口の出先
きっと騒がしい声が店内に流れているだろう。だが、宴としか思えないが太陽が上がっている時点でいい宴にはならない。予兆に過ぎないのだ。それでもいいと思えるのだ。部長はいなくなったことを誰も言わないことは早く忘れたいのだといっている。高梨は最終的には自分のために動き、自爆したも同然。爆弾を落とすのも起動させるのも人の手段や動き次第なのかもしれない。それをいくら誤って動かしたとしてもセーブさせることはない。むしろ、その知識を持ち合わせていない。いらぬといって聞く耳を持たなかった結果である。
「遅れてすまないな。」
「いいよ。」
奥村がそっと入って来た。奥村は空気感を好むのだ。西條はただの付き添いに過ぎないのだろうが、嫌な顔をしないのはきっと居心地の良さを感じているからだといってしまえる。西條は部下としては厄介だともならないだろう。駒じゃないことを教えてあげるため。法を知らぬ国会議員が違法の武器を振り回して正当化をしているのと何ら変わりがない。地盤が崩れる音すら聞けぬ奴に偉そうに言い訳を言うことなどできぬのだ。
「飲むか?」
「飲まないよ。まだ、昼だぞ。それに仕事があるんだ。」
「お前は何だかんだ言ってさ、やっぱり仕事をしたいんだな。」
ぼやくように言うのだ。
「すいません。奥村さんってもしかしてお会いしてませんか?」
「あぁ、あってますよ。西條もでしょう。」
「捜査一課とか言ってましたよね。」
恐る恐るいう姿を見て笑えて仕方がないが、まさか警察が来るとは思ってなかったのだろう。ただいてもらうだけなのだ。
「どうして警察の方が・・・。」
「俺の友人なんです。緑谷もですよ。俺のことも堂安のことも阿部のことも大概どころじゃないですけど知っているんで、ただ来てもらっただけですよ。聞き込みを此処でするなんて場違いじゃないですか。」
俺の言う言葉に安心したような顔をしている。それはそうだ。警察というのは嫌なのだ。好む人のほうが少ない。裁判にかかれば99.9%は有罪といわれる世の中である。それも中身をろくにみずに数をこなすだけになっている時点で人の人生をつぶすのだ。事件を動くのは人の人生がかかわっているということ。当たり前のことすら何もないのか。自分の権力などのみっともないことに力を入れるのがいいのか。言い訳や謳い文句を言ったところで困るのは最後に自分が裁かれるときに痛い目を受けるだけなのだ。天罰といっていいのかもしれない。堕天使でも来るのだろう。




