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CLOSELINE  作者: 冰通
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異国の地へ

ある日、ある途上国でこれまでの産業を覆す新しい技術が開発された。

魔法に頼らずとも速く走れる乗り物や遠く離れた家族と話せる機械、今まで魔法を使えなかった人々に希望の光が差した。

それによりその国は他の国と肩を並べるようになり激しい経済闘争の波に混ざることになった。


ある軍事国家ではより殺傷性のある兵器を製造し、配備したことで国外に緊張を高めさせた。

後に戦略魔法と呼ばれた魔法は禁忌扱いとされた。

これにより各国でもその軍事国家に負けないような兵器の開発を開始した。


ある国では魔法具の生産が安易になり一般市民にも安価で購入できるようになり、市民の生活水準は飛躍的に向上した。

しかし、貧しい人々はその魔法具を手に入れるために激しい競争を始めた。

急激な需要の増加に供給が追い付かなくなり店頭には品切の文字が次第に増えていった。

いつしかそれは富裕層にも伝播し、需要は国全体へと広がっていった。


ある国では、教育を一定水準までは義務とした。

皆等しく教育を与えられて卒業をして社会へ飛び出した。

しかし教育を受けた人々をすべて雇えるような社会システムになっておらず、教育を受けたのに関わらず働けないという事態に陥ってしまった。

あくまでその教育は最低水準であり結果的には今までと何ら変わりようがなかった。

すると人々はより学ぶようになった。

将来働くために、両親を養うために、自身の目的の為にと。

今や学力世界一とも言われるその国は未だに他人より自分の学力が勝るように競いあっている。

現在はかなり雇用状況は改善されているが国内では苛烈な勉強戦争が行われている。

魔法科学を学ぶ最高峰の学園も同時に設立された。


ある自然豊かな国では、武術を取り入れ生活の糧へとすることを決めた。

それからというもの魔物を狩る際の死亡率がぐんと減り、人々は豊かになった。

しかし、魔物が減ったことで飢える人々が出現し、自分が狩っていた魔物を知らない誰かに横取りされる事件が多発した。

誰かに横取りされるよりも速く狩れるように競い始めた。


ある皇国では国教としている宗教への信仰が過熱し、より信仰をするようになった人が良いという噂が広まった。

人々は街角で教典を諳じるようになり盲目的であった。

街の至るところから神を敬う声が聞こえ、より信仰をすれば徳が高くなるという噂が広まった。


ある国はかつて内紛やクーデターなどで争いが絶えず

軍伐が我が物顔で街を練り歩き、一般市民は今日を生き抜くのに必死であった。農地は荒れ、痩せた子供から飢えで死に行き、悲しみが絶えなかった。

末期の頃は世界一死に近い国と言われていた。

ある年の秋の頃、ある人物の話がが市民の間で沸き立った。

その人物は数ヵ月後、軍伐を退けるためにクーデターを起こし、見事奪還した。

数年後、さまざまな改革をしたその国は他国から復興援助をうけつつ発展していった。

雇用が生まれ人々は今日の飢えを心配することしなくて済むようになった。炊き出しも至るところで行われ、笑顔が人々の顔に戻った。


ある小国は自国に資源があまりなく、外国との貿易で経済が成り立っていた。資源を輸入して製品を輸出する、そうやって経済を回していた。

ある日、ある錬金術師が画期的な触媒の開発に成功した。わずかなエネルギーで莫大な仕事を得られる正に夢のような触媒を開発し、さらにその錬金術師は触媒を格安で企業に売り渡した。

それにより国内の企業、とりわけ工業企業はこの触媒を取り入れ生産力が著しく向上した。

だが、その触媒を開発した錬金術師は結局、特定できなかった。


ある民主主義国家では何年に一度かの選挙が行われた。

国政へ携わる機会ということで国民のほとんどは選挙に参加している。

今回の選挙ではある新人立候補者がその熱心な演説で他の立候補者達を引き離した。

彼の演説は不思議と惹き込まれ、演説が始まれば彼の周りに人々が集まっていた。

当初、当選するだろうと思われた有名な議員は軒並み落選し、新人立候補者の彼や彼と賛同した立候補者が軒並み当選した。しかしそのことを不審に思う人はいなかった。

傾きかけた国家経済はV字回復し、国内はたちまち活気をとりもどした。



ある国に世界最強と称される剣士がいた。

彼は自身を鍛えに鍛え自分より強い者と戦うことが望みであった。数々の武術大会に出ては勝ち抜いてきた彼はあてのない旅に出た。

旅の途中は魔物を狩って生活費を稼ぎ、自分より強い相手を探しに旅をしている。

彼に関する逸話は数多ある。

曰く、暴虐の限りを尽くす竜を倒し、下僕にした。

曰く、当時最難関のダンジョンを最短時間で踏破した。

曰く、彼が行く先では魔物や魔獣の被害が減った。

など真実かどうか疑うようなものがたくさんあった。



....他にもさまざまな事がありましたがとりわけ有名なのはこれくらいです。

...これは、およそ80年前に起きた‥革命の年に起きたことの一部です。これが起きたからこそ今の私たちがこうして快適に暮らせていられるのです。

革命の年後数年後は確かに国家間で価値観の違いなどで多少のいざこざは起きましたが今はほぼそういうわだかまりはないですね。今は企業連合を組織していますからこれからも私たちの生活は変わり続けるんでしょうね。」


ある国の学校で眼鏡をかけた長身痩せ型の男の人が教壇に立ち、授業をしていた。


カーン コーン カーン コーン


授業の終わりの鐘が鳴りぞろぞろと生徒が講堂から出ていく。

授業で使用した資料を軽く整理して自分も講堂を出たとき。


―アルベーグ先生。


自身を呼び止める声を聞き、その方向を向くと自分と同じように違う講堂から出てきた同僚の女性教師だった。


―おや、リキュリス先生どうかしましたか?


アルベーグは彼女に向き直った。


―ええと、その、今夜時間が空いてれば一緒に飲みに行きません?


片手をお猪口を持つ形にして聞いてきた。

今日は仕事が終わった後は何もなかったよな、と沈思し、


―ええ、良いですよ。今日もいつもの店ですか?


―そう、パーッと飲みましょう!! 


アルベーグは明日が休日だったことに感謝した。

彼女の飲みっぷりは酒豪も真っ青なくらいに飲むのだ。


―それじゃ、またあとでね。


手をヒラヒラと振って彼女は歩き去った。



━━━━

アルベーグはサイ国、いや知の国の国立総合魔術学校の歴史学、古魔法学の教授を勤めている29歳の人間である。


―ええと、今度はアロ国に調査に行くからこれと、これと、あれと........


今は、自身の研究棟で古代遺跡の調査へ行くための準備をしていた。


コンコン


―はい


―すいませんアルベーグ先生。学園長が先生を呼んでます。


―ん、どなたですか?それと学園長が?ですか?


―学園長の秘書を務めているシャルルと申します。初めまして。

 それで、なんでも今度の調査のことについて話がしたいとのことです。


―わかりました。ありがとうございます。シャルルさん。


―いえ、お構いなく。





ほんの20分まえのことをアルベーグは頭の中で思い出していた。

(調査旅行に行くための準備をしていたら突然部屋に吸血鬼族の女性が来て、その方が学園長の秘書だったとはね。初めて会ったなぁ。)

彼の研究棟から学園長のいる中央校舎まではおよその直線距離で4㎞ありとても不便のように思えるが実は専用の自動化された鉄道網が学園の敷地に張り巡らされている。

これも革命の年の後に開発された技術を用いているためになかなか便利なのだ。



~まもなく中央校舎につきます。・・・方面は乗り換えです~



―――――


―はぁ、着いた・・。


建物内に入り16階を目指す。

着いたら衛士に要件を伝えて職員カードを見せて中に入ると格調高いフロアの光景が広がっていた。


学園長のいる部屋の前に立ち、一度深呼吸。


コンコン


―どうぞ、お入りください。


ドア越しに声が聞こえた。


―失礼します。


―アルベーグ君、久しぶりだね。今年の春の歓迎会以来かな?ま、とりあえずこちらへお座りになってください。


深みのある声でアルベーグを歓迎するのは尖った耳が特徴のエルフの男性だった。

見た目は20代後半くらいでアルベーグとほとんど身長が変わらない。

また、革命の年の当事者の一人でもある。

なぜか私に親しくしてもらっている方。


―その、お話とはなんでしょうか?学園長。


―つれないねぇ。せっかく二人っきりなのだからもう少し砕けて話しましょうよ。


―はぁ。○○さん。話とは?


―うん。まぁ。いいかな。それで話というのは



  リキュリス先生も一緒に連れて行ってもいいかい?



・・・え?




―ど、どういうことですか?彼女を調査に連れて行くって、えぇ!?


―うん、彼女が付いていきたいと行きたい、と。何かお手伝いしたいとね。どうだい?助手として連れて行ってもらえないかい?


―うーん 今回はそこまで危険じゃないですしいいですよ。というかもう彼女は準備しているんでしょうね。というかあなたが唆したんじゃないですか。


―分かってるねえ。それじゃ お願いしますね。






それが4日前の出来事であった。


彼は今、現地に向かう車の中で起きた。



―夢、か。





性懲りもなくまた書きました。

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