家の中
テレビのノイズを垂れ流しにしているのはそこから生まれる興味が多々変わってくるからである。流れたニュースは反乱を起こそうとして失敗した人間の最後の叫びを聞いたりしているのだ。つけが回って来たのだと誰もが思うものなのだ。急な話を盛り上げるのが正しいのだろう。2人で缶ビールを鳴らす。頼りない音を鳴らすしかないのである。
「兄貴、久世の話は俺にとってはどうでもいいんだぜ。」
「親父やおふくろは嫌がるだろうけど。お前がそれでもいいっていうのなら俺は構わない。親父の言い分には詭弁や屁理屈をたくさん紛れ込ましていることも知っているからな。腕で戦えば勝てる勝負だよ。」
負け戦じゃないのを知っている。負け戦なら別の会社に入ることもできなかっただろう。数多も深く問わないのは俺の対応をまじかで見てきたということがあるからであろう。抗っている息子に負けた親父を見つめていたのだ。数多の高校の話の時も戦ったのだ。
「兄貴がいればいいんだよ。俺はもっぱら後ろで見ているのが性に合っていると思うんだ。束ねるとかさ、権力の羽交い絞めなんて外れるとわかっていてもするんだからかわいそうなものだよ。」
「まぁ、正月とか盆くらいには帰って話すしかないだろうから。」
聞き分けの悪い子供のような言葉を吐き、自分の言い分が通らないと地団駄を踏むのだ。親父を見てもおふくろを見ても周りにいる人を見ても尊敬なんてものがなかった。うぬぼれているとしか映らなかったのだ。
「伊丹の事件が起きたからもしかしたら呼び出しを食らうかもな。親父やおふくろにとっても緊急事態なのは知っているしさ。幹部を殺されたことも怒りにつながっているけど、系統に警察がいないわけよ。手回しをするしかないのだろうから。」
「そうだよな。伊丹の会社は産業スパイをいてこその会社だったから。派遣会社もそれに連携されてるを知っているのは幹部と俺たち家族だろう。知った人間はたまったもんじゃないよな。」
ピラミッドを作り上げているうえの人間は隠すのだろうと思うばかりなのだ。久世のグループは親父やおふくろの手腕でもない。先代の人の手腕であるので保つことに意味があるのだが、壊すことを示唆しているわけでもないのを知っている。親父は久世の中で育ったため、世間との違いも気づかないのだ。愚かだといってもわからないと首を振るばかり。つまらない言い訳を吐き出すのも聞き飽きたのだ。おふくろも社長だからというばかりだ。