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前略  作者: 実嵐
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楽しいときというのは時間の流れが速いというのは知った話だ。歳が経つにつれてもそうだ。俺が中学生の時に自殺未遂のことを表に出さないが、きっといいのだろうと口を閉ざしているのだろうから。その気遣いに胸を打たれることもある。

「久世、気にせず言えよ。俺はさ、そのために警察に入ったんだ。」

奥村は緑谷の意思を伊達に受けたわけじゃないのは俺らの中では知られたもの。警察の未然に防ぐなんて言う行動をしないこと。事件が起きてからだといって後回しにして事件を巻き起こしている。冤罪を起こしては平謝りを繰り返し人の人生を踏みにじっているのである。そのため、そこに入るのを嫌がっていていたが、緑谷は犯罪者がいるというので相手にしてもらえない。よくやろうと思ったなと。酔った奥村の顔は嬉しそうだった。人は誰もが業を背負うのだろうからと。その業に対してのあり方を扱っていくのだろうから。何処ぞの会社の偉いとされた人間が内部告発によって逮捕されていた。裸の王様に指摘しないのだろう。価値やらなんて言えない。会社の不祥事としてみなされて働いている人間にも被害がこうむるのだ。勝手な考えを続けたのだ。その人の質の悪さはケチであるくせに自分のもらう金だけを巻き上げた形なのだ。それを受け取る価値が下がってしまったのだろう。

「情けない奴ばっかりでうんざり。」

酔った口調で吐き出す言葉は痛いところを突きそうなくらいだ。奥村はきっと事件について忘れたいのだろう。優しい奴だから。心を痛めることの多さや自分のできることの少なさに嘆きを言いたいが、部下に言ってしまうと何かを支えているプライドが許さないのを知っているから。強がりでもあってもいい。許すことも誇りもある。

「事件は絶対に解決するからな。久世に先に報告するから。」

「また出たな。責任ってやつがな。」

「奥村はそうだろう。正義感っていう見えない敵と戦っているんだから少しはねぎらってあげないと。やっていけない。」

空になった瓶のワインを見つめた。緑色のガラスから通る光は穢れていない。だが、通ってしまうと加工されてしまうのである。まるで人のようだ。幼き頃はまだ、無駄な知識に対する抵抗するなんてなかった。自分の得る知識の好奇心に任せていたのに・・・。大人だとされるとずるがしこくなるだけだ。人を不幸にさせても何も思わないのか。問いたくなる人間も現れる。人が見えなくなって透明にでもなってしまったかのように。


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