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さあ美味しいモノを食べようか  作者: 青ぶどう
56/91

55.ついに麺ゲット!  【生クリーム入りプレーンオムレツ】

とうとう麺ダンジョンです。


モンスターが虫系なので、虫が苦手な方、お食事中の方はご注意ください!




 粉ダンジョンに大満足した私は、ボス部屋に祭壇を作ってすぐに次のダンジョンを目指した。

 異空間部屋の扉を出して、バタン。とことこ。バタン。北のダンジョンに到着だ。

 南から始めて、西、北と来ている。さてここは何ダンジョンだろうか。


 探索をかけて入ると、人が居た。上層の中ほどに4人だ。

 モンスターは牛だった。湧きが5匹。

 どうやら湧きタイプはバルファンの食材ダンジョンと同じようだ。(ダンジョン総人数で増える)

 仕留めてみると、「バシャ!」と「ドサ!」…うん、牛肉だ。

 次の部屋には6本脚の豚がいた。やはりおなじみの音と共に豚肉がドロップした。


 天井走りで通過中、5層目と6層目の間の通路で脇道を発見。本能と予感に引き寄せられて覗くと、やはり野菜部屋があった。

 範囲鑑定をすると、ピーマン、いんげん、ナス、アスパラガスがあった。


「いんげんだけ採ってくか」


 バルファンにはいんげんが無い→私はいんげんが大好き→採って行かないわけがない。

 以上の理由で私は剣をハサミに変えて高速で収穫をした。いんげんゲット~~~~!!

 うむ。来て良かった。


 バルファンと同じ失態は繰り返さない。時間が無いのだ。

 ささっとある程度採ったら、すぐに中層へダッシュだ。

 探索に反応があった4人は7層に居た。天井を走りながら見た感じ、どうやら冒険者のようだった。

 そもそも夜中に潜る人の方が珍しいのか、ここも人気が無いだけなのか判断が付かない。これは王都や西のも見てみなければ。


 上層から中層へ降りる通路を行きながら気付いた。「あれ? そういえば上層に鳥が居なかったな」と。やはりダンジョンごとに湧きは異なるようだ。




 中層の1部屋目には鳥がいた。バルファンにいたのと同じのだ。

 ただし、上層と中層にいた鳥が、ここではこの部屋に一緒にいる。

 湧きは10匹。大型と中型が5匹ずつ。とりあえず何を落とすか…。


 結果は鳥モモ肉と鳥ムネ肉と卵が3か所ずつに落ちていて、1か所だけ手羽先だった。

 一抱えほどある大きさは全部バルファンと同じだ。ただ、卵のサイズが違った。


 ここの卵は、なんと元の世界と同じサイズだったのだ!

 肉はまた「バシャ!」だったが、卵は音がしなかった。その謎はこれを見れば解ける。

 ほら、砂の中のそこ此処ここに1個ずつがバラけて埋もれているのだ。

 砂をクッションにして落ちるから音がしないのか、砂になる時に一緒に卵も出現するのかまでは判らないが、音がしないのには納得した。


 卵が割れては困るので、上の部分の砂だけをどかして拾った。

 卵を丁寧に袋にしまう。1か所に10個ずつ。計30個だ。…こ、これで茹で卵が出来る!!

 そう、3倍も大きければそれが出来ないのだ。できるだろうが、上手く出来る気がしない。

 白身が硬くなりすぎて、黄身が固まってないとかありえそうで。


 この世界の卵はあのサイズだと思い込んでいたから、とても嬉しいですニルヴァス様!


 茹で卵を是非ともニルヴァス様に召しあがっていただきたいが、私はロジ少年のあの陶酔した顔も見たい。という事は、村の皆の分も必要だ。

 またすぐに来ようと心に決めて中層の野菜部屋に向かった。




 中層の野菜部屋は、なかなかに素敵であった。

 思い出してにんまりしながら、私は今下層に向かっていた。


 ほうれん草はバルファンにもあったが、ここにはバジルとかぼちゃと冬瓜があったのである。

 バジルはピザに使いたいし、パスタにも入れたい。


 かぼちゃは、煮物はもちろん、素揚げしてそぼろ餡かけが大好きだし、グラッセも好きだし、ホワイトソースにかぼちゃを入れて、パンプキンスープも作りたい。生クリームを入れると、また味わいがね…。


 冬瓜は腸詰やベーコンと一緒に、鰹〇り出しでスープにすると本当にさいっこーーなのだ! こっちもそぼろ餡かけにしても美味しいし!

 実家ではスライスして茹でて、酢の物になってよく出てきていたが、あれも美味しかったな。

 後、麻婆味にしても美味しい。辛いのと挽肉との相性が抜群だと思うのだ。

 ああ、夢がふくらむ、涎出る~~~。


 中層を通り過ぎながら見たが、ここの中層には牛が居なかった。じゃあ腸はここでは落ちないのだろうか。

 そう考えながら下層に着いて中を覗く。はい牛発見。

 胸があって腕が4本のと、小柄で胸が無くて棍棒を持っているのが半分ずつだ。えーと、たぶんバルファンに居るのと同じなんだろうけど、牛の種類がもう覚えられなくなっている。どこに居た牛なのかもごちゃ混ぜで不明だ。


 まあドロップ品だけに用があるのであって、モンスターが何であるかなど、どうでもよろしい。

 さっくりと20匹を片付けてドロップ品に注目だ。

 はい、ここで腸が来た。そしてもう1種は…いや2種だな。大きい透明瓶がいくつかと麻っぽい大袋のが1つだ。

 という事はレアがあの大袋だな。


 鑑定すると「にんにく」だった。おやあっちではボスが落としたのに、こっちでは下層レアか。

 あっちのボス部屋での人数分のドロップよりも、こっちでパーティーを組んで狩りした方が量は多く獲れそうだ。


 そして瓶。口が幅広でコルクっぽい物でフタがされている。中身は白っぽいような黄色っぽいような。そして液体では無さそうだ。

 鑑定したら「ピザチーズ」と出た。急いで一番近くの瓶を持ち上げてじっと見る。

 確かに細長い3センチくらいのがたくさん見える。


「っよっしゃ~~~!!」


 これでピザがもっと美味しくなる。今までは普通のチーズで全部やっていたのだ。焼けばとろけるし確かに美味しいのだが、でもやっぱりピザにはピザチーズだし、ドリアだってグラタンだって、チーズ焼きパンだってピザチーズの方が美味しいのだ!!

 あの表面の焦げを、私は愛しているのである! よし言い切った私。


 さてと。全部拾ったら、もちろん下層の野菜部屋…よりも先にボス部屋だ!

 ほらまだ湧きが5人分だったからね。数が変わらない野菜よりも、ボスを優先するのだよ。


 走って走って、着いたよボス部屋に。

 さてここのボスは…。


「うえ」


 ドロップ品は確定した。油だ。何の油かは判らんが、とにかく油に違いない。


「凍結」そして魔法で氷の杭を打ち込む。


 これで判っていただけただろうか。そう、ボスはアレだった。

 直視したくは無かったが、魔法を打つにおいて狙いは大事だ。ちゃんと見たのである。

 バルファンのアレは黒かったが、ここのは茶色っぽかった。種類が違うのだろう…凝らんでいいのに。


 アレなモンスターにだいぶ慣れてきた私は、さっさと砂をどかして、ドロップ品を回収する。

 そしてメインイベント。でっかい壺の鑑定だ。

 牛乳を越える大壺が5つある。大きさはバルファンの油と同じくらいか。ってことはやっぱ油か。

 鑑定すると「オリーブオイル」と出た。


「やっぱ油か」


 え? オリーブオイルは嬉しいよ? にんにくとの相性抜群だもん。

 でもさ。アレの後だからさ。

 もちろんこれを店頭で見つけるとか、ニルヴァス様に渡されでもしたら叫んでたと思うのだがね。

 これ落としたのがアレだから。アレだからね?


 そんなわけで、ボス部屋にある野菜部屋を覗いてキノコ部屋である事を喜び、松茸が無い事にガックリした後祭壇を建てて、さて次のダンジョンへと行こうとした所で思い出した。


「あ、野菜部屋行ってない」


 すぐに下層の野菜部屋へ突入だ。

 部屋に入ると、一面赤くて丸い実に囲まれた。いや、所々黄色や緑のもある。

 範囲鑑定すると、すべてがトマトだった。「トマトゲット!」バンザイだ。

 オリーブオイルに、にんにくに、キノコにトマト。そうそうバジルもあった。これはもう麺ダンジョンを意識しまくりの品ぞろえだ。

 とりあえず、ぺぺっとトマトを収穫した。

 もちろん収穫しながら、ポポイと自分の口へ入れるのは忘れなかったとも! モグモグうまっ!!


 さてさて、残るダンジョンは後1つ。

 もう麺しか残っていない。残り時間は後10分ちょい。さあ特攻だ!




 麺ダンジョンは薄暗かった。そういえば今までのダンジョンは特に暗いと感じなかった。どういう仕組みなんだろうか。まあ神様の仕組みだよね。愚問であった。


 その薄暗い中を、カサコソ、ガサゴソと何かが動き回っている音がする。…うわコレ絶対に足が多い系だ。

 部屋を覗くと、長い影が動いているのが見えた。それが何かまでは判らない。


 うん。キモイ。「ライト!」光魔法で部屋を明るくする。「ライト」と言ったのは、ほらイメージだから。


 薄暗いから余計にキモイのだ。見えればキモさが半減するに違いない。…そう考えた私は天才だったと思う。

 ガサゴソいっていたのはでかいムカデだったし、カサコソいっていたのはでかいダンゴムシだったからである。

 見えればなんて事はない。普通のでかいムシだ。見た目も凶暴さが無いので、本当にキモイ所などない。…あの足がキモイと言われればそれまでだが。


 湧きはたったの2匹だった。ムカデとダンゴムシが1匹ずつ。

 これであの不気味さならば、数が増えたら大変な事だろう。…このダンジョン、人来てるのかな。

 範囲探索には誰も居ない。…まあいいか。


 2匹が離れ過ぎていたので一振りではなく二振りで終わらせる。

 ドロップしたのは木箱が2つ。…木箱?

 鑑定すると「うどん」と「蕎麦」だった。

 中を見ると、粉がまぶされた麺が丸めて並べてある。これはお店とかテレビで見た事がある、茹でる前の麺ではないか?!

 てっきり乾麺でくると思っていた私は、大喜びだ。だって生麺だよ! 早く食べたいーー!!

 私の頭の中では、うどんと蕎麦が薬味とタレと共にすでにスタンバイ済みだ。



 麺が崩れそうなので、ローブで収納して中層へ向かう。

 中層は何がドロップするのかな。ワクワク。


 薄暗い部屋を明るくして、4匹いたモンスターを即滅する。

 モンスターは這う奴だった。足が無くて這う。丸いのが付いてるのと、いないのだ。

 うん、カタツムリとナメクジだった。あの殻なら、私でも入れてしまいそうだったな。

 まあいい、済んだ事だ。私はドロップ品に近付く。

 木箱が4つだ。


 乾物ダンジョンもだけど、ここも木箱率が高いな。積み上げたら、絶対どれがどれだか判らないと思う。

 そう思いながら鑑定する。


「きしめんだ!! ひゃっほう~~~!!」


 私はうどんの中でもきしめんが一番好きなのだ。しかも生麺! うどん屋さんのきしめんが食べれるということだ。しかも好きなだけ!! やったー! やったーー!! やったーーーーー!!!

 2箱あるんだよ? めっちゃ食べ放題だ~~~!!


 バンザイしてさらに飛び跳ねて喜んだ私は、忘れ去られて寂しそうな焼きそばの木箱に弁解する。


「えっと、焼きそばも嬉しいから! 大丈夫、塩コショウで美味しくなろう!」


 そう、焼きそばソースの作り方を知らないから(おた〇くソース?)私では塩焼きそばしか作れないが、それだって美味しいと思うのである。

 大丈夫だ。君も美味しく食べてあげるから。…でも私がやると、なぜか麺がプリプリにならないんだよね。作り方通りに作ってるはずなのに。う~ん。


 焼きそばを食べるのは大好きなのに、自分では上手く作れないこの辛さ。解ってくれるだろうか。

 だがこの木箱に入っている麺ならば上手くいくかもしれない。作るまでは諦めないでいよう。


 志を高く? 持ったところで下層に向かった。

 今の場所で喜び過ぎて、少し時間を食ってしまった。急げ急げ。




 下層の湧きは6匹だった。ここも薄暗いのでもちろん明るくしたのだ。

 モンスターは…巨大ミミズと、巨大アリだった。

 アリはともかく、ミミズは視覚に訴えてくるモノがあるね。うん、キモイ。


 ミミズが本当はとってもお役立ちな事は知っている。道路を歩いているのを見つけたら、「早く渡っちゃいな」と応援するくらいにはミミズを尊敬もしているのだが、昔触った感触を思い出すとどうもね…。

 ここのは魔力の塊だ。心置きなく魔力の斬撃をぶっ放した。


 ドロップしたのは透明瓶だった。半数が縦長で、もう半数がわりとずんぐりした形の瓶。どちらもコルクのような物でフタがされている。

 どう見ても縦長のは乾麺のスパゲッティで、ずんぐりしている方がマカロニだ。「よっしゃあ!」

 小さくガッツポーズを決めて瓶を回収していくと、1つだけ違うのがあった。砂から引っこ抜く時に初めて気付いたのだが、この瓶だけ四角い。口は丸いのに、本体が四角なのだ。そして少し大きい気が。

 覗き込んだ私は、思わずその瓶を抱きしめて呼びかけていた。


「ペンネじゃないかっ!」


 下層のレアはペンネだったのだ!

 スパゲッティの代わりにクリームソースに絡めたり。カルボナーラにしたり。グラタンにしたり。

 ああ、美味しいんだよペンネは!


 これでこのダンジョンに来た目的は、もう達成できたような気がする。

 うどん、蕎麦、焼きそば、きしめん、マカロニ、スパゲッティ、ペンネ! あとは…あっ素麺! 素麺も食べたいのだ!


 後はボス部屋のみだから、そこで出なければ上層か中層のレアドロップだ。レアドロップを待つ時間は無いからまずはボス部屋に行く。素麺がボスじゃなければ、上層と中層に絞れるしね。



 ボス部屋に入った私は、巨大な蛇とご対面した。茶色い蛇だ。

 目が合ったが別に襲ってきそうな気配を感じない。

 …麺ダンジョンのモンスターは、攻撃性が無いのだろうか。上層からここまで、見た目がでかいだけで恐ろしい顔はしていなかったし、のんびりしてる感じを受けた。この蛇だって目が合っても舌くらいしかチロチロ動かしてないし。


 いや、攻撃範囲に入れば違うのかもしれない。でも今は時間が無いから、また今度でいいや。…うん訂正、いつかでいいや。

 今はドロップ品の確認が優先なのである。


 久しぶりに風魔法で鎌鼬かまいたちを作り、放つ。蛇はどこが急所か判らないし、身体が長いから細切こまぎれにしておけばいいだろうという安易な考えだ。

 鱗が間違いなく切断できればいいと思ってしっかりめに作った鎌鼬は、無事に蛇を砂に変えてくれた。よしよし。


 さてドロップ品は……あれ? また木箱だ。

 ってことは生麺?


 鑑定する。「フィットチーネ」

 フィットチーネの生麺か?!


 当然覗く。

 木箱にはうどんたちのように丸めてある、きしめんのようなパスタがあった。


「やったあ!!」


 フィットチーネはあまり自分では料理しないが、お店で食べるのは大好きだ。美味しいのである、あの喉越し最高だよね?! え? よく噛め?

 自分で料理しない理由は、乾麺より生麺の方が好きだから。それだけだ。つまり生フィットチーネ様が手に入った今、カルボナーラもクリームパスタも食べ放題だと言うことだ。


 ニルヴァス様が食べる分も考えたら、これ半分は無くなってしまうかも……。

 太らないと知った私はまったく自重する気は無い。

 食べたいモノを好きなだけ食べる! 夢が叶ったのだから自重するわけが無いのだよ。ふはは!


 ふう、またも興奮してしまったな。

 これで一応ミゾノのダンジョンは一回り完了だ。

 レアが何か分からないのは人数か時間が必要だから、そのうちでいいだろう。

 非常に充実した朝であった。うん、気持ちが晴れやかだ。


 伸びをしながら扉を出して入る。そして数歩先にまたドアを出し。

 開ける前に探索をかけて無人を確認して出る。とそこは村の小屋と小屋の間の細い道だ。小道だね。

 いきなり扉が現れると驚くだろうから、こっそりと小道に祭壇を設置したのだ。何か所もあるから、探索で人が居れば他の小道から出る事ができるのである。小道さいこーだね!









 さあ朝ごはん~~~。

 調理小屋に行くと、ホスさんたち料理番の人たちが集まり始めたところだった。

「始めようか」と言わなくても、前日に決めてある作業をさっさと始めてくれるのだ。

 いつの間にか朝の仕度にもガザ(肉屋のイケメンだ)が、この2~3日でダンジョン組の5人が参加するようになっていた。その中にはソルたちの班のシガも入っている。


 シガは私が「やれば」と声をかけた時に悩んでいる様子を見せていた、長身で切れ長の目の男だ。

 彼はあまりしゃべるタイプでは無いらしく、言葉少なく答えたり訊いたりする。そして表情筋が私より動かない。

 彼のおかげで私の表情筋の貧しさが気にされてないのだろうと推測できるくらいだ。つまり恩人。


 恩人の彼は、どうやら甘いモノが好きなようだ。

 シナモンシュガーのパンを作る時(シナモンシュガーは受け入れられた)彼はとても輝いているように見える。

 今朝のメニューがまさにソレ。昨夜作った時、彼はとても楽しそうであった。うん、輝いていたね。


 後のメニューはコンソメスープとオムレツだ。

 甘いモノには塩味のモノを付けたいのである。

 コンソメスープは昨夜のうちに作っておいたので温めるだけ。具はサイコロに切った人参、玉ねぎ、セロリ、そして小さく切ったキノコ類だ。野菜もしっかり摂りたい。



 皿を出し鍋に火を入れた皆は、卵をボウルに割り始めた。

 今日はプレーンオムレツにした。味付けは塩コショウだ。シナモンシュガーパンが甘いから、コショウは粉ではなく粗びきにする。

 そして今回作るオムレツには生クリームを入れて作る。溶いた卵液に少し生クリームを入れるのだ。


 250人と肉屋分だから、とてもフライパンで作っている余裕は無い。石板コンロを2つとも強火で加熱して油を敷く。

 加熱の時は「不着」を付与するのが当然の流れになっていた。ここに居る全員が付与を使えるようになっているという…。

 まあ誰だってくっ付いたのを剥がすのが面倒だよってことなんだろう。

 おかげで作業が速い速い。


 今ではこの村で「付与を覚えるなら調理小屋に行け」と言われてるほど発現率が高いのだそうな。

 まあ付与は生活に1番密着してるだろうし、結果を見ればこの通りだ。

 シガ以外の4人はどうやら付与を覚えたくて来たらしく、「昼からは別の奴らが来るから頼むな」と真面目に頼んで作業に戻って行った。



 ほい卵を焼きますよ。

 2~3日前から来ている5人以外は、全員がオムレツを作れるようになっていた。卵を割って調味するのを作れない5人に任せ、私を含めた12人が石板コンロでどんどんオムレツを焼いていく。


 フライパンでは無いので寄せて返してひっくり返す事は出来ないが、両手にフライ返しを持って、ささっと卵をまとめて半分に折って数秒、皿に載せていく。

 それを1人20個少し焼けば終わりだ。

 皿に載せた後も予熱で卵に火が通るように、ここでは時間停止をしない。火が通って丁度良くなるように、あえて卵の中はタプタプめにする。と言ってもジャバジャバでは生臭い。生過ぎると思えばフタをして蒸らすのである。フタが無いから「保温」だけどもね。


 全部焼き終わって配る少し前に「保温」する。そして席に配りコンソメスープを配るのだ。

 この20日間の間で、広場にはテーブルが作られた。作ったのは私ではない。

 なんとまあ、ロンさんが土魔術に目覚めたのである。練習も兼ねて時間のある時に作っては直してを繰り返し、今や立派な食堂のようになっていた。ちゃんと丸椅子まであるのだ。

 おかげで皿などを地面に置かなくて良くなったし、フォークなどもテーブルごとにまとめて置けるようになって非常に助かっている。


 注ぎながら渡すという作業が無くなったので、最初にもらった人がずっと待ってる事も無い。私たちも「早く注がないと」と急がなくても良くなった。テーブルってすごかったんだね。



 準備完了、片付けも完了。さあ皆も集まってきた。いい朝だ。

 そういえば今日からダンジョンに付いて行かなくてもよかったんだった。

 ボスも倒せるようになったし、今日の夜はお祝いのケーキかな!





やっと麺ゲットです。

そしてお久しぶりの村風景です。

次話はいよいよあの名も無き、餌付けされた役人さんが登場します!

もしかしてその前に料理パートが入ってずれるかもですが。^^;


生パスタのフィットチーネ、大好きです。でもスパゲッティは乾麺派なんです。

うどんと蕎麦はやっぱ乾麺より生が好きでして、きしめんももちろん生がいいです。

私の夢が詰まったダンジョンになりました。(笑)

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