46.肉ダンジョンにて。 能力開発2班目を開始する!
出だしだけちょっとしっかりと。
後は流していきたいですね! もうキャラも覚えられませんしね!
「ヨリ、早いな」
調理小屋に入ってきたソルにそう言われた。
「寝てないだけだよ」とは言えず、頷くだけにしておく。
時計を見ると2時前だ。ソルの小屋は全員が起きて、他のメンバーが起きてるか声をかけに行っているらしい。
結局、晩ご飯の付け合わせは野菜の塩揉みサラダにした。唐辛子をかけずにセロリをうす~~く切って混ぜ込んだ。少量なら苦手でも食べられるだろうと思ったのである。
「チーズ焼きにはさっぱりとした付け合わせが食べたいな」と思った私の独断ではあるんだけれども。
塩揉みが済んだボウルたちに「冷却」をかけて石板コンロの下に入れて、使った道具を洗いに出したところにソルが来たのだった。
ソルに先に調理小屋を出て行ってもらって、ニルヴァス様にレーズンパンと野菜の生ハムもどき巻きをお供えしてから私も後を追う。
外では皆が集まって待っていた。私が来た事が出発の合図だったらしく、ソルが頷いて皆がさっと歩き出した。
村を出てから全員が身体強化を使って加速。ここで話をすると早朝の班にバレるので、とりあえずは食材ダンジョンまで走って移動するのである。
村から私たちの姿が見えるのもアウトだ。とにかく食材ダンジョンまで突っ走った。
食材ダンジョン前。
早朝の班の分の朝ごはんも持っているので、朝ごはんは合流した後、タイミングを見計らって食べる事にした。
2時くらいに出てきたので、早朝の班が来るまでは1時間くらいある。
「1時間あるから、ちょっと潜る? 先に少しでも集めておけば、ゆっくり出来るんじゃないかな」
私の提案にポルカ組が頷いて、肉屋組からは「任せる」という返事が返ってきた。ので潜ることに。
「ロンさん、探索で出入り口より少し離れた所まで見張っててね。早朝の班が来たらすぐ戻るから」
私がやればいいのだが、ロンさんも出来るんだから練習してもらおうと思って声を掛けた。
そしてユジには早朝の班が来たら、彼らの剣に「強化」などの付与をしてもらう予定だ。
なのでここに居るメンバーで、剣に付与が付いていない肉屋組とターヴの剣で練習をしてもらう。
ロンさんのは自分で掛けてあったし、ロジ少年のにも掛かっているので後6人分だ。
ユジに「ロンさんに教えてもらって」と言って、ロンさんに丸投げしておいたら驚きの結果が。
ユジの付与が終わってから鑑定してみたら、彼らの剣には「強化」と「壊れない」が付与されていたのである。
え? 「壊れない」って単語扱い? 私はわざわざ考えに考えて「不壊」にしたのだが、どういう事なのだろうか。私は自分の服に掛かっている不壊を解除して「壊れない」を付与してみた。弾かれた。うぬ。
ユジとロンさんにはヒマを見つけて訊くしかない、と今は諦めて出発した。
このダンジョンのモンスターは、ダンジョン内の総人数で数が決まるので、パーティーを組んでも組まなくても変わらない。ここではポルカ組も肉屋組も、パーティーは組まないのが普通だそうだ。
ダンジョンに入ってすぐに身体強化を発動させて、加速したまま部屋に突っ込む。先頭に居たソルとユジがまず飛び込んで、その後に次々と皆が走り込んで行く。私は一番後ろで拾う係に任命された。
1部屋を5秒で終わらせて次の部屋へ向かう。私が落ちたモノから身体強化を使ってせっせと集めたので、皆との時間差はほぼ無い。止まらずに次の部屋へと乗り込み、1部屋目と同じようにやっていく。
あっという間に1層目を終わらせてしまった。2層目に向かう通路で一度止まって「10部屋を1分かけずに終わらせたよ」と教えてやると、全員が興奮して叫んだ。うん、耳が痛い。
残りの9層が移動込みで10分で終わってしまう計算なのだが。「どうするか」と訊いた。
ここのモンスターは湧き間隔が20分なのである。という事は、10層まで行って折り返して来る時に、湧いていないという事だ。この速度では、狩るモンスターが居ないまま入口に戻ってきてしまうという事になる。
「じゃあ20分、中層やればいいんじゃないか」
ミノの提案を採用した。
方針が決まってまずは中層と上層を繋ぐ通路までノンストップで狩り抜けた。もちろん私は最高速で拾いまくった。私が遅れては皆の集中を切らしてしまうと思い、せっせと拾ったよ。
中層ではモンスターが倍の32匹になっていたが、粉ダンジョンと違って一斉に襲ってくるわけでもないので、粉ダンジョンよりは落ち着いて出来るようだった。手前からサクサクと掃討していく。
モンスター数が倍になったが、その分モンスター同士が近くて、次までの距離が少なくて済む。上層とほぼ変わらないほどの時間しかかからない。
身体強化を使えるようになると、上層と中層のモンスターの強さの差など感じない。それは私だけでなく皆も同じようだった。
彼らは上層とまったく同じようにサクサクとモンスターを仕留めていっている。
でもこのペースで行くと……。
「うん。1部屋8秒だから…1層が1分20秒か。」
えーと、2層で3分かからないね。6層で9分。あれ? 8層で12分、10層で15分か。
上層で10分、中層で15分。合わせて25分か。上層で湧くまでは後5分だ。
結局中層も予定時間内で終わらせてしまった私たちは、上層のモンスターがまた湧くまでの5分を使って、下層の下見に行った。
ん? もう誰も下層に行く事に難色を示さなかったよ? そりゃこんだけサクサクと狩れるのだ。下層が無理だとは思うまい。
下層に行く事に少し緊張してるようだったが、下層の1部屋目でその緊張も無くなった。
そんで牛乳と生クリームの壺、特にチーズの塊にびっくりしていた。
下層は人数×4匹だから、さすがに64匹は少し時間がかかった。と言ってもモンスターより速く動く男たちだ。1対4でも10秒ほどしか、かからなかった。
正直ここまでになるとは予想外だったが、彼らの圧倒ぶりを見て「今後は私が潜らなくても、彼らから買えば良いじゃん! その間に他のダンジョンに行けるじゃん!」と、嬉しい予感に胸をときめかせたり、「これで例の油を落とすボスとやらんでも良くなるんじゃないか?!」という、願いを込めた希望が芽生えたりした。
6部屋で1分かかった。30部屋で5分だ。3層の終わりまで行けた。
そしてまだ湧いていない下層と中層を、全員が身体強化を使って戻る。
湧きが戻った上層を、今度は上に向かって狩り進んで行った。
50分かけずに、かなり下へ上へと移動したからさすがに疲れているだろう。声を掛けた。
「休んでて」
後は早朝班が来るまでゆっくりしていればいい。そう思ったのだが。
「ヨリ、どれだけ獲れたか教えてくれ」
ソルがそう言って、全員が頷いた事で収穫物の確認をすることになった。
時間はそんなに無いので、数だけ計算しておく。ポルカ組と肉屋組でまとめてでいいだろう。
「ソルたちの方が牛肉380個、豚肉380個、卵800個、レア肉10個ずつ、腸660本、鳥モモ肉1310個、鳥ムネ肉670個、手羽先90個、牛乳540壺、生クリーム540壺、チーズ120個」
ダンジョンの壁に小石を強化してガリガリ書く。そしてその横に肉屋の取り分も。
「ボイフたちは牛肉190個、豚肉190個、卵400個、レア肉5個ずつ、腸330個、鳥モモ肉655個、鳥ムネ肉335個、手羽先45個、牛乳270壺、生クリーム270壺、チーズ60個」
ホイホイと書いて、そこを横にどいて皆に見せる。
品名を縦に書いていき、上にソルとボイフの名前を少し離して書いてから、その下にそれぞれの取り分を書いてみた。数は解っても文字が読めるかという不安はあったので、書いた後に品名を指さしながら、また繰り返し言った。
ソルとユジとターヴと肉屋組が笑顔で頷き、よく解っていないメンバーには、ソルたちが興奮気味に「いつもより、すごく多い」と教えると、全員が声を上げて喜んだ。うむ微笑ましい。
ちなみに腸と鳥モモ肉と手羽先は脚が付いているので「本」と言うべきなのだが、市場の店では全部「個」で売っていたので「個」で言ってみた。私の心の中では「本」であるけどもね。
「ヨリ、来たぞ」
ロンさんが言った。早朝組が来たのだと3秒ぐらい考えてから思い出す。そういえばロンさんに頼んでおいたのだ。忘れるなって突っ込みを自分にしてから頷いた。
「なんでお前らがここに居る」
早朝班の班長が腕を組んで怖い顔で言った。
さてどうやって説明するべきか…。私が難航しそうだなと頭を悩ませる…ヒマもなく。
「見せた方が早い」
ソルが胸を張って返した。
え? そんだけ? 待っても次の言葉は無い。そして早朝班の班長も胸を張り。
「そうか。じゃあ見せろ」
そしてソルと班長が頷き合って、話がまとまった。…のだろうか。班長の顔が怖くなくなってるから、きっとまとまったんだろうと思うが。
さっきの少ない言葉だけで解り合うとか、まさかの展開に私はびっくりだ。
もう少し会話を要すると考えていたのだ。
気心知れた男同士なら、言葉は要らないぜってか! ぬっは~~!!
端っこの方で萌えてしまったよ。
「とりあえず見てもらった方が早いから、説明はその後ね」
私が言って安全圏を小石で作る。壁際にペタリ。そして「ここに居れば襲われても~」と説明して。
「はい、この中に入って入って~」
ツアーガイドのお姉さん気分で早朝班をぐいぐい押し込む。
ボイフたちとロジ少年の行動で私は学んだ。説明だけでは解らないと。だから納得していない彼らを、とにかく押し込むのである。
1人では全員を押し込めないので、魔力で半円の壁を作り、それをダンジョンの壁と魔力の壁で早朝班を挟むように設置して、じわじわ狭める。
魔力を感じなくても何かを感じて後ずさり、無事安全圏に収まってくれた。
「もうすぐモンスターが湧くから、待っててね」
そう言って、彼らの服に「魔力増幅」と「魔力感知」をかける。
「なんだそりゃ?」
班長が訊いて来た。その後ろから他の皆も、何事かと見つめてくる。
「今のをすると、ソルたちと同じことができるようなる」
早朝班の全員の顔を見て教えた。
「身体強化というやつか」
班長の隣に居た男が訊いてきたので、頷く。そんなやり取りをしていたら。
「さあ湧くよ」
部屋の各所にあった砂山が、巻きあがりモンスターの形になっていく。
この部屋はウシ部屋だ。二足歩行で素手の筋肉牛が、モーモーは言わずに無言で現れる。
そこに身体強化で加速して、速攻でソルたちが突っ込んで行く。…はい終わり。およそ5秒で終了した。
落ちている肉を各自が収納袋に放り込んで戻ってくる。
その様を見て、早朝班のメンバーは唖然とする間もなく固まってしまっていた。
「どう? 覚えたくない?」
私がそこに声を掛けると、バッと一斉に見られた。おう、デジャヴ。ソルたちに森でそう見られた事を思い出して、苦笑いでそれを浴びた。うん、目力怖いから。
合意をもらったところで、まずは朝ごはんにした。
早朝班はまた帰ってから食べる気でいたらしいが、今朝は私が持っているし、ささっと食べられるモノなので食べる気になってくれた。
2部屋目へ行く通路で縦に伸びて食事をする。
レーズンパンと野菜の生ハムもどき巻きは大好評だった。通路内が唸り声と歓声と咀嚼音で満たされる。
食事が終わったら食後の休憩を兼ねて説明を始めた。
ターヴとロンさんに立ってもらって、その前に早朝班が前後2列の横5人ずつに座ってもらう。そしてその両側にソルたちが分かれて座った。
「あ~、身体強化を使えるようになるには、どういう動きをしたいか、自分の頭の中で考える事が大事だ」
ロンさんが話し始めた。ターヴが頷いて続ける。
「今より速く動きたいとか、力が強ければと思った事はあるだろう? それが出来るようになった自分を考えてみろって事だ」
ロンさんの説明で首を傾げていた男たちが、ターヴの説明で「ああ」と頷いた。
私? 私は端に居て、それを観察している。今後の事を思えば早く教える事に慣れて行ってもらいたい。私はアドバイザーの立ち位置がいいだろう。
「速く動けて力も強い自分なら、何回でも考えたが、なってないぞ?」
班長が言った。「あん?」って感じで眉間が寄っている。それにはロンさんがニヤリと笑ってご機嫌で答えた。
「ヨリの魔力をくっつけてもらっただろう? これからは出来る」
ビシッと断言するロンさん、かっこいい~~!
「考えるのが上手くいかない奴は、誰かの動きを見て、それを自分がやってると思ってみろ」
ターヴもそつ無くロンさんの補助をする。やはりこの2人に先生を任せたのは間違っていなかった。
私は安心して見学できる。初日からいいスタートが切れたようで何よりだ。
あれ? 私ってばもう必要無いんでは? ……野菜採りに行っていいかな?
まあそんなワケもなく。
はい、アドバイザーとしてロンさんとターヴと計画を立て中です。
「26匹をどうやって組んでやってくかだな」
「10人を2人ずつに分けて、俺たちが3人ずつに分かれて、それを合わせて5人でまずは組んでみるか」
「俺たちがやったように、それで5対5から始めればいいんじゃないか?」
「じゃあ真ん中の邪魔なのをまずは片付けてみよう」
「残りを見て、モンスターを減らしてからやるかどうか考えるか」
「そうだね」
「それでやってみるか」
話がまとまって、それを全員に伝えて班決めをする。
ソルと早朝班の班長のセットと、ユジと早朝班の副班長のセットをまず決めて、後は適当に分かれてもらった。
5人の班が5つ出来た。モンスターは26匹。
上から見ると楕円の縦長になるだろう部屋は、かなり広めで左右の壁が遠い。通路が真ん中に通っている。
行こうと思えばモンスターに遭遇しなくても良かった粉ダンジョンの上層とは違って、モンスターは一定の範囲内をうろうろと歩いているため、その範囲に入ってしまえば攻撃対象になるようだった。
その通路付近のモンスターをまずは片付ける。
「ロンさんとターヴと私が行って、モンスター同士の距離を作ってくるから、少し待ってて」
安全圏を作ってそこに皆を入れてから、私たち3人でまずは通路付近のモンスターを6匹片付けた。
後は部屋の左右に10匹ずつだ。思っていたよりモンスター同士は近付いてはいない。
「これなら、片側を2班ずつやってけば良さそうだね」
「そうだな。通路から後ろは順番待ちの班に見張らせればいいだろう」
「隣の班との境目は、早朝班以外の奴でやった方がいいな」
方針が決まったので戻って伝えて、早速始めた。
まずは順番待ちの3班から、身体強化を使える9人には後ろのモンスターや、ダンジョン総人数が増える事によるモンスター湧きを見張ってもらう。身体強化が使えない人は、集中して見学してもらうのだ。
身体強化を使える人が3人と使えない人が2人。5対5でやれば、当然使える3人が先に仕留める。
2班同時にやるから、境目の6匹が居なくなって後は離れた位置で2対2だけ残る形になる。
1対1で自分より大きい筋肉牛を相手にするのだ。さすがに時間がかかる。
「いつもなら5人で1匹を仕留めるんだ」
「じゃあこっから時間かかりそうって事かな?」
「そうだな」
よし。
「じゃあ残りの2班もやってしまおうか」
ロンさんとターヴに提案してみたら、賛成してくれた。身体強化を使うところを見終わったら、次を始める感じでいいだろうということに。
残り1班に見張りをお願いして、半分の10匹を始めてもらう。
同じように2対2が2組出来上がった。
「ユジ、そっちの4人の剣に付与してあげて」
ユジに叫ぶ。そして見張り班のロンさんにも残りの4人への付与をお願いする。さてどうやって付与してるのかな。
ユジとロンさんの声に身体強化で聞き耳を立てる。
「強化」「壊れない」
はい、「壊れない」って言っている。
私はさっき出来なかったんだが、どうなっているんだろうか。
近くにいるロンさんに訊いてみる。
「私が壊れなくしたい時は、不壊って付与してるんだけど、壊れないじゃ出来なかったんだよね。ロンさんはどうしてか解る?」
「俺はヨリの言う『ふかい』ってのが解らんからな。壊れなくしたい時は、『壊れない』でいいんじゃないかと付けてるだけだぞ」
つまり、その言葉の意味が解らなければ付与できないって事なのだろうか。まあイメージが大事だから納得ではあるが。
じゃあ単語でムリがあるものは、これからは普通に付けてみてから悩めばいいのか。
すぐに試したいと考えたが、付与する時っていつも思い付きが多くて今は思い付かない。その時でいいやとすぐに考えるのを止めた。
奮闘していた8人は、剣に付与をされてから明らかに動きが良くなった。
モンスターへの攻撃も力強い。剣の使い心地が良くなったからだろうと思われる。
さっきまでは警戒しつつの割合が多かったから余計に時間がかかっていた。それが今は攻撃の割合の方が多くなった。
でも魔力は揺らがない。う~む。
そこにターヴが来たので相談する。
「魔力、揺らがないね」
「まだ始めたばかりだからな」
「俺たちはダンジョンに入る前に色々やってたからな」
ロンさんの言葉に、そういえばそうだったと思い出した。でも肉屋たちはすぐだったな。
「やっぱ、ヨリがやるとこ見せた方が早い気がするんだが」
ロンさんが言い出した事に、「ん?」と首を傾げる。
「俺たちが一気に動いても、それを全部見るのは難しいだろう。ヨリだけなら目で追えばいいし、やっぱり身体強化だけじゃないのも見せた方がいいかもしれんぞ」
「どうして?」
最初は身体強化を教えようという話だったはずなのだ。ターヴが考えながら言う。
「ソルもロジも、身体強化だけじゃできない事をやりたかった。だから魔力を伸ばしたりするのを見せられてから、すぐに使えるようになったんだと思う」
「ヨリが最後に見せた魔力で身体を包むのもな。あれでボイフがすぐに覚えただろう」
さらにロンさんも例を挙げる。
「攻撃を飛ばすのから覚えて、すぐに身体強化を使えるようになった奴もいるしな」
ふむ。じゃあまた実演をしたほうがいいという事だね。
「わかった。次の部屋でそうしよう」
手分けして各班に伝えた。そして今残っているモンスターを、皆でさっさと倒す。
ドロップ品を拾って次の部屋へ向かう通路で一旦停止。
えーと、昨日はなんて説明したっけ。
「今から私が、いろいろな方法でモンスターを倒すから、しっかり見て、自分はどれを使いたいか考えてね」
こんなんだったか。
安全圏は10人分でいいだろう。早朝班をそこに入れて、他は両脇に立ってもらう。
「じゃあいくよ」
グルグルと魔力を回転させてスタート。身体強化は目で追える程度に使ってと。
私は黒剣を右手に走り出した。
ブートキャンプが始まりました。
戦い慣れしている人たちなので、身体強化を覚えたら、早い速い。




