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帰宅後の日常

 入学式が終わると、今日はもう家に帰れるとの事だったので、さっさと帰った。


 家に帰るまでの間、部活動などについて考えていた。

 この学校は必ず部活動に所属しなければいけないルールがあるので、もちろん何かしらの部活に入るつもりだ。


 まず、運動部は声を出す事が基本中の基本だから、クールキャラでは不向きであろう。

 そうなると、文化部に固定される。


 まず、吹奏楽部。

 俺は楽器はベースしかできない。トランペットとかできないし、そもそも興味がない。


 次に、軽音楽部。

 さっきも言ったようにベースはできるが、バンドでクールキャラとして定着するのは難しそうなので無理。

 

 次に、美術部。

 俺は絵が下手だ。却下。


 2次元研究部。

 アニメもラノベも大好きだが、ただのオタクとしか思われなさそうだし、そもそも何を研究するのかわからん。

 知りたいことは、自分で調べれば全然問題ない。


 

 結局決まらないまま、家に着いてしまった。


 まぁ、まだ入部届提出期限まで1ヶ月くらいある。

 そんなに今すぐ決めるような物でも、時でもないので今日のところは保留にしておこう。


 ドアノブに手をかけると、微弱な静電気が流れた。


 静電気くらいでは痺れないので、お構いなしで扉を開けた。


 靴を脱ぎ、自室へと向かう。

 制服を脱ぎ、部屋着に着替えた。


 今から俺はフレンドとFPSゲームをする予定があるので、すでに繋いであるヘッドフォンを装着し、ゲーミングチェアに座った。


 デスクトップを開き、慣れた手付きでソフトを開く。


 画面には、NOW LOADINGと書かれている。


 それから2時間程熱中してプレイし、休憩をするためベットに寝転んだ。

 一度寝てしまうと中々起きないため、常に意識を保つようにしている。時計を見ると、夜の7時になろうとしていた。


 そろそろ飯だな…。


 上半身だけ体を起こし、軽く伸びと欠伸をした。

 ベットから降りてダイニングへと向かった。


 自室は2階でダイニングは1階にある。階段を降りて冷たい廊下を歩きダイニングへ着いた。


 そこには、エプロンを着た妹がいた。


 「あ、兄さんできたよー」


 テーブルに食器と夕食を並べながらそう言った。


 「ああ…」


 椅子に手をかけて手前に引き、座りながら返した。


 妹の名は果歩(かほ)。今年から中学二年生だ。

 家ではいつも大人しく、素直な性格をしているのだが、勉強も運動もこなせるので、俺はその完璧さに少し引いているところだ。

 この家に両親はおらず、妹と二人暮しをしている。

 両親はどちらも普通の会社員だったのだが、父は四年前、同じ市にある会社に勤務していた。その時、フランスへ海外出張の話が出たそうだ。

 父は、

 

 「フランスか〜…。やっぱパリだよね」


 と独り言をつぶやいたら、たまたまそれを聞いた社長が行ってみないか?とうるさく言ったそうだ。


 父はそれで強引に決められ、四年前フランスに行った。


 母は、五年前のある日、いつも通り夕食を食べていると、急に「英語をペラペラ話したい」と訳のわからない事を言い出し、アメリカに行った。


 父はまあしょうがないとして、母は自分勝手だと思う。


 父のときも、母のときも一緒に海外へ行こうと言われたのだが、俺は家から出たくなかったので、必死に断り今までできなかった家事を必死で練習した。

 母が行く前にテストをし、合格を貰った。勿論妹も。


 だから、今こうして二人だけでいれるのだ。


 

 今日の夕食はてりやきチキンとサラダと豚汁だ。


 俺はてりやきチキンをかじり米と一緒に食べていると、妹が

 

 「明日の朝ごはんはだし巻き卵が食べたいなー」


 と言ってきた。

 俺は朝が弱いので、朝食を作るという大事な目的が無いと寝坊してしまうのだ。

 自分だけならまだいいのだが、妹もいるとなると寝坊はできない。


 「わかった。他にあるか?」


 ご飯を食べるスピードは緩めずそう聞いた。


 「うーん…。野菜炒めも食べたい!」


 「あいよ」


 野菜炒めは俺の得意な料理だ。炒めるのは誰でもできるのだが、俺の塩加減は自分でもびっくりするくらい絶妙だ。


 全ての食器が空になり、妹と二人で片付けをし今日は早めに寝ることにした。


 明日から本格的に高校生活が始まる。俺がクールキャラとしてデビューするため失敗はできない。

 つまり、とても大事な時期なのである。


 明日からの行動や仕草などを更に細かく考えながら、風呂に入ることにした。


 部屋から着換えを手に持ち、階段を降りて1階の脱衣所へ向かう。

 思考を巡らせ、よく確認せず脱衣所の扉を開けてしまった。


 この家は常に脱衣所の電気はつけておくので何ら不自然に感じなかったというのも理由の1つである。



 「あっ―――」


 扉を開けると、中に女の子がいた。

 目を軽く擦り、誰かを確認すると俺の妹だった。


 「こっ!この………」


 咄嗟に体を拭いていたタオルで大事な所を隠した妹は、恥ずかしさのあまりか、顔を真っ赤にしてぷるぷると震えていた。


 「ごっ…!す、すいません!」


 俺は自分の着替えを床に置いて、最終奥義”土下座”を誠心誠意の謝罪と共にした。


 「出て行けぇー!!!!」


 「すまん!」


 俺は扉を思いっきり閉めて、廊下を駆け巡り、リビングのソファーへとダイブした。


 クールキャラになる以上、このようなミスはあってはならない。ちゃんと冷静にしていれば、防げたかもしれないのに。


 それにしてもいい教訓になった。覗いた相手が妹で良かったとつくづく思った。

 明日は部活動紹介など面倒くさい行事だらけだが、クールキャラとして感情を表情に出さないよう努めるまでだ。

 

 


 

 

 色々な事情が重なり、更新が遅れてしまいました。ホントにすみません。

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