日々に違いなし
堂安と飲んだ後、終電があったため駅で別れた。いい感じに酔ったのでベンチで座った。数多を呼ぶほどではない。バイトをしているのに邪魔をするなんていけない。ふと横を見るときれいな電気の色どりがあった。遠くから見るのは申し分ないが近くで見ると違うものなのだと心底思ってしまう。地下へと向かった。広告が敷き詰められている。じっくりと見ることもなく、電車が来た。乗り込むと混んではいないのでゆったりと座ることができた。携帯に目線を落としている人が多いのだ。他人は他人だと割り込んでいたりするので冷たさがひしひしと伝わってくる。ネットの世界へといってしまって面と向かって話すことは少ない。下を向いて対応しているのである。電車を降りると駅を出て道路を歩く。寂しいだなんていう精神的な感情はない。何時も寄っているコンビニへといった。
「いらっしゃいませ。」
丁寧に大きな声が聞こえた後にけだるそうにした声が追いかえた。最近入って来たのだと店長が言っていた。バイトだとなめ切っているのだと愚痴っぽく言っていた。注意をしているのだと。雑誌コーナーに行く。週刊誌を横目で見る。国会議員のゴシップや芸能人の熱愛とか書かれている。呼んで満たされるなんてことはないため、通り過ぎた。店長が声をかけてきた。
「久世さん、いつもありがとうね。こんなご時世さ、人づきあいだなんて嫌がられるのに。」
「俺は好きですよ。人の愛しいさが見えてくるから。」
「そう。さっき、俺の挨拶追いかけたのが新人。使えるようにするのが店長の役目なんだけどね。研修中という名札付けているから付き合ってくれ。」
練習に付き合えということなのだ。嫌ではないのだ。酒を買うつもりなんてもともとないため、新商品のジュースを買うように持った。レジへと行くと青年がマニュアル通りにしているのだ。いずれわかるだろう。マニュアルを超える時が訪れたときの決定的な瞬間の違いをじかに感じることができるのだ。
「有難うございました。」
青年は少し上がった声で言った。あがり症なのを隠すために小さな声で言っていたのだろう。接客を選んだのはたまたまであろうからと踏んだ。ビニール袋をもってアパートまで帰った。鍵を開ける。
「ただいま。」
返事が返ってこないということは数多はバイトが終わったが少しばかり飲んで帰ってくるというのだろう。風呂に入る準備を着々と進めているのだ。風呂が沸くまでテレビを見て時間をつぶすのが日課だ。