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前略  作者: 実嵐
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過去の産物と現在の栄光

所長が元刑事というのはなんらかのことがあってやめざる終えなかったのだろう。俺は応接室にある安いソファで握りこぶしを作っていた。

「資料見たいのなら見ていいよ。警察も相手にしなかった事件を素人がどうこうしようとしているかは計り知れないけど、俺も警察から捨てられた身なんだから尻尾ばかり振らなくていいよな。」

警察というのは人質を勝手に作り上げることもある。それが自分の権力に邪魔することがなければかまわないのだ。うそだろうと。遺留品をなくそうと丁寧に扱っていないのだ。俺は資料室へと連れて行かれた。狭い部屋に押し込まれるように積み重なっている。

「うちの事務所は浮気調査だのたくさんやってきたんですよ。それで初めて事件を取り扱ったのでよく覚えているんですよね。所長の知り合いの人がずかずかと入ってきて、自殺なのに調べているのはお前らかって怒鳴り込んできて・・・。たぶん、上の指示だってわかっていたからすぐに所長も引き下がったんです。・・・けど、他殺だとわかっていて自殺と言い切っちゃうのはどうなんですかね。」

もらす言葉は不信感だった。他殺だとわかっている。断言している。DNAの検査もたぶん行ったのだろう。民間の施設を利用すればいいだけだ。付き添うように彼女はたっていた。

「どうして鬼塚恵美子のことを?」

「今回の爆破事件とかかわっている気がしただけです。俺も無論、縁遠いところにいるので、調べようがなくなって・・・。」

「それならここにきてください。歓迎します。」

うれしそうに笑って資料室から出た。静かになった部屋のカビの生えた壁に少しいやな感じがしながら、鬼塚恵美子について書かれたものを見た。黄劉会のメンバーに目をつけていた。伊丹も含まれている。黄劉会の幹部候補だったこともあって、その上に拳銃の取引を有効にするために会社に入ったようだ。会社での権力は上であったので、親父の監視もあってよりよく動いたのだろう。伊丹は黄劉会にいたころ、阿久津に目をつけ、幹部に仕向けた。そのときに恋人がいることも尾行のうまい部下を使って知った。そして、何もいわず、鬼塚恵美子を殺したとしたら・・・。今、久世グループにいる黄劉会のメンバーがそこに含まれていると知ったら・・・。過程の積み上げだけに過ぎない。資料を見て読み取れるのはそれくらいだ。指紋が拭き消したではすまない状態だったのなら、幹部であったはず。そのために久世グループに一時的に入れる立場になることで事件のことを探っていてもおかしくない。黄劉会の親分は親父だまで言われているのだから。

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