権力か
堂安は父親の執事を研修として行ったのだ。嫌というほどの命令が飛び交ったのだ。嫌気がさすのも検討がつく。店員が刺身の盛り合わせが出てきた。
「暗い話をしていても晴れることはないですけど、これでも食べてください。俺のおごりです。」
「有難う。」
ビールからチューハイへと変わっていた。堂安は焼酎を飲んでいる。ロックはあまり飲むことはなく、水割りかソーダ割をよく頼むのだ。並べられたつまみを箸で突っつくのだ。取り皿にはたくさんのものを乗っけることはない。
「親父の研修のほうがよっぽどつらかったっていうのは明らかに会社内で反乱がおこるよ。」
「そうですよね。不満とか抱えている人が多いという証明ですから。私は養護施設でいい就職先を教えてあげると責任者の人に言われたので言っただけです。此処まで御曹司というのが世の中の波の飲まれるのを好んでいるとは知りませんでした。」
「俺は普通に公立高校に行ったから。私立にしろとかさんざん言われたけど、響くような学校じゃなかったから行かなかった。」
久世グループには学校もある。幼稚園も保育園もある。小学校もあるがそこには強制的に入れされたのだ。抵抗してもかなわないことを少しわかった気がした。中学もあったが、世の中を感じるほうがいいと思った。久世の保育園に入って小学校、中学校は行ったが、高校は出ることにした。緑谷とは保育園からなのでかなりの歴を一緒にいるが苦痛なんて感じない。むしろ会いに来たりしていた。親父やおふくろは嫌がっていたが、緑谷の普通のアニメや漫画、テレビの話のほうが親の話を聞くより面白かった。勉強を無理やりしたところで身につかないことをわかったからでもある。両立してやっていくのを最後まで認めなかった。大学は国立に入ったことで不満はなくなったらしい。今は数多にプレッシャーをかけているようだが、効かない薬を渡しているようにしか見えない。俺は関係と割り切っているので数多の不満を聞いているだけなのだがそれでも気が済むのでありがたい限りだ。
「何を悩んでいるんですか?難しい顔を繰り返したところで時計は止まりませんよ。」
「哲学みたいなことを言っているな。よって来た証拠かな。」
頬を赤く染めた堂安は饒舌に話している。うるさいとも思わないのだ。言いたいことを言っていてうれしい。御曹司だと大人が騒いだが継がないと気づいたときに波は去っていたのだ。その時、ほっとしたのを覚えている。