勃発
ノートに書いてあることを読んだため、読んだといっても1ページだが、気分を害してしまって寝るのに神経が張ってしまって寝られない。そのためリビングへと出た。リビングにはテレビを見ている緑谷がいた。
「なんだ、お前寝たんじゃなかったのか?」
「ちょっと、寝られなくてな。水でも飲んだら寝られるんじゃないかと思ってきただけさ。そういえば数多は?」
「さっき、自分の部屋に行ったよ。お前が先に寝たといったら寂しそうな顔して部屋に行ったけど。・・・お前たち本当に仲がいいんだな。昔、喧嘩もなかったじゃなかったか?」
コップに水道水を入れてダイニングテーブルに行きながら言った。
「喧嘩なんてほとんどなかったな。くだらない喧嘩というよりかは親父の意見とおふくろの意見の対立に巻き込まれることもほうが多かったから。御曹司だからって言われるだけで何にも得なかったよ。」
俺は少し酔い覚ましもかねて飲んだ。緑谷は耳は俺の話を聞きながら目はテレビを向いていた。そっちのほうが話しやすい話だってあふれている。
「まだくだらない喧嘩をしているほうがいいんだろうな。俺はそのくだらない喧嘩で兄貴と縁を切ったよ。兄貴はさ、問題児として有名だったのを親父たちが無視して傷害事件を起こしてその数年後には懲りずに殺人事件に加えてひったりもしているから親父たちも勘当して兄貴を放っているんだ。」
緑谷の兄貴は俺が小学生の時から聞いていた。一つ上なのだが、不登校になるのはまだいいにしろ、そこから悪い連中とつるむようになっていったのだ。俺にも話が届いていた理由は久世の小学校に行っていたことだ。頭はよかったということは認められたのだろう。緑谷はくだらない喧嘩といっているが、両親に暴力をふるっていることを注意すると切れたのだ。そこから発展して兄弟仲は悪くなり、兄貴は中学校を中退となった。それを止めようとしたのは両親らしいが、私立としてのメンツをつぶされるわけにいかないのは事実なのだ。退学というレッテルを貼られた後、悪い連中との仲は続いていて事件を繰り返してきた結果なのだ。
「それに比べれば俺の悩みは平和か?」
「問題によっては俺のを超えるんだもんな。平和だと一概には言えないよな。」
ため息をつくかのように彼は言った。背中には被害者との関係があるのだろう。警察になりたかったらしいのだが、兄貴の所為でなれないのだとわかってかなり落ち込んでいた。声を上げれば届くとは限らないのだと緑谷を見ていて思うのだ。緑谷の意思を継いだ奥村がいる。いまだに交流があるため、話は聞けるだろう。




