いうほど楽しむ
俺と緑谷は缶コーヒーをもって応接室に行った。あるにも関わらずもっていくというのは素っ頓狂であるのは承知の上だ。緑谷は気楽な雰囲気を醸し出している。応接室に行くのは初めてだ。会議室は行くことは少ないのだが・・・。ドアをノックすると声が聞こえた。
「おう、待たせてたな。」
「待つっていうのはな、時間を指定したときに使うべきだ。こっちなんて押し掛けたに過ぎない。」
西條は2人の会話に何処かそわそわした様子が否めないようだ。俺は緑谷の隣に座った。向かいに奥村と西條がいる。
「んで、話って話題のあの人のことか?」
「ご名答。まぁ、周り聞いてりゃなんもろくなことしてなかったみたいだな。」
「圧力の存在だったから。好む奴なんていなかったのが正しいんだ。」
缶コーヒーを開けて飲んだ。うまい。そんなくだらないことを思いながら、言った。彼の動きは全く微動だにすることはない。
「西條、例の奴出せ。」
「捜査資料ですか。出せませんよ。」
「違うよ。俺の作った資料だよ。捜査資料出せないくらい、お前に言われなくてもわかってる。だから、俺が徹夜して資料を作ったんじゃないか。フィクションだと思ってみてもらえればいいんだから。こいつらは冗談が聴くからいいの。」
彼の言葉に押されたからか自分の鞄をガサゴソとしている。奥村は自分の作った資料を持たせているのだ。これがいい上司というのかは個人間の問題だ。彼のため息は何処か漏れてしまっているのだろうから。
「これな。見にくいだろうが勘弁してくれよ。足で稼ぐのは得意なんだけど、事務っていうのは何処か苦手なんだ。お前らに頼めばうまくいくんだろうけどな。」
「俺は企画のようなせずに不変的なことをやっているだけだから、緑谷がまだうまいだろう。他人の見ているんだ。」
「まぁな。」
緑谷の誇らしそうな顔を見せた。得意な顔をするのは俺らに褒められた時や数多をいじった時、夏目や堂安、阿部と飲んだ時くらいにしか出ないので貴重だ。そういう目で見ていると嫌になるので目線を下にした。
「それより本題に行かないと全然進んでませんよ。」
「厳しいな。西條は。」
「当たり前じゃないですか。なんのために此処に来たんですか。聞き込みって偽ってきているのに・・・。」
西條はどうも奥村の行動が読めないのか苦労しているらしい。テレビドラマでも変な刑事がいるが、筆頭なのかもしれない。事件を解決するために熱意が入るのだから西條もやむ負えないと思ってみるしかないのだ。戦えない舞台に乗っているのに武器も所持できない負け戦をするようなもの。




