山巡り? 別に良いけど 。じゃ、LAINEで別行動するって連絡しとくか。って、お前なんで木刀持ってんの? 」

「か 買った。テレビで朝に見た占いでラッキーアイテムだった」


 恥ずかしそうに俯くあかり。

 どんなテレビの占いみたら、ラッキーアイテムで木刀って出てくんの?

 テンションおかしくなって

 欲しくなっただけだろうな


「まぁ 良いや、結構歩くから苦しくなったら言えよ」

「分かったー これ付きながら歩けば大丈夫」


 木刀を杖代わりにするとニコニコ笑顔で歩き出した


 俺たちは山巡りを甘く見ていたようだ。

 想像以上に時間が掛かる事が分かり

 ひまりと海斗との合流は夕方に変更する事になった


「あの2人は近いからって『寺田屋』とか観に行くってさ」

「おぉ 何か聞いたことあるぅ 誰かが襲われたんだっけ? 」

「坂本龍馬だ 」

「おぉ 語尾に『ゼヨ』って付けてキャラ立ちした人だぁ」


 あかりの頭を咄嗟に叩いた


「方言だから! ラノベキャラみたいな設定じゃねーから」

「土佐でしょ!土佐は姫若子ひめわかここと『長宗我部元親チョウソカベモトチカ』ゼヨ」

「ゼヨ。付けてる上にチョイスが渋いな! 」

「ゲームで無双してた」


 他愛もない話をしながら歩く。

 何だかんだ昔から あかりと話すのは本当に面白いし心から楽しいと思える


 途中途中に眼の神様を祀る「眼力社」や喉の神様を祀る「おせき社」、無病息災のご利益があるとされる「薬力社」など、健康にちなんだお社があり

 キツネの手水ちょうずなど物珍しく しっかりとお参りしてまわったので

 頂上の一ノいちのみね上社かみしゃに着き、お参りが終わる頃には昼をすでに回っていた


 俺は山巡りでは、少しでも早いあかりの健やかな成長と健康をお祈りしていた



「終わったぁ。これだけ丁寧にお参りしたんだから、御利益ありそうだねぇ」

「そりゃ、あるだろ。それにしても、あかり良く頑張ったな」

「エヘヘ 陽太と一緒だったから楽しかったよ。それにラッキーアイテムあったし」

「良し じゃ下りて飯でも食べようぜ」


 木刀を挙げて『賛成』と言うあかり。

 確かに、あかりにとっては木刀は役に立ったのかも


 下山は時間も掛からず休憩所の『啼鳥菴ていちょうあん』にある老舗茶舗が運営しているカフェで休むことにした

 俺は蕎麦とバニラアイスをあかりは蕎麦とパフェにし、蕎麦を食べ終わると


「おぉ これが『稲荷パフェ』」


 目をキラキラさせるあかりの前には寒天や濃茶ソフトクリーム、ポン菓子、あずき、濃茶アイスなどがたっぷりよそられており

 上には稲穂や煎餅、赤い鳥居がちょこんと添えられたバエるパフェが現れた


「なんか伏見稲荷大社が“五穀豊穣の神様”だから、ポン菓子や稲穂など、お米を使ってるらしいぞ」


 メニュー表とは別に紹介が書いてある紙があったので適当に読んだ


 カフェテラス席に座ったので 池と庭がすぐ近くで見ることが出来、 風が吹く度に揺れる木々と木漏れ日の心地好さに いくらでも時間が潰せそうだ


 ふとあかりに目をやるとパフェをつついている

 あかりの鼻はソフトクリームがついていた


「お前はいつも何かしら鼻に付けるがわざとか? 」

「ありがとう にぃに」


 ティッシュで拭いてやると ニカッとしながら答えるあかり


 はて? 初めて聞くが


「『にぃに』ってなんだよ? 」

「え? 甘えん坊妹枠だよ。通常妹枠の『お兄ちゃん』が良かった? 丁寧妹枠の『お兄さま』にしとく? 」


 また 唐突にゲームが始まったのか?


「あとは元気妹枠で『アニキ』や忍者妹枠で『兄者』でしょ。和装妹枠で『兄上』『兄君』とかもあるけど」

「妹が忍者って何だよ……何故 兄なんだ? 」

「何かさ男って女の子を自分好みにしたいって言うじゃん」

「まぁ それはあるだろうけど」


 パクパクと口にパフェを詰め込みながら


「でしょ。だから 陽太にはあかりを調教させて上げる」


 ブッ!


 思わず飲んでいた蕎麦茶を吹き出してしまった

 なんつー事を言ってるんだ


「お前は、また唐突と」

「陽太好みの女の子にして良いんだよぉ。やっぱりエロい女の子が良いのかなぁ」


 流し目になりながら唇に付いた生クリームを舌で舐め回す


「あかりの精一杯のエロさはそれなんだな? 」

「え? ひまりちゃんは、もっと凄いの? ひまりちゃんはもっとエロいゼヨ? 」

「『ゼヨ』ぶっ込んで来るな! まっ エロさならお前とじゃ勝負にならない」

「おにぃちゃん……」



 視線も虚ろに声のトーンを下げてきたな


「今度は何だよ? 」

「木刀買った……本当の理由なんだけど……」

「本当の理由があるのかよ」

「あかりは……6年間昏睡状態だったから、おにぃちゃんと差が……出来ちゃったぢゃん」


 すっげー言い方と顔が怖い! 病んでるよ!

 病んでる妹で攻めて来たよ


「だから……この木刀で おにぃちゃんを叩き割って……6年間眠ってよぉ……ね おにぃちゃん」

「だが 断る! 叩き割られたら永遠に目覚めなさそうだけど」

「ふふふ。おにぃちゃん面白いなぁ……断る。なんて選択肢ないんだよぉ 眠ってる間も死ぬほど愛して上げるからぁ。むしろ愛しすぎて殺しちゃうかもぉ。そしておにぃちゃんを永遠に独り占めにするんだぁ」


 いやいやヤンデレってよりホラーじゃねーかよ!

 でも、本当は俺があかりの立場になっていたかも知れないんだよな……


「あかり。別に良いよ」

「へっ? 」

「だから あかりに殺されても文句言わねーよ」

「やだぁ……」


 パフェを食べる手を止めると


「陽太が死んだら嫌だよぉ なんで そういう事を言うのぉ? 陽太のバカぁ」


 なんだよこいつ!!

 くっそ 面倒くせーーーー

 本当に病んでんじゃねーのか!


「陽太は生きて、あかりと付き合うのぉ」

「泣くなよ。本気で言った訳じゃねーから」

「じゃ もう死ぬなんて言わない? 」

「いや 最初っから言ってねーよ! 」


 小指を立て指切りを求めてくるあかりを無視すると


「約束するのぉ」


 はぁ 何なんだ。何の指切りだよ


「あかりは陽太を絶対に惚れさせる! 指切りげんまん、嘘付いたら陽太に木刀叩き込む。指切った」

「もう めちゃくちゃだな! 木刀叩き込まれるなら、惚れる以外の選択肢ねーじゃねーか」

「ラッキーアイテムは有効に使わないと」



 チャーミングにウインクを決めてくるが 何がラッキーアイテムだよ。

 久しぶりにあかりと2人だけで長時間一緒にいたけど

 あかりといる時の俺は俺でいられる

 ひまりといる時は どうしても見栄や格好を付けたりしてしまうから


 このままあかりが無事に成長したとしたら

 友だちみたいな恋人関係になれるとは思う

 それは ひまりとはまた違った関係での恋人だろうな


 汚い話でひまりには欲情するが あかりにはしない

 もし あかりが成長してあかりに欲情するような事があれば……

 結局、性的相手として見れるか見れないかの違いで

 俺は本当の意味での、ツインズの内面までは見れてないのかも

 ただの幼馴染みの時には こんな考えすら浮かばなかったが 『好き』って意味すら分からなくなってきそうだ……

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