笑みの裏側
勘違いしたかのような対応しかしないやつらに何が伝わっているのだろうか。外野なのに知ったかぶりをして戦う。それを真実じみたようにするのだろうから。伝わることのないものなのだ。嘘を言ってもおかしいのだ。腐った未来を見つけてくれるのならいったい何が瞳に映るのだろうか。影を落とした闇であろうか。弱い心を強く見せるために意地を張ったり強がったりするが、それは自分のためだ。自尊心を保つために使うのか。誰が得をするのだろう。損得勘定の世界でいったい何を得たりするのか。得るものの少なさを感じてしまう。最悪な顔を見せるのが仕事なのだろう。仮面をうまくかぶったふりをして演者として動いてみるが、墓穴を掘ってしまうのが結果なのだろう。
「まぁ、君なら将来があるからね。俺にはもう終わったも同然だよ。」
「何言ってるんですか?俺みたいな奴に部屋を同じにしてくれているだけでうれしいんです。根が優しい人なんですね。」
「買いかぶりすぎだよ。ろくでもない会社の社員だったんだ。それも経理だ。知ってるか?経理の部長と社長が共謀して会社の金を横領したって話だよ。」
好青年の彼ならと話してしまっているのかもしれない。数時間前どころではないが、一緒にいてるだけなのに・・・。恐ろしい決断をしていることもわからないだろうから。
「それでもいいんですよ。会社ってそんなものじゃないですか。利益を夢中になってお客のことなんて考えていない会社だってあるでしょう。何故とか考えない。利益しか思えないのだろうと思ってるんですよ。何を理解したかなんて勝手で自分勝手な解釈で先に進めて話が合わないことになるんですよ。」
「君は偉いね。本当に坊ちゃんなのかい?不思議に思ってね。」
坊ちゃんだったことを忘れてしまう。自分の決めた道を迷わず進もうとする姿が誇らしいのだ。嘘偽りのない景色でもある。嘘を間借り通ったところで言い訳をする官僚や政治家とは違う。そう感じてしまうのだ。現実を見れてしまわないようにしているみたいだ。現実逃避をもっぱらしているのは政治家なのかもしれない。欲張ることだけを得ているのだろう。誰も幸福を感じない世界となっている。欲求不満に囲まれてしまうのだろうから。
「頑張ってね。俺も仕事に行かないといけないから。」
「そうですか。すいません。勉強とかするので好き勝手に使ってしまってもいいですか?」
「構わないよ。応援してるからね。」
彼の華奢な肩をつかんだ。叩いたが、笑顔だった。




