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黒の女神  作者: 紗月
大地の章
156/179

Ⅸ.足跡 64

64.



靴音の響く廊下を進むセリナの前には、ジオの背中があった。

開いた扉をくぐって入ったのは、高い位置に明り取りの窓がある広い回廊。

柱には光灯が掲げられており、その柱の間ごとに肖像画が並んでいた。

「すごい……。」

思わず声をもらしたセリナに、振り向かないままジオが応じた。

「歴代の王たちだ。」

中には、家族で描かれている物もある。

奥に進みながら眺めていたが、セリナは1枚の絵の前で足を止めた。

煌く金色の髪にサファイアの瞳。威厳を感じる男の頭には冠。

その隣に掛かった絵の女性は、温かなピンク色の瞳に、澄んだ空のような髪色。

初めて見るはずの彼らに引き止められたのは、どこか見覚えがあるように思えたからだ。


「セリナ。」


呼ばれて、慌ててジオの後を追う。

追い付いたセリナをちらりと確認して、ジオは前を向く。

「先代の王と王妃だ。」

はっとしてセリナはジオを見上げるが、声をかけることができないまま、さらに目に入った絵に息をのむ。

他の物より大きなサイズの肖像画。描かれているのは、長剣の柄の上に両手を乗せて堂々と立つ壮年の人物。

それが誰なのかは、聞かなくてもわかる。

(初代国王レオンハルト。)

輝く金髪にスカイブルーの瞳。瞳は優しい色なのに、意志の強さや迫力を感じるのは、表情のせいだろうか。

特に怖い顔をしているわけでもないので、セリナの思い込みがそう見せるのかもしれないが。

「誰かから、五王時代の話を聞いたか。」

静かな声が響いて、セリナは視線を声の主に向けた。

ジオの瞳は絵に向けられたままだ。

「“ラウラリア”の話?」

記憶を辿ってから、口を開く。

「アジャートで聞いたけど、私が初めに聞いた話は間違っているみたいだったから。」

ジオが僅かに振り向いた。

アジャートに加護を言い遺し、再来して“ラウラリア”は、アジャートの英雄を導き国を救うと。

そう説明したところ、ジオが眉を寄せたのを見て、セリナは慌てて先を続ける。

「けれど、その相手は、本当はアジャートじゃなくてフィルゼノンの白の英雄のことで。黎明の女神ラウラリアは、“黒の女神”とも呼ばれるけれど、それは今私が呼ばれている“黒の女神”と同じじゃないって……、そこはフィルゼノンと一緒なんだって後でわかった。」

「アジャート王から聞いたんだな。」

独り言のようにこぼしたジオの言葉に、セリナは頷く。

「初めに聞いた話は誰からだ。」

「そ、れは、その。エドワードが。」

あぁ、と小さく反応したジオの様子から、名前だけですぐに相手を理解したのがわかった。

「加護を遺した話は、フィルゼノンでも同じ?」

「そうだな。フィルゼノンが魔法大国である礎は、ラウラリアのその加護によるものだと言われることもある。」

「国を守護してくれる女神様。」

納得したように呟いたセリナに、ジオは苦笑いを見せた。

「だからこそ厄介でもあるんだがな。」

「?」

「あちらは軍の力が強い国。アジャートでも、表向きは勝利の女神として崇められている。そもそも、アジャートを振ったというのは、あちらでは一般に知られている話ではないようだ。」

ジオの言葉にセリナは頷いた。

だからこそ、エドの話にも周りから疑問が出ることがなかったのだろう。

(誰も、彼の言葉が間違っているなんて思っていなかったはず。)

「けれど、ラウラリアの行動は……、その話を知っているアジャート王家の人たちにとっては、いい感情を持てるものではなかったのよね。」

ウルリヒーダも怒りを見せていたくらいだ。

「ラウラリアが、勝手に守護する国を変えた理由は、話の中に出て来ないの?」

「原書と言われている話の中には、ない。アジャート側でも、明確に示されている物があるわけではないらしい。どの国でも、いろいろ解釈は付いているが、真実はわからないということだ。後付けだが、至高天は入れ替わることを咎めはしなかったし、白の女神も、立派にアジャートの守護を果たしている。可、とされる範疇だったのだろうな。」

「黄昏の女神、ジゼルラグね。」

「そちらも聞いたのだな。ジゼルラグは、安寧の女神とも。」

ジオの言葉に、セリナは小さく笑う。

「アジャートの話でも、やっぱりジオの方がよく知ってる。」

視線をセリナに向けたジオは、緩く首を振った。

「……アジャートのことに詳しい者が、この国にもいる。ただそれだけだ。」

ジオが歩き出したので、セリナもその後に続く。

回廊の途中で階段があり、それを上がる。

「アジャート王は、フィルゼノンが保護した“黒の女神”を、勝利の女神として手に入れようとした。」

「……。」

「理由は肩書が欲しいからだけじゃない。フィルゼノンへの加護を阻止したい思惑や、休戦を破るきっかけを探していたなど、諸々と挙げればきりがない。」

階段を上がりきった先の扉の前で、ジオは足を止めた。

「だが。セリナも気づいているのだろう。」


「アジャート王は、“黒の女神・ラウラリア”を手に入れたかったわけじゃない。ウルリヒーダが、フィルゼノンから奪いたかったのは“災厄を運ぶ・黒の女神”だと。」


「それは……。」

ジオが手をかざすと、扉は滑るように開いた。

彼の目線に促されて、セリナはその部屋へと足を踏み入れた。







広いベランダに面した2方向にあるアーチ状の窓から光が差し込み、室内は明るい。

見晴らしの良い景色から察するに、どこかの塔の上階に位置しているようだった。

絵がたくさんあった回廊と対照的に、この部屋には絵画どころか装飾の類は飾られていなかった。

ただし、目線の高さには部屋を一周するように—――窓の部分も途切れなく、金色の綺麗な模様が描かれていた。

部屋の中には人影があり、相手は窓の外を眺めていたようだったが、セリナたちに気づくと深々と頭を下げた。

白いひげを生やしたその人物には見覚えがあった。

(確か、以前に庭の祭礼で。)

ジオの執務室を訪ねた時にも顔を合わせたし、知らない人ではないものの交流があるとは言い難い相手だ。

(確か、宰相・ジェイク=ギルバート。)

ここに居るということは、ジオが言っていた『もう1人』は彼のことなのだろう。

ジオを振り返ると、置かれていた椅子に座るところだった。

視線で促されて、セリナも白い丸机を挟んで椅子に腰を下ろした。

窓際から離れたジェイクが、ゆっくりと机に近づく。

彼が歩く大理石のような床の所々にも金の模様が施されているのを見つけ、天井は?とセリナは思わず視線が上に向く。

「妙な心地ですな。」

どちらに向けての言葉だったのか、ジェイクの呟きには困惑の色が浮かんでいた。

反応の遅れたセリナをよそに、ジオが皮肉そうな笑みを見せた。

「予想できていた展開だろう。優秀な宰相殿。」

立派なひげをひと撫でした宰相は、空いていた椅子を引く。

場の空気に、セリナは首を傾げる。

(もしかして何も聞かされずに呼び出された? あるいは、私が同席するとは聞いていなかった?)

す、とジオが視線をセリナに向けた。

「まず、初めに伝えておく。」

状況に気圧されていたセリナだったが、真剣な表情を取り繕ってジオを窺う。


「アジャート王が亡くなった。」


端的に告げられた内容に、作ったばかりの表情が固まった。

「“銀の盾”の王城襲撃。セリナも巻き込まれたと報告を受けている。」

膝の上に置いた両手を拳にして、セリナは視線を彷徨わせる。

「城に入り込んだ“銀の盾”のリーダーと交戦になり、敵を倒した王も重傷を負って、翌日息を引き取ったそうだ。」

「……。」

「城を襲った賊徒は、兵士たちが鎮圧拘束。中には逃げた者もあるようだが、追っ手がかかっている。」

「そんなっ。」

思わず上げた声に、ジオの視線が刺さった。

「知らない相手ではなさそうだな。聞きたいのは、セリナが知る事情とその経緯だ。」

ちらりと瞳をジオに向け、セリナは力の入っていた拳を開く。

セリナの知っていることを、ジオに隠す必要はない。



話を聞いたジェイクが、頭を押さえた。

「城内で交戦あり、と報告があった故、訝しくはあったのだ。」

ジェイクの様子に、セリナはジオを盗み見る。

それに気づいたジオが、気にするなと告げる。

「国庫の開放が目的にしては、城内に深入りしすぎだと気にしていただけだ。」

セリナは、あぁ、と頷く。

次いで「アジャート王を説得することが目的でもあったから。」と言いかけて、言葉を飲み込んだ。

目的が説得だったのかどうか、セリナには確信が持てなくなっている。

「セリナ?」

「いえ、なんでも……ただ。」

まるで記憶が途切れたように、セリナはその瞬間を覚えていないのだ。気がついたら、事態が変わってしまっていた。

ルーイによって視界を遮られたから、見てはないのだろうとも思うが不思議な感覚だった。

「今も。実感がない。あれが本当に現実に起きたことなのか。」

その場にいたのに、と表情を曇らせたセリナから、ジオの視線が外れる。

「居合わせたのは、王妃とダンヘイトの隊長、第3王子もか。」

それは質問ではなかったが、セリナは頷きを返した。

しばらく何かを考えていたジオだったが、再び口を開く。

「追っ手はかからない、とエリティス隊長に言ったそうだな。」

「ルーイが。」

と切り出して、セリナは言い直す。

「ルードリッヒが、このままアジャートに残れば、女神として利用されることになる。今を逃せば、フィルゼノンに戻ることができなくなるって。王妃様も、それを黙認していた。」

あの時、目は合った。だが、彼女はセリナには何も言わず、いないものとして振る舞った。

ルーイも、その態度から王妃の意図に気づいていたはずだ。

「混乱に乗じて、城から出られるようにしてくれた。」

「王以外の者が、女神を手の内に置くのは危険な賭けと言わざるを得ないですからな。」

重々しくジェイクが告げ、腕を組んだ。

「扱いに困りますよね。」

「……手放した方が有利と判断した、と評するのが近そうだがな。」

そうだろうと考えていたことを、ジオに訂正され、セリナは首を傾げる。

「有利?」

セリナの疑問符に気づいたはずのジオから、答えはなかった。


「ディア様、アジャートで対魔法用の武器をご覧になったというのは誠でしょうか。」


問うタイミングを持てないうちに、ジェイクに声をかけられ顔を向ける。

「対魔法……キル・スプラ、キール・バーダと、呼ばれていた物のことですか?」

黒い銃によく似たその武器を思い出して、セリナは目を伏せた。

窓が開いているわけではないのに、空気が流れて風を感じた。

「ディア様から見て、どのくらいアジャートに流れているのか、お教えいただきたく。」

「どのくらい、と言われても。」

言葉に詰まったところセリナの横で、ジオが口を開く。

「難しく考えず、主観でいい。」

ジェイクの質問とジオの助言とを反芻してから、セリナはおずおずと感想を述べる。

「王城にはかなり。……量を揃えるために、武器を作っていた場所の領主を強引に入れ替えたという話がありました。その武器を使うための訓練が、城で行われているとも。」

言いながら、この情報を伝えるためにフィルゼノンに戻ろうとしていたのだったと、セリナは改めて気づく。

美しいと心が震えたこの国を、踏みにじるあの武器の存在を。


「あの武器、レイポイントを破壊できるって……っ。」


何があっても使わせたくないと、思ったからこそ。

無意識に、体ごとジオに向き直り、懇願するような瞳を相手に向けていた。

(魔法壁を壊して、また戦をするって。)

「そうだな、危険な武器だ。」

落ち着いた声で同意を示したジオが、セリナを手で制す。

「……。」

「先日の暴動で、穀物庫と同様に、武器庫も破壊された。被害は大きいだろう。それらを持って攻められる危険性が減ったのは、フィルゼノンとしては幸いと言える。」

はっとして、セリナは肩から力を抜く。

「そうだった。武器庫も、って。」

聞いていた情報だ。

大量に積まれていたあの武器の、どのくらいを消失させられたのかはわからないが。被害が大きい、とのジオの言葉に偽りはないだろう。

(銀の盾が狙っているという話は聞かなかったけど、追跡を交わすためとか、戦争を阻止するためにそちらも計画されていたのかもしれない。)

そして、まさに休戦を破ろうとしていたアジャート王は、その椅子を空けている。

銃のような武器を思い出して焦燥した心に、落ち着きが戻って来る。

(今すぐに戦争が、という事態は避けられた……?)

それと同時に自分に対する呆れが浮かんで、セリナは頭を押さえた。

「私、空回りばかりね。」

「なんのことだ。」

怪訝そうに返されて、セリナは小さく笑う。

あの武器の存在を、ジオたちが掴んでいなかったはずがない。

それは、きっとセリナが知ったあの時よりも以前からだ。

「その武器を使えなくできれば、と思ってお城に乗り込んだ…のだけど。」

自分で選んで、進んだはずの道。

けれど、振り返れば周囲に流されていたように思える。

(多分、エドの言葉に選ばされたとか、そういうことだけじゃなく。定めた目標を果たせないまま、というか。)

だから。

エリオスに問われた時も、自嘲の思いが浮かんだのだ。

「結局、私は何もできなかったなって。」

少しの間があってから、平素の口振りで一言だけ。

「何も、ということはない。」

「え?」

意図を掴み損ねて、セリナが首を傾げると、今度の疑問符には返事があった。


「セリナが。何もできなかった、ということはない。」


まるでそれが自明のことだというふうに、ジオが繰り返した。

慰めや同情からの言葉ではない証拠のように、王は表情も変わらない。

思いがけない言葉に、セリナはきょとんとジオを見つめ、瞳を瞬いた。

(何か、果たすことが……できたのかな。)

なぜだか、彼の言い分は当然のことのようで、反論する余地がないように思えた。

謎の説得力に煙にまかれたような心地になる。

「セリナの疑問は、なぜ“黒の女神”を保護したか。だったな。」

「え? あ、はい。」

さっさと次の話題に切り替えたジオに、慌ててセリナは意識を目の前に向ける。

「そして、なぜアジャート王が災厄の女神を奪おうとしたか。」

「……。」

「立場は違うが、根底にある理由は同じ。」

淡々と語るジオが、足を組む。

「ノア=エンヴィリオの遺した予言にある“黒の女神”。災厄を運ぶ黒を纏う使者。災いの存在。」


「その存在を、“災い”にさせないためだ。」


「……ど、ぅいうこと。それは、予言に逆らおうとしている、と?」

「少し、違うな。だが、“本物”なら尚更。災厄などにはさせない。そのために、フィルゼノンは……いや、オレはセリナを“黒の女神”として保護した。」

彼の言葉に、セリナはどきりとする。

「そして、アジャート王は、アジャートでこそ、それが叶うと考えていた。」

セリナは胸を押さえて、記憶を辿る。

「確かに、アジャートなら災いにはならない、って。でも、そもそもどうして。」

と言いながら思い当たり、顔を上げたセリナはジオと瞳があった。


「セリナが現れるより前に。“黒の女神”がいたんだ、フィルゼノンに。」


「……。」

―――フィルゼノンに殺された黒の女神がな。

アジャート王の言葉がリンクする。

「厳密には、“黒の女神”などではない。そうであるはずがないのだけど。」

組んでいた足を戻して、ジオが続ける。

「それでも、ひとまずはそう説明するより他ない。」

不本意ながら。とジオはつけ加える。

「災いの女神にさせられた?」

「……それも違うな。」

短く答えて、ジオは視線を流す。

「それを説明できるのは、ジェイク。」

「……。」

「そのために宰相殿を呼んだ。」





視線を向けられたジェイクは、口を閉ざす。

指摘された通り、予想は付いていた話の流れだ。


『その武器を使えなくできれば、と思ってお城に乗り込んだ…のだけど。』


ちらりと視線をセリナへ向けて、ジェイクが緩く頭を振った。

(なんとも、まぁ。)

―――ずいぶんと無茶なことを考える。

練った計画があったわけでもなさそうな少女に対して、浮かんだ感想。

ジェイクが、ちらりとジオを見やる。無言のまま顔色を変えなかった相手も、心境としてはさほど違いはないだろうと考える。

襲撃を受けて連れ去られた先で、自らアジャートの王城を目指したという。

(それはそれで、というところだが。それはつまり、ウルリヒーダ王が連れ去ったディア様にある程度自由を認めていた、ということでもある。)


(黒の女神を、災いにはさせない、か。)





宰相ジェイクが、息を吐いてひげを撫でた。

「私から語るべきことではないと、申し上げたのですよ。」

どこか別の場所を見ながら、ジェイクがぽつりとこぼす。

「それゆえ、お預かりするには重すぎると。」

「……だが、それはジェイクに託された。」

応えるジオのサファイアの瞳は伏せたままだ。

「最期の願いなれば、お断りできようはずもなく。」

そう言って微笑んだ宰相の表情は、泣き笑いのようだった。

セリナは2人の会話を黙って聞く。

一瞬、ジオの顔も宰相と同じように変化したように見えた。

「このまま生涯しまい込んで、やがてジオラルド陛下に託すべきものと。」

言いながら、ジェイクは席を立つ。

ジェイクを見上げて、ジオは口元を引き上げる。

「アテが外れたな、状況は変わった。」

ジェイクが左腕を上げようとして、長い袖が揺れる。

そこで一度動きが止まった。

「覚悟を決めよ、ここに“黒の女神”が同席していることも、巡り合わせだ。」

「……えぇ。それに、宰相として、巻き込んだ責任もある。」

そう答えたもののジェイクは、迷いがあるようだった。

「陛下。」

何かを確認するような響きのジェイクの呼びかけに、ジオは首を振った。

「状況が変わったのだ、ジェイク。この国が置かれている状態、アジャートとの駆け引き。わかっているだろう、『今』なのだと。」

淡々とした言葉を、ジェイクは瞳を伏せて受ける。

沈黙。

それから、顔を上げた。

「御意。」

今度こそ左腕を上げる。

そこに嵌めていた金の腕輪に触れ、何か呪文のような言葉を詠唱する。

光が舞い上がり、それを拾うような動きでジェイクが空中に四角を描く。

(魔法、そっか、宰相さんも使えるんだ。)

不思議な光景。驚愕しなくなったのは、だいぶ慣れた証拠だ。

セリナの席から、四角の空間の奥に書庫のような場所が見えた。

ジェイクはそこから茶色い装丁の本を1冊取り出す。

途端、見えていた別の場所は消え、ジェイクは本を片手に椅子へ座り直した。

「本、ですか?」

机の上に置かれたそれを眺め、セリナが問えば、宰相が頷いた。




「先代のフィルゼノン王が遺された手記です。」




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