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ⅶ. アッサム・バーナーヴィロント





―カチャッ。カチャカチャ。



カチャカチャと音を楽しげに立てているそれはピカピカに光っている。




時おり照準を合わせて壁やら窓やらを覗かれてはまたガシャッと下ろされ部品を磨かれたりしていた。




それはライフルだった。



そのライフルはアッサムに丹念に磨かれ、とても十年以上経った代物とは思えないぐらいに窓明りをも返している。





「よし、この位で十分だろう。」





ガラッ



勢いよく開けた窓から見える太陽の陽に磨き上げたライフルをかざし自慢げにまた取り付けたスコープを覗いては外して楽しい独り言のようにつぶやいていた。



「おっと、革の手袋も持っていかないと。撃った時の火薬で手を火傷しないように。」




そんな心配事さえ今のアッサムはまるで歌にでもしてるように楽しんでいた。




ライフルが一丁。


革手袋が一双。


仕掛用の細いロープと太いロープが一本ずつ。


コンパスが一つ。


包帯に、消毒液に、それからライフルにかぶせる銃カバーも。




アッサムは納戸の中にしまって置いた猟の道具を次々と引っ張り出していた。



道具はかなり前にしまい込んだままだったので少し(ほこり)をかぶっていたものもあった。




「あった!これこれ。これがないと調子が出ないんだ。この帽子。」




上等な茶色の革でできていたその帽子はお気に入りの革の手袋と同じ仕様のものだった。


そしてそれはオオカミの毛を使って飾り付けられていていい男が被ればその魅力がさらに増すだろうというような格好良さだった。



アッサムもそれがよく似合っていた。




鏡の前で少し格好付けながら角度を変え、帽子を被っている姿を確認していた。




「まだ?猟師っぽいかな?衰えてしまっただろうか?いや、見てくれのことじゃなくって。猟の腕がってことさ。」




帽子のツバがキリッと前を向くとアッサムはよし、と定位置に収まった様子でパン、とひとつ手を打って区切りをつけた。





「大丈夫、大丈夫。ハクギンオオカミだよ。物は試しさ。いていないようなものだし。獲れなくてもがっかりすることもないよ、いやあ、でもハクギンオオカミかあ!ここいらに本当にいるのかなあ?銀色の毛並み、大きな耳の。普通のオオカミさえ最近は見られないというのに。」




いやあ、でも。と気持ちを切り替えアッサムは行こう、と前を向いてドアを開ける決心がついた。




その姿勢は目線に表にと出ていて、アッサムの目はしっかりとドアの方を向いていた。





「おっと、忘れてた、仕掛用のハムを持って行くんだったよ!本当は自分で食べようと思ってたけど…。」




冷蔵庫に入れてあった自分用のハムの塊をオオカミ用に変え麻袋のカバンに詰め、アッサムは勢いよく家を出て行った。












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