薔薇
永遠だなんて馬鹿らしい。
「うん、そう言うと思った」
いつも行く場所よりも、少し高そうなカフェ。
目の前に座る君は、赤い花束を手に得意気に笑う。
「でもほら君、目に見えるものしか信じないって言うから」
受け取って、ね? そう言われ半ば強引に押し付けられ、受け取ると彼は嬉しそうににこにこしていた。
それにしても何本あるのだろう。
なかの一本だけに小さなリボンが付いている。どうやら特殊加工されているようで、普通の花よりもずっと長く、それこそ半永久的に咲き続けるらしい。
この一本だけは最後まで握っていようと思う。
たくさんのものをくれたのに、結局私は何も返すことができなかった。
知らなければよかったのに。
彼のいない世界で、私はもう、一人で生きていくことができなくなってしまった。
飛ぶ、と言えば聞こえはいいが、これはたぶん、堕ちるというのが正しい。
君のところへ行けるだろうか。私の声は、君に届くだろうか。
用意した花達が各々に舞って、空に赤い染みを作っている。
あの時彼が言った言葉を、私が今もなお、呪いのように縛られてやまない言葉を、
私は―――――、
どうか、届け。
『僕は君に、永遠の愛を贈ろう』