始まりの時と温度
何時もはテーブルとイスの席なのだが、大人数となると座敷があるのだ。掘りごたつになっているので足が延ばせることもあって人気なのだ。だが、時間もあってあいてるのだ。店主は嬉しそうにだが、悲しそうにしていた。
「堂安君、君も混ざりなさい。どうせ久世君が気にしている人は来ないから。」
「そうですか。有難うございます。堂安、お前も混ざれ。うまい飯を今まで1人で食っていたんだ。いいだろう。」
「貴方に後押しをされると余計うれしいです。」
笑顔を見せた。緑谷は数多と阿部、奥村を呼んでもらうことにした。思いのほか部屋が広かったのだ。阿久津は此処に入社当初は来ていたらしいが、いつの間にか来なくなったらしい。それはガラの悪い人が暴れたことがあったのだ。そこにかかわっていたのが阿久津であって店主が来るを止めたのだ。大概、聞く耳を持たないのに付き合うのはうんざりだからだという。
「堂安、挨拶しろ。」
ある程度落ち着いたときに声をかけた。堂安の落ち着きのなさが際立つかと思ったが、やっぱりそんなことはなかった。鍛え上げられただけある。
「刹那様の執事をしております。堂安といいます。」
「執事?どういうことですか?久世さん。」
「最後だから言うがな、俺は久世グループの俗にいう御曹司とかいうやつだよ。けど大丈夫だ。親を嫌って出てきただけだから。」
店主の奥さんがお茶を人数分テーブルに置いて行っている。丁寧なのは夏目を見ているので、しぐさが気になってしまうのは何であろうか。くだらない悩み事を思っていても仕方ないのだ。お茶を飲むと苦味や甘味を感じて面白みを漂わせるのだ。料理はお任せで頼んでおいた。大体のメンツは此処の常連なので、好みを出すのは簡単なのだ。それを知っているので、ゆったりとしている。外は何処かドタバタしている。ドアを強引に開けた。
「兄貴、阿部も連れてきたよ。奥村君は仕事が落ち着いたら来るって。西條っていう部下も連れてくるから先に始めとけって言ってたよ。」
「とりあえず、数多、挨拶しなさい。俺に会えて喜んでいる場合じゃない。」
「今日、此処に来れたのは講義がさ、突然休講になって暇していたところだったからよかったよ。・・・久世数多といいます。隣にいるのは俺の執事の阿部です。」
「初めまして。」
人にあふれている。数多は堂安の隣に座った。ほのぼのとした空気が漂っていた。きっと思っている御曹司と違って驚いているのは事実だろうが、口に出さないのは空気感だろう。




