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前略  作者: 実嵐
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さかのぼる坂道

俺の中で阿久津が動く日は決まっているような気がした。鬼塚恵美子の命日だろう。早めに拳銃を受け取ったのは、警察が動く前にもっていたほうがいいと判断したから。その日まで近い。鬼塚との記憶は消えなかった。消えないだろう。楽しい思い出から少し寂しい思い出もあったりするだろう。それを簡単になかったことにするのは不可能なのだ。人というのは複雑のようでシンプルなのだ。嘘偽りで何かを得ると確信することなど少ない。俺は体を休めるという名目だけではない。阿久津について知っておけば必ずつながる。犯行の動機がはっきりしている。探偵事務所に行ったのも無駄ではなかった。鬼塚恵美子は国会議員の不正について調べていた。それがその会社に入っての初めての仕事だった。張り切ってもいただろう。正義感の塊にもなっていったのかもしれない。その時に真実を知って、都合の悪い情報があったとしたら・・・。それで黄劉会を利用して殺したとしたら・・・。指紋もないので仮定でしかないが、打点がつくような・・・。マスコミは権力者の言うことを聞いたりする。金で言うことを聞くものがいるのだ。それを覆すような人物を送り込んだら気に食わないだろう。鬼塚の行動はある程度わかっているから。あの資料からわかるのは、国会議員で今、総理大臣候補の小峠剛だった。小峠は以前から噂があったのだ。暴力団との関係をうやむやにして質問に答えない姿がちらちらとテレビというものを通じてあった。・・・確か、選挙があったのだ。それで小峠の事務所もあるはず。立地も確認しているだろう。プレハブのようなものではなく、店舗でも使えるようないい場所でいるに違いない。権力にうぬぼれておぼれているのを幾度となく指摘をされているのに、にたっと笑っていた時があった。まるであざ笑っているかのように。面白いものを見つけたというよりもバカにしているといったほうがあっているような・・・。小峠のいる党が与党となっており、ポストなんちゃらというのが話題だ。長年同じ椅子に座っていると無垢になんていられるはずがなく、最初から無垢ではなく、嘘を言って座っている椅子なのだ。垢にまみれたようだ。落とせないほどのものをもっている。それも最初から・・・。悪気のない行動は悪意しかない。組織的犯行ほどだますつもりでしかなかったのだ。マニュアルを作り上げている時点で意図的だといっているのと変わらない。嘘を言ってもダメなのだ。それを通そうとする心意気も狂っているとしか・・・。

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