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前略  作者: 実嵐
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気持ち

頭の中では好き勝手なことをつぶやいては消しているのかもしれない。俺は重むろに携帯を出した。かけた相手は出ないと思っている。無粋な音をかき鳴らしているのを聞いたところで全くだ。

「もしもし。」

「どうかしましたか?刹那様。」

「親父から連絡があってな、数多と一緒に行くのは改めて別の日でもいいんだが、下見という形で見に行こうと思ってな。明日、空いているか?」

戸惑いがちに言ってみると堂安はきっと大したことないと思っているのか、笑みを漏らしているのだろうから。

「構いませんよ。私だって此処まで休みが続くとは思っていなくて・・・。駒っていたところです。実家に戻って思惑を確認するためですね。」

堂安の抗う様子のなさは何時も見ても戸惑うものなのだ。俺が勝手に思込みを繰り返しているとも思えないのは事実なのだ。

「すまないな。堂安。」

「では、明日。」

あっさりした言葉の中に温かさを含んだ言葉が埋もれている。冷え切った言葉を聞きたくはないのだ。ビルの森を歩いたところで出口がない。迷宮入りをしているのかもしれない。うわべだけで語るのは政治家だ。近くのコンビニ行った。何時も行っているコンビニの雰囲気とは全く違う感じが漂っているのである。酒のコーナーに行って安い発泡酒や安いワインをまとめ買いをした。数多が飲むとか言ったことではない。ただ理由が欲しかっただけ。週刊誌の見出しを見ても興味をそそるものがないのだ。ゴシップしかないのだ。揚げ足取りをしているのかもしれない。それすら認めない政治家を見る度にみじめに思ってしまう。権力を持てたことによって図に乗っているだけで使える武器を抱えているわけでもない。もっている武器の豪華さを振り回しているだけで何も得ないのだ。あとは自分の都合の悪いことがあるとその武器で襲ってくるのだ。まるで獣のようだ。説明という行動を省いていけると思っている時点で、間違いを犯している。最後の行動をわかっているからこそ冷静さが感じられないのだ。早とちりでいいことなんてない。うわべの民主主義なんざ簡単なんだ。数に頼った愚か者だ。頭の中でろくではないことを考えているとアパートについた。空の色は漆黒へと導かれているようでもある。深い沼にはまって抜け出せないのだ。見た目には見えない底なしであろうか。リビングに入ってもその思考から逃れる方法を得ていなかった。ただ窓を見つめていると変わっていける気持ちになるというだけだ。


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