勘違いについて説明しよう(回想
それは中学の頃―――。
朝いつも通り遅刻ギリギリで学校に着き、急いで教科書類を引き出しに入れて、いつも通りに朝の会をしていた。
「今日は君達にアンケートを書いてもらいますー。――じゃ、用紙配るぞー。」
そう担任が言い、一番前の席に用紙を配っていく。
入学してまだ1月も経っていないため、学校側も生徒達の事をまだよく把握しきれていないのかもしれない。
俺の席は廊下側から二列目の一番後ろだ。少し眠くてウトウトしていた。
「白鷹!起きろ。 ったく朝っぱらから面倒くさいなアンケートなんて…」
俺の前の席にいる男、金山が用紙を渡しながら言った。
「あぁ…悪い」
俺は静かなキャラになりたい。常に隅っこでクラスの成り行きを観察していたかった。
アンケートには生徒会に入りたいか、応援団に入りたいかなどの、主に意欲的な事が問われた。
勿論俺はそんな事したいとは思わなかったので、どれも当てはまらないにしたかった。
いちいち質問を読むのも面倒くさかったので全部1につけた。通知表でも1が一番ダメだったからきっとそうだと思った。
あと眠かったし、早めに終わして少し目を瞑りたかったというのもある。
それから数日後、担任教師に呼ばれた。
「前のアンケートで全部1だったのはお前だけだ…」
その時何となく察した。全部やりたくないと言っているようなもんだから少し怒られるのだと…。
「凄いじゃないか!これからは期待しているからな!頑張れよ!」
「えっ…?」
まだよく理解できていないが、これだけはわかった。
察した事と真逆な事態になってしまったこと。
「いや〜、開校当時からこのアンケートやってて、1って記入するやつはそれなりにいたのよ。でも皆片寄っててな〜。応援団やりたいけど生徒会は勘弁してくれとかそういう生徒ばっかりでな。」
ようやく理解した。1は興味ないとかそういうのじゃなくて、
とてもやってみたいとかそういうめちゃくちゃ意欲的な意味だったらしい。
開校といってもこの学校まだ創立10年くらいだ。たいした歴史でも無いだろとツッコミたくなった。
その時の俺はまだ断われるだろうと思っていた。
だが、そんな思いを壊してしまう事が起きた。
担任に褒められた日から1週間も経たずに、その話は広まった。理由はおそらくだが、教師達がその話をしているのを他の生徒が聞いてしまったんだろう…。
そしてそういう奴がいるんだーって話が全校生徒に広がった。
大した話でもないのにって思うだろ?
でもここの学校じゃあ、結構大事な話なんだよ。
勘弁してくれ…。
クラス内でもその話で持ち切りで、クラス内外の奴らから「本当なの?」と聞かれた。
鬱陶しいからやめろ…。
ここでもし俺が何もやりたくない、やらないとか言ったらどうなるだろう。きっと
「あいつアンケであれだけ調子こいて何もしなかったんだってー。ダッサー」
とか言われて、変な目で見られるに違いない。
こうなったらやるしかない。自分で犯した過ちだ。ここで断って陰口叩かれるぐらいなら、やってやった方がまだマシだ。
そう決意してから一年半、俺達の学年が生徒会の中心になる時代が来た。
俺は生徒会長だけでなく、応援団長、事務局長、部活動代表など普通1人でやるもんじゃないものを全て任された。
本当にどうなんだこれ?
どっかの国の独裁者並に長がつくものやってんなって思った。
そんなこんなで色々な仕事をやっていたら何ということでしょう…。
下駄箱にラブレターがたくさん、バレンタインチョコもたくさん貰ってしまった。放課後もたくさん告られたが、盛大に振った。いちいち女の顔など覚えていないし、自分が何て言ったかも知らん。
でも思いっ切り、もう寄り付かなくなるほどディスったりした。
すると校内で、女嫌いの生徒会長なんて2つ名がつけられたりもした。
訂正しろ、人嫌いの生徒会長にな!
そんなこんなで学校の人気者になってしまった…。
何故か振った女もまだキャーキャーうるさかった。
俺は人とあまり話すのが苦手、ではなく嫌いなので教室などではあまり喋らなかった。
応援団の時は半分ヤケクソだったが…。
こんな事をしたかったのではない。でも自分のミス故に誰も責める事もできない。
高校では、クールキャラになる…!
そう思いながら仕事をし、卒業を迎えた。
これが俺、白鷹光輝の中学校のお話だ。
今回初めて学園物を書きます。バトル物ばかりだったので、学園物も挑戦してみました。前々から思い付いていたネタだったのでポンポンと書けました。
感想など思ったことどんどん教えてください。下手くそな文が少しでもマシになるよう努力していきます。
他の作品の執筆のため更新が遅くなることもあるのでその時は申し訳ございません。